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第九章 忍び寄る影
離婚したのに指輪してるのはなぜ?
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何十回とくれた彼からの電話に出られなかった。
彼は矢も盾もたまらず車を走らせた。
しかし何処に行ったかわからず、店の前で待つしか無かった。
彼のことが気になっていたが、加々美社長と食事を済ませ送ってもらうことになり、彼のマンションを案内した。
「あゆみさん、ここに一人で住んでいるの」
「いいえ、この間ご紹介した麻生さんに、事情があってお世話になっています」
「事情って?」
「足を捻った時、麻生さんと一緒で、手当てしてもらうのに麻生さんのマンションへ連れて来てもらって、この状態じゃ仕事行けないから送り迎えして頂けることになって」
「なんだ、この間彼が言っていた俺の女ってはったりなのか、それなら僕にもチャンスはあるってことだね」
「おばさんをからかわないでください」
「あゆみさんがおばさんなら僕はおじさんかな」
「社長は違いますよ」
「じゃあ、あゆみさんも違うね」
加々美社長は膝に乗せていた私の手を握った。
あれ?凌に触れられると心臓がドキドキして苦しくなるのに・・・あの時もそうだった凌に連れられてパーティーに出席した時、凌の仕事仲間の工藤さんに触れた時もドキドキしなかった、誰もが羨むイケメンなのに。
慌てて加々美社長の手を振り解いた。
「あゆみさん、僕と結婚してほしい」
「えっ?」
「返事はよく考えてからで構わない、後ずっと気になっていたが、離婚したのに指輪しているのは何故?」
「それは・・・」
「話したくないなら今度ゆっくりと聞かせてくれればいいよ」
「すみません・・・今日もご馳走様でした」
ペコっと頭を下げて顔を上げた途端、加々美社長の顔が目の前に近づいてきた、そして手を引き寄せられ抱きしめられた。
「社長?」
「あゆみさん、彼の元に置いておくのは心配だ、僕のマンションへ来ないか?」
「ありがとうございます、でも大丈夫です、では失礼します」
私は加々美社長から離れて車から降り、マンションへ入った。
マンションへ入るとコンシェルジュの宮田さんが挨拶してくれた。
「あゆみ様、おかえりなさいませ、麻生様はご一緒ではないのですか?」
「えっ、麻生さんまだ帰ってないのですか」
「まだお戻りになっておりません」
「すみません、タクシー呼んで頂けますか」
「かしこまりました」
凌、店でずっと待っているの?
心配になりタクシーで店に向かった。
店に到着すると、彼は店の前で待っていた寒いのに車の外で左右を見ては私を心配する表情を見せていた。
「麻生さん」
「あゆみ」
彼は私の姿を見つけると駆け寄って来た、そして力強く抱きしめた。
「良かった、何処に行ったのかもわからず、電話も通じなくて、もう会えないのかと思った」
「ごめんなさい」
「帰ろう」
「はい」
彼と私はマンションへ向かった。
彼は矢も盾もたまらず車を走らせた。
しかし何処に行ったかわからず、店の前で待つしか無かった。
彼のことが気になっていたが、加々美社長と食事を済ませ送ってもらうことになり、彼のマンションを案内した。
「あゆみさん、ここに一人で住んでいるの」
「いいえ、この間ご紹介した麻生さんに、事情があってお世話になっています」
「事情って?」
「足を捻った時、麻生さんと一緒で、手当てしてもらうのに麻生さんのマンションへ連れて来てもらって、この状態じゃ仕事行けないから送り迎えして頂けることになって」
「なんだ、この間彼が言っていた俺の女ってはったりなのか、それなら僕にもチャンスはあるってことだね」
「おばさんをからかわないでください」
「あゆみさんがおばさんなら僕はおじさんかな」
「社長は違いますよ」
「じゃあ、あゆみさんも違うね」
加々美社長は膝に乗せていた私の手を握った。
あれ?凌に触れられると心臓がドキドキして苦しくなるのに・・・あの時もそうだった凌に連れられてパーティーに出席した時、凌の仕事仲間の工藤さんに触れた時もドキドキしなかった、誰もが羨むイケメンなのに。
慌てて加々美社長の手を振り解いた。
「あゆみさん、僕と結婚してほしい」
「えっ?」
「返事はよく考えてからで構わない、後ずっと気になっていたが、離婚したのに指輪しているのは何故?」
「それは・・・」
「話したくないなら今度ゆっくりと聞かせてくれればいいよ」
「すみません・・・今日もご馳走様でした」
ペコっと頭を下げて顔を上げた途端、加々美社長の顔が目の前に近づいてきた、そして手を引き寄せられ抱きしめられた。
「社長?」
「あゆみさん、彼の元に置いておくのは心配だ、僕のマンションへ来ないか?」
「ありがとうございます、でも大丈夫です、では失礼します」
私は加々美社長から離れて車から降り、マンションへ入った。
マンションへ入るとコンシェルジュの宮田さんが挨拶してくれた。
「あゆみ様、おかえりなさいませ、麻生様はご一緒ではないのですか?」
「えっ、麻生さんまだ帰ってないのですか」
「まだお戻りになっておりません」
「すみません、タクシー呼んで頂けますか」
「かしこまりました」
凌、店でずっと待っているの?
心配になりタクシーで店に向かった。
店に到着すると、彼は店の前で待っていた寒いのに車の外で左右を見ては私を心配する表情を見せていた。
「麻生さん」
「あゆみ」
彼は私の姿を見つけると駆け寄って来た、そして力強く抱きしめた。
「良かった、何処に行ったのかもわからず、電話も通じなくて、もう会えないのかと思った」
「ごめんなさい」
「帰ろう」
「はい」
彼と私はマンションへ向かった。
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