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第二十一章 ひとみの嫉妬

我妻さんが組長に?

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ひとみは退院した。

記憶は戻っていないが、力也と共に暮らすことに戸惑いはなかった。

「ここが俺たちが暮らしていたマンションだ」

部屋に入ると、ひとみは懐かしい感じがした。

しばらくすると、結城とテツがマンションにやってきた。

力也はひとみの退院が決まった時に、我妻組組員を集めて、

説明した。

「ひとみは退院することになった」

「組長、よかったですね」

組員は喜びの言葉を口々にした。

「もう一つ伝えておきたいことがある」

組員は力也の言葉に注目した。

「実は、ひとみは全ての記憶がない、我妻組のことは覚えていない」

組員はざわつき始めた。

「組長のことも覚えていないんですか」

「ああ、だから、しばらくは事務所には来ねえ」

組員は力也の言葉に納得した。

力也はひとみと関わりのある、結城とテツをマンションに呼んだ。

力也は結城とテツをひとみに紹介した。

「ひとみ、俺の側近の結城と運転手のテツだ、何か困ったら二人に相談しろ」

「姐さん、結城です、なんでも申し付けください」

「ひとみです、よろしくお願いします」

「姐さん、組長の運転手のテツです、姐さんが出かける時も、お供いたしやすから、いつでも言ってください」

「ひとみです、よろしくお願いします」

ひとみはテツの組長の運転手と言うのが気になった。

(我妻さんは若頭なんだから、組長は我妻さんのお父様だよね、テツさんはお父様の運転手ってことは、我妻さんの運転手は誰なの?)

「あのう、我妻さんの運転手はどなたなんですか」

「あ、俺です」

「テツさんは組長さんの運転手なんですよね」

「へい、ですから、若頭がこの間組長に襲名したんっす」

(我妻さんが組長に?)

「今度、襲名パーティーするんっすよ」

「パーティー?」

「そうっす」

「私は何をすればいいのでしょう」

「姐さんは何もしないで大丈夫っすよ」
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