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第六章 引き裂かれる思い

何故だよ、やっと会えたのに、もしかして俺は避けられてるのか。

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「もう、わかりましたから、お部屋にお戻りください、横溝さんが迎えにいらしてますから」

「迎えって俺は子供じゃないんだから」

真壁くんは私に子供扱いされて不服そうな表情を見せた。

「社長、横溝さんに誤解されますから」

「誤解って、横溝は俺の秘書だぜ、なんの問題もないよ」

「兎に角仕事中ですから、社長室にお戻りください」

「わかった、仕事終わったら迎えに来るからここで待ってて、いいね」

私はどう答えていいか分からず俯いた。

皆がいるのに、しかも婚約者の横溝さんが迎えに来ている目の前で、他の女性を誘うなんて、横溝さんはどう思っただろうかと気が気じゃなかった。

真壁くんは経理部を後にした。

皆は敢えて聞かずに配慮してくれた。

私は仕事が終わると早々に経理部を後にした。

真壁くんは私が待っていると疑いもせず、社長室から経理部へ向かった。

しかし、私が帰った事を知ると、愕然と肩を落とした。

何故だよ、やっと会えたのに、もしかして俺は避けられてるのか。
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