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第二十章 ひとみの記憶が消えた

俺がひとみを監禁したから、記憶がない状態になったんだ

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ひとみが入院してから、一週間が経過しようとしていた。

我妻は二葉組に向かっていた。

ひとみを襲ったのは、我妻組を破門した戸部だが、山城の証言で

ひとみを流産させるとの指示を、かえでによるものと判明したからである。

「あら、力也さん、この度は大変でしたわね、破門した自分の組のもにが、
姐さんを襲うなんて」
「とぼけてるんじゃねえ、山城が全て吐いたよ」

「なんのことかしら」

「そっちがその覚悟なら、こっちにも考えがある、今後一切、俺に関わるな」

力也は鋭い目線をかえでに向けた。

かえでは背筋が凍る思いがした。

力也はその旨を父親である組長に報告した。

「わかった、お前に任せる、これを機会に組長を襲名しないか、そろそろ時期もいいんじゃないか」

「わかりました」

力也は我妻組組長を襲名した。

忙しい毎日が、力也にとって、ありがたかった。

(ひとみはこの俺を許してくれるだろうか)

力也の頭の中は不安がいっぱいだった。

そんな矢先、ひとみの意識が回復したとの病院から連絡があった。

力也は急いで病院に駆けつけた。

病室に入ると、ひとみが先生の診察を受けていた。

「ひとみ、よかったな」

力也はひとみに近づいた。

ひとみは顔を背けた。

力也は愕然とした。

「ひとみ、どうしたんだ」

力也はひとみの肩を掴んだ。

ひとみは力也を恐れているかの表情を見せた。

先生が慌てて、力也を止めた。

「我妻さん、ちょっとお話があります」

先生はそう言って、力也を応接室に案内した。

「我妻さん、落ち着いて聞いてください、奥様は全ての記憶を失っています」

「記憶がない」

「はい、恐怖な体験から、自己防衛本能が働くんです、ご自分が誰かも、ご主人のことも覚えていません」

力也は自分を責めた。

(俺がひとみを監禁したからだ)

力也は途方にくれた。
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