73 / 104
第二十章 ひとみの記憶が消えた
ひとみ、俺はどうすればいい?
しおりを挟む
思わず声をかけたが、その後どうすればいいかわからない。
力也の呼びかけに自分のことだとは気づかず、そのまま歩いていた。
力也はひとみに駆け寄って、前に進み出た。
ひとみは身体がビクッとした。
「ごめん、びっくりしたな、すまん」
「急に前に出てくるんですもの、びっくりします」
「そ、そうだな」
ひとみはビシッとスーツを着こなしている力也をじっと見つめた。
「なんか変かな」
「いいえ」
「いつも、ひとみがスーツとネクタイを選んでくれるんだが、今日は自分で選んだ」
ひとみは思わず笑みが溢れた。
「俺、なんか変なこと言ったかな」
「いいえ、我妻さんは極道の方には見えないですね」
「そうかな」
力也は照れたように頭を掻いた。
その時、ひとみが力也のネクタイに手を伸ばした。
「曲がってますよ」
ひとみはいつもの朝のようにネクタイを直した。
力也は思わず、ひとみを引き寄せ抱きしめた。
「きゃっ」
ひとみは慌てて力也から離れた。
その声に、力也は後退りして「すまん」そう言って頭を下げた。
「大丈夫です、私の方こそ、すみません、急に抱きしめられてびっくりしてしまって」
力也は自分がどうすればいいか、わからなかった。
「ひとみ、俺はどうすればいい」
力也は不安と困惑とで今にも壊れてしまうんじゃないかと思われる表情だった。
「毎日、私に会いに来てください、この子もパパに会いたいと思いますので」
そう言ってひとみは自分のお腹に触れた。
「それじゃあ」
ひとみは恥ずかしそうに病室に戻った。
力也の呼びかけに自分のことだとは気づかず、そのまま歩いていた。
力也はひとみに駆け寄って、前に進み出た。
ひとみは身体がビクッとした。
「ごめん、びっくりしたな、すまん」
「急に前に出てくるんですもの、びっくりします」
「そ、そうだな」
ひとみはビシッとスーツを着こなしている力也をじっと見つめた。
「なんか変かな」
「いいえ」
「いつも、ひとみがスーツとネクタイを選んでくれるんだが、今日は自分で選んだ」
ひとみは思わず笑みが溢れた。
「俺、なんか変なこと言ったかな」
「いいえ、我妻さんは極道の方には見えないですね」
「そうかな」
力也は照れたように頭を掻いた。
その時、ひとみが力也のネクタイに手を伸ばした。
「曲がってますよ」
ひとみはいつもの朝のようにネクタイを直した。
力也は思わず、ひとみを引き寄せ抱きしめた。
「きゃっ」
ひとみは慌てて力也から離れた。
その声に、力也は後退りして「すまん」そう言って頭を下げた。
「大丈夫です、私の方こそ、すみません、急に抱きしめられてびっくりしてしまって」
力也は自分がどうすればいいか、わからなかった。
「ひとみ、俺はどうすればいい」
力也は不安と困惑とで今にも壊れてしまうんじゃないかと思われる表情だった。
「毎日、私に会いに来てください、この子もパパに会いたいと思いますので」
そう言ってひとみは自分のお腹に触れた。
「それじゃあ」
ひとみは恥ずかしそうに病室に戻った。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
寡黙な彼は欲望を我慢している
山吹花月
恋愛
近頃態度がそっけない彼。
夜の触れ合いも淡白になった。
彼の態度の変化に浮気を疑うが、原因は真逆だったことを打ち明けられる。
「お前が可愛すぎて、抑えられないんだ」
すれ違い破局危機からの仲直りいちゃ甘らぶえっち。
◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。
やさしい幼馴染は豹変する。
春密まつり
恋愛
マンションの隣の部屋の喘ぎ声に悩まされている紗江。
そのせいで転職1日目なのに眠くてたまらない。
なんとか遅刻せず会社に着いて挨拶を済ませると、なんと昔大好きだった幼馴染と再会した。
けれど、王子様みたいだった彼は昔の彼とは違っていてーー
▼全6話
▼ムーンライト、pixiv、エブリスタにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる