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第二十一章 新たなる試練

健志の暴走

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(北山先生)

オートロックを解錠して、健志を招き入れた。

「みゆちゃん、体調はどう?」

「大丈夫です」

みゆのただならぬ様子に気づいた健志は、何かあったのだろうと察知した。

「みゆちゃん、何かあったの」

みゆは健志に話せば絶対に反対されると思い、誤魔化した。

「何もありませんよ」

「みゆちゃん、ちゃんと話してくれないと、大変なことになってからでは遅いんだ」

みゆはこの時、少しでも早く廉也の元に向かいたかった。

そして、心にもない言葉を健志にぶつけた。

「北山先生には関係ないことです、今の私の主治医ではないし、これ以上
私に関わらないでください」

みゆは健志の顔を見る事が出来なかった。

健志はみゆの信じられない言葉にショックを受けた。

「関係ない?」

健志は動揺を隠せなかった。

みゆの腕を掴み、言葉を荒げた。

「みゆちゃん、俺がどれほど君を思い、君のために尽力してきたか、それなのに、
君は俺に対して、関わるなと言うのか」

「北山先生、痛いです、離してください」

健志はみゆをソファに押し倒した。

「みゆちゃん、俺は……」

健志はみゆの首筋に唇を押し当てた。

健志のみゆへの溢れる気持ちが爆発した瞬間だった。

「先生、やめてお願い」

健志は我に返り、みゆから離れた。

「みゆちゃん、ごめん」

健志はマンションを後にした。

みゆは溢れる涙を拭いながら、去って行く健志にごめんなさいと呟いた。

初めて与那国島で巡り合った時から、健志の気持ちに応えられない自分をどうすることも出来ずにいた。

みゆは顔を洗い、気持ちを入れ替えた。

(早く廉也さんの元に行かなくちゃ)

みゆは渡米の準備を進めた。

その頃、健志は自分の言動を後悔していた。

(俺はなんてことをしてしまったんだ、みゆちゃんを押し倒すなんて、
医者として、廉也の親友としてあるまじき行為だ)

みゆはすぐに渡米した。
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