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第四章 山城裕太郎の抱擁

ひとみを連れて帰る

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山城は何度も何度も激しくくるみを抱いた。

いつの間にか、くるみは気を失った。

隣の布団に移動しており、傍で山城が、くるみをぎゅっと抱き締めて眠っていた。

そんな頃、我妻はひとみが山城のマンションへ引っ越ししたことを突き止めた。

そして山城組管轄のキャバクラで働いていることも調べた。

「若頭、もうひとみさんのことは諦めてください」

我妻にコンコンと言い聞かせているのは、我妻の側近である、結城淳二だ。

我妻の幼い頃からの付き合いだ。

「若頭は藤堂組のお嬢と婚姻が決まっています」

「結城、俺は堅気の女、つまり、ひとみ以外とは結婚しねえ」

「ひとみさんは山城組若頭の元に、自ら行ったんです、酷なことを敢えて申し上げます、ひとみさんは若頭ではなく、山城裕太郎を選んだんです」

(そんなこと言われなくても、わかってる、でも俺はひとみを諦められない)

両手に握り拳を作り、壁にパンチを喰らわした。

「若頭」

我妻の手の甲は血だらけになった。

「明日、山城組管轄のキャバクラにいく」

「いけません、危険を承知で乗り込むなんて自殺行為です」

「話をしに行くだけだ、ついでにひとみを連れて帰る」

結城は大きなため息をついた。

「それでしたら、自分も一緒に同行いたします」

「いいよ、お前は来なくて」

「そう言うわけにはいきません、若頭を守るのが自分の役目ですから」

「わかったよ」

この時、我妻は一人で行く決心をしていた。
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