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第二十ニ章 廉也の足が動かない

廉也は自分の足にナイフを突き刺そうとした

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「今、ナースコールしますね」

まもなくすると、担当医師森本と看護師がやって来た。

「桂木さん、桂木廉也さん、わかりますか」

廉也は頷いた。

廉也は日ごとに回復に向かった。

そんなある日ゆかりが病院を訪ねてきた。

「みゆさん、大丈夫?」

「ゆかりさん、私は大丈夫です、廉也さんも意識を取り戻したんですよ」

「そう、良かったわね」

みゆはゆかりを廉也の病室へ案内した。

ドアを開けると、廉也がベッドに横になっていた。

「廉也、大丈夫?」

廉也は声のする方に顔を向けてゆかりを目視した。

「ゆかり」

「ああ、よかった、命が助かっただけでも神様に感謝しないとね」

「ああ、そうだな」

それからまもなくリハビリの日々が続いた。

廉也の右足は全く動かない。

リハビリの先生の前では、頑張りを見せるも、病室に戻ると、途端に弱音を吐くのだ。

「廉也さん、すぐには結果は出ないですよ」

「お前に俺の気持ちがわかるか、この右足は全く感じねえ」

廉也は右足をこれでもかと叩く。

「廉也さん、やめてください」

みゆは必死に止める。

廉也はサイドテーブルにあったナイフを手に取り、右足に突き刺そうとした。

そんな廉也の手からナイフを取り上げようとした瞬間、みゆの手からおびただしい血が流れた。

「みゆ」

ちょうど病室に入ってきたゆかりが慌ててナースコールをした。

ゆかりはみゆの手をタオルで縛り、駆けつけた看護師に引き渡した。

「どうされたのですか」

「ナイフで切っちゃったんです」

「処置室へ行きましょう」

みゆは看護師に連れられて処置室に向かった。

病室に残された廉也に、ゆかりは平手打ちをした。

「何やってるの、みゆさん、怪我したじゃないの」

ゆかりは怒りを露わにした。
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