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第十一章 拉致されたくるみ

くるみ、無事でいてくれ

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「ああ、くるみのおかげで、なんとかな」

「ひとみは一緒なのか」

「いや、お前のところに行く途中で拉致された」

「えっ」

「落ち着いて聞いてくれ、本浜組のお嬢がくるみを相当恨んでいる、それで拉致された、俺はくるみの拉致された場所に向かっている、メモ取れるか」

我妻は山城の言う場所のメモを取った。

「俺が時間を稼ぐ、だからお前はくるみを助け出し、守ってやってくれ」

「お前はどうするんだ」

「俺は山城組長の怒りに触れて、破門された」

「命の危険はないのか」

「いや、わからん、だからお前にくるみを託す、くるみはお前を愛してるぞ」

「そんなことわからないだろう」


「とにかく、お前はくるみを助け出すことだけ考えて行動してくれ、頼む」

そして電話は切れた。

我妻は組員を集めて、ひとみ救出の指示をした。

「結城、まずはひとみを助けて出す、そして、山城の状況を確認した上で、
山城も救い出してくれ」

「承知しました」

「俺も行く」

「若頭は事務所でお待ちください、俺たちに任せてください」

我妻は頭を下げながら、こう言った。

「頼む、連れて行ってくれ」

結城は我妻の気持ちがわかるだけに無理矢理留守番させることは出来なかった。

「若頭、絶対に無理しないと約束してください」

そして、我妻組はひとみの元に向かった。

山城は指図された場所に到着した。

くるみはロープで拘束されて、服がズタズタに引きちぎられて、胸の膨らみや肩、
太腿など見えてる状態だった。

山城は怒りを抑えた。

「裕太郎さん、その女の前で私を抱きなさい」

山城は圭子に近づいて、腰を引き寄せた。

「圭子、お前何か勘違いしてねえか」

「えっ」

「俺はこの女のために山城組長にたてついた訳じゃない、このままあのクソ親父の言いなりはごめんなんだ、婚姻届を出さなかったのはお前だろ、俺はサインしただろう」

「裕太郎、あなたはこの女を愛しているから、私との結婚を否定していたんじゃないの」

山城は口角を上げてニヤッと笑った。

「まさか、この女が愛しているのは俺じゃない」

(おい、我妻、早く来い、これ以上、圭子の気持ちを俺に向けておくことが出来ないぞ)
山城は、圭子をさらに引き寄せた。

「それに、こんなところでお前を抱いたら、他の男にお前の裸を見せることになる、そんなことはダメだ」

「裕太郎、嫉妬してくれてるの」

「ああ、お前は俺だけのものと言いたいが、今の俺は山城組を破門されたからな、
山城組と合併するなら、俺はお前の前から姿を消さないといけない」

「私がお父様に山城組との合併をやめさせるわ、だから私と結婚して」

山城は頷いた。

しかし、圭子はくるみの存在を許さなかった。

「この女は邪魔ね」

(やばい、我妻、早く来い)

そこへ、我妻組がシャッターをぶち破り、入ってきた。
「我妻組がこの女をもらい受ける」

結城が叫んだ。
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