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第二十章 みゆの妊娠
堕ろした方がいいなんて言えない
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「検査の時、なんか当てたり、飲んだりするんで、ちょっと心配なんですよね」
「確かにそうよね、私が健志に伝えておくわ」
「ありがとうございます」
みゆはほっと胸を撫で下ろした。
ゆかりは健志に電話を入れた。
「姉さん、どうしたの」
「みゆさんがおめでたかもしれないんですって、だから来週の検査を延ばして欲しいって相談受けたの、大丈夫よね」
健志は黙ったまま、答えなかった。
「ちょっと、健志、聞いてる?」
「うん、聞いてるよ」
健志の声のトーンが下がった。
「何?問題あるの?」
「姉さん、出来れば妊娠は避けて欲しいかな」
「避けて欲しいって、妊娠してたらどうするのよ」
「みゆちゃんの身体を考えると、堕ろしたほうがいいんだけど」
「あんたね、何言ってるかわかってる」
「廉也に伝えておくべきだった」
「医者ならなんとかしなさいよ」
ゆかりはスマホを切った。
(どうするのよ、堕ろした方がいいなんて言えない)
その頃、健志はみゆに連絡していた。
「みゆちゃん、姉さんから聞いたよ、妊娠の結果が出るまで、検査は延ばそう」
「本当ですか、よかった」
しかし、次の健志の言葉に、みゆは谷底に突き落とされた感覚に陥った。
「みゆちゃん、もし、妊娠していたら、堕ろして欲しい、主治医として出産は賛成出来ないからね」
(えっ、北山先生は何を言ってるの)
「みゆちゃん、聞いてる?」
スマホは切れた。
「みゆちゃん、みゆちゃん」
みゆは呆然とした。
(私は廉也さんの赤ちゃんを生むことが出来ないなんて)
その頃、ゆかりはみゆにどう伝えるべきか悩んでいた。
ゆかりは仕事を早めに切り上げて、みゆの元に向かった。
まさか、健志がすでにみゆに伝えていたことなど、誰が予想出来ただろうか。
ゆかりはインターホンを鳴らした。
しかし、応答がない。
「確かにそうよね、私が健志に伝えておくわ」
「ありがとうございます」
みゆはほっと胸を撫で下ろした。
ゆかりは健志に電話を入れた。
「姉さん、どうしたの」
「みゆさんがおめでたかもしれないんですって、だから来週の検査を延ばして欲しいって相談受けたの、大丈夫よね」
健志は黙ったまま、答えなかった。
「ちょっと、健志、聞いてる?」
「うん、聞いてるよ」
健志の声のトーンが下がった。
「何?問題あるの?」
「姉さん、出来れば妊娠は避けて欲しいかな」
「避けて欲しいって、妊娠してたらどうするのよ」
「みゆちゃんの身体を考えると、堕ろしたほうがいいんだけど」
「あんたね、何言ってるかわかってる」
「廉也に伝えておくべきだった」
「医者ならなんとかしなさいよ」
ゆかりはスマホを切った。
(どうするのよ、堕ろした方がいいなんて言えない)
その頃、健志はみゆに連絡していた。
「みゆちゃん、姉さんから聞いたよ、妊娠の結果が出るまで、検査は延ばそう」
「本当ですか、よかった」
しかし、次の健志の言葉に、みゆは谷底に突き落とされた感覚に陥った。
「みゆちゃん、もし、妊娠していたら、堕ろして欲しい、主治医として出産は賛成出来ないからね」
(えっ、北山先生は何を言ってるの)
「みゆちゃん、聞いてる?」
スマホは切れた。
「みゆちゃん、みゆちゃん」
みゆは呆然とした。
(私は廉也さんの赤ちゃんを生むことが出来ないなんて)
その頃、ゆかりはみゆにどう伝えるべきか悩んでいた。
ゆかりは仕事を早めに切り上げて、みゆの元に向かった。
まさか、健志がすでにみゆに伝えていたことなど、誰が予想出来ただろうか。
ゆかりはインターホンを鳴らした。
しかし、応答がない。
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