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第ニ章 若頭我妻とキャバ嬢くるみ

正体バレちゃった?

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アパートについた私は急いで支度を始めた。

別人になり、キャバクラへ向かった。

「すみません、遅くなりました」

「あら、珍しいわね、くるみちゃんが遅刻なんて」

息を切らして入ってきた私に声をかけたのは、このキャバクラのママだった。

着物姿の日本人離れしたスタイルに、ちょっと冷たい表情がマッチした美人ママさんだ。

でも、面倒見の良い頼れるママさんだ。

「安心して、ここは我妻組管轄のキャバクラよ、若頭の力也さんはとても素敵な男性なの、ガンガン働いて、さっさと借金返しちゃいなさい」

でも、一度もキャバクラに来たことがなくて、私は顔を知らなかった。

(婚活パーティーで私にキスした、我妻コーポレーション社長、我妻力也さんとは
別人なのかな)

この日、私は驚きを隠せない事態に遭遇した。

「くるみちゃん、我妻力也さんがいらっしゃったわ、紹介しておくわね」

席に案内されて、目の前に座っていたのは、別れ際、私にキスをした我妻力也さんだった。

(うそ)

私は狼狽えた。

ドレスの裾を踏んづけて、バランスを崩し、我妻さんの胸に倒れ込んだ。

「おっと、大丈夫か」

私を咄嗟に支えてくれて、顔を覗き込まれた。

「ごめんなさい」

私は咄嗟に離れようとした。

すると、私の腰をぐっと引き寄せ、我妻さんの隣に座らせられた。

我妻さんは長い足を持て余しているように、足を組んだ。

「酒、作ってくれよ」

そう言って、私をじっと見つめた。

私はキスされた時が走馬灯のように蘇り、みるみる頬が熱ってくるのを感じた。

「嫌だわ、くるみちゃん、我妻さんが素敵だからって、顔が真っ赤よ」

「えっ」

私は自分の頬に手を当てて、熱い状態に余計に真っ赤になった。

我妻さんは私の腰に回した腕をさらにキュッと強めた。

(大丈夫、これだけ見た目が違うんだから、バレないよ)

「お酒作りますね、離してもらってもいいですか」

「このままがいいな」

我妻さんは私を抱き寄せ、さらに密着した。

私は手が震えて、心臓がドキドキしていた。

「どうぞ」

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