21 / 100
第四章 君は誰?
手術をお願いします
しおりを挟む
いつものように彼を起こしに行くと、苦しそうにしている彼がいた。
「麻生さん、大丈夫ですか?」
彼の答えは無く、救急車を呼び、入院する事になった。
彼の意識は戻らず、ずっと昏睡状態だった
私は先生から呼ばれて、そこで初めて彼の病状を告げられた。
「奥様ですね、麻生さんから聞いています
麻生さんの病状ですが、脳腫瘍です。二年前にご本人には伝えたのですが、手術を受けずに薬でとの希望でした」
彼はやはり病気だった、とても難しい場所にある腫瘍だった。
「手術はリスクを伴います。たとえ成功しても認知機能障害など、後遺症の覚悟はして頂く必要があります」
心臓の鼓動が早くなり、どうして良いかわからなかった。
「薬で完治する事は、大変難しいと思われます」
「手術はリスクを伴い、薬は完治が難しいなら、どうすればいいんですか?」
大変な決断を余儀なくされ、彼の人生の選択をしなければいけない私は先生を責めた。
私は少しの間時間を貰う事にした、そして
病室でしばらく彼の寝顔を見ていた。
手術は希望していない、だけど成功すれば生存率は上がる、だけど私の事忘れちゃう可能性は高いのだ。
彼と私の出会いは奇跡だと思っている、奇跡は一度しか起きない、だから奇跡って言うのだから・・・
彼が私を忘れて、また好きになってくれる可能性はゼロに近い、いや、たぶんゼロだろうなあ~。
私は先生の元へ向かった。
「手術をお願いします」
「ご本人は望んでいませんが、よろしいですか?」
「彼はまだ若いので、これからの人生を生きていける可能性に掛けたいと思います」
「後遺症で認知機能障害が起こる確率は高いですが、よろしいですね」
「大丈夫です」
彼の手術が決まった。
緊急手術が始まり、永い時間が流れた。
彼との生活、結婚、左手の薬指の指輪、彼との甘いキス、初めての経験、妊娠。
「麻生さん、大丈夫ですか?」
彼の答えは無く、救急車を呼び、入院する事になった。
彼の意識は戻らず、ずっと昏睡状態だった
私は先生から呼ばれて、そこで初めて彼の病状を告げられた。
「奥様ですね、麻生さんから聞いています
麻生さんの病状ですが、脳腫瘍です。二年前にご本人には伝えたのですが、手術を受けずに薬でとの希望でした」
彼はやはり病気だった、とても難しい場所にある腫瘍だった。
「手術はリスクを伴います。たとえ成功しても認知機能障害など、後遺症の覚悟はして頂く必要があります」
心臓の鼓動が早くなり、どうして良いかわからなかった。
「薬で完治する事は、大変難しいと思われます」
「手術はリスクを伴い、薬は完治が難しいなら、どうすればいいんですか?」
大変な決断を余儀なくされ、彼の人生の選択をしなければいけない私は先生を責めた。
私は少しの間時間を貰う事にした、そして
病室でしばらく彼の寝顔を見ていた。
手術は希望していない、だけど成功すれば生存率は上がる、だけど私の事忘れちゃう可能性は高いのだ。
彼と私の出会いは奇跡だと思っている、奇跡は一度しか起きない、だから奇跡って言うのだから・・・
彼が私を忘れて、また好きになってくれる可能性はゼロに近い、いや、たぶんゼロだろうなあ~。
私は先生の元へ向かった。
「手術をお願いします」
「ご本人は望んでいませんが、よろしいですか?」
「彼はまだ若いので、これからの人生を生きていける可能性に掛けたいと思います」
「後遺症で認知機能障害が起こる確率は高いですが、よろしいですね」
「大丈夫です」
彼の手術が決まった。
緊急手術が始まり、永い時間が流れた。
彼との生活、結婚、左手の薬指の指輪、彼との甘いキス、初めての経験、妊娠。
1
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉


イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる