夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU

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第五章 流産

あゆみ、愛してる

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「俺、そんな事言っていた?」
「はい」
「でも、今の俺は子供に対して強い執着はない、前の事話されても俺は分からないよ、今の俺が覚えていない事言われても、それはあゆみと手術前の俺との思い出だろう」
「ごめんなさい」
「ごめん、言い過ぎた」
私はなんて言っていいか分からなかった。
「俺、自分に嫉妬して情けないよ」
確かに私は彼が大好きである。
でも今の彼に対して物足りなさを感じているのは事実で、手術前の彼はいつも大好きって言って、抱きしめてくれた。
前向きに、躊躇せず、私の気持ちは自分と同じと思い込み、進んで行く。
でも、今の彼は何処か自信が無く、私を大好きなのかどうかが分からなかった。
必要とされている事は分かったが、精一杯の愛情表現は気づかなかったのは事実である
抱き枕ではなく、抱きしめていた?
おやすみのキスではなく、愛情のキス?
安定剤ではなく、一緒に居たいって事?
全然分からなかった、だって奇跡は二度と起きないと思っていたから・・・
彼は私が手術前の彼を愛していて、今の彼には愛情を感じていないと思っている。
なんかお互いすれ違っている感じだ。
 それから彼は眠る時腕枕をしなくなった、
そしておやすみのキスも・・・
眠れない時呼ばれる、そして彼の手を握る
ほんとうの安定剤になってしまった。

私が今の彼を大好きって思っている事を分かってもらえればいいけど、どうすればいいのだろう?
あれから、お互い重要な部分には触れず、平穏な毎日が流れた。
そんな二人の関係に変化が現れたのは、それから暫くしてからの事だった。
 彼が仕事から戻り、いつもはすぐシャワーを浴びるのだが、この日は「ただいま」と言って私の手を引き寄せ抱きしめた。
「シャワー浴びてくる」
心臓が飛び出すかと思うくらいにドキドキした。
シャワー室から出てくると、また私の手を引き寄せ抱きしめた。
「麻生さん、食事の用意をしますね」
と、離れようとすると、彼は私の頬を両手で挟み、彼の唇で私の唇を塞いだ。
蕩けるような甘いキス、私は思わず両手で彼を抱きしめた。
大好き、大好き、大好きって何回も心の中で繰り返した。
涙が溢れて、止まらなかった。
「あゆみ、ずっと俺の側にいてほしい、必要なだけじゃなく、愛している・・・」
手術後の彼とこの時初めて結ばれた
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