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第四章 山城裕太郎の抱擁

山城の嫉妬

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「そう言うことか、だから、俺のことを信じられないんだろう」

「それと、山城組に借金しています」

「あんのやろう、許せねえ」

我妻はキャバクラに向かった。

「あら、くるみちゃんなら辞めたわよ」

「辞めた?」

「くるみちゃんは辞めさせるって、山城さんから電話があったのよ、聞いてなかったの」

我妻はキャバクラを飛び出し、ひとみのアパートへ急いだ。

アパートはもぬけの殻で、大家さんが応対してくれた。

「榊さんは引っ越したよ、なんか柄の悪い連中が、荷物を運び出して、確か山城って言う人が、挨拶に来たな」

「ひとみ、いや、榊さんは一緒でしたか」

「ああ、一緒に来たよ」

我妻は居ても立っても居られない気持ちだった。

その頃、くるみは片づけを済ませて、引越し先のマンションに到着した。

「ここですか」

「ああ、俺のマンションだ、くるみは俺と一緒に住む」

「えっ」

くるみは驚きの表情を見せた。

「何をそんなに驚いているのだ」

「だって、山城さんと一緒に住むなんて……」

「くるみを抱きたい時、わざわざ通うのも面倒だろう」

「でも、他の女の人のところへは行くんですよね」
山城はなんて答えていいか困っていた。

(山城さんの考えていることはわからないな)

それから、食事をしに行った。

「くるみは何が食べたい」

「私は好き嫌いはないので、なんでも大丈夫です」

そして、行きつけの料亭に連れて行かれた。

「極道の方は皆、料亭に行くんですか」

「どうしてだ」

「だって、我妻さんに連れて行って頂いたのも、料亭でした」

くるみの言葉を聞いて山城の機嫌が急に悪くなった。

「このお料理美味しいですね」

山城は何も言わない。

「山城さん、何か怒ってます?」

山城は日本酒を一気に飲み干した。
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