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第十六章 真実の愛

みゆの本当の気持ち

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「みゆ、頭をあげて、心配しなくてももう金は貸したよ」

私は安堵の表情を慎太郎さんに向けた。

「いいかい、ここが彼の正念場だ、この危機を乗り越えられなければみゆを安心して託す事は出来ない」

私は慎太郎さんの話を聞いていた。

「彼は会社を立て直してみゆを迎えに来るだろう、だから待っているんだ、それが出来ないようならそこまでの男と言う事になる」

「わかりました、慎太郎さん、ありがとうございます」

慎太郎さんは与那国島を後にした。

廉也は桂木ホテルリゾートを立て直す為、取引先を回った。

東城氏に紹介してもらったメインバンクに挨拶に行き、契約を交わした。

俺はしばらく忙しくしていた。

みゆのことが気にならないわけではない。

みゆに取って俺といるより、健志と与那国島にいる方が体調にもいいんじゃないかと思いはじめた。

しかし、みゆの笑顔、みゆの涙、全てが脳裏から離れない。

今すぐにでもみゆを抱きしめたいと気持ちは昂っていた。

あれから三ヶ月の月日が流れた。

桂木ホテルリゾートは利益をあげられるまでに持ち直した。

俺はアメリカへ向かった。

「ご無沙汰しています、おかげ様でなんとか桂木ホテルリゾートは持ち直しました」

「そうか、それはよかった、みゆちゃんは迎えに行ったのか?」

「いえ、俺がいなくても健志の元で元気に暮らしているのであれば、わざわざその幸せを壊す権利は俺にはないのではないかと……」

「そうか、ならわしがみゆを迎えに行くぞ、もう今後一切みゆのことは忘れてくれ」

「それは出来ません」

「わしでは不服か、健志とやらならみゆを任せられると言うのか?」

「そうではありません、みゆを忘れる事は出来ないと言う意味です」

俺はこれから先、みゆに辛い思いや苦しい思いをさせる事は出来ないと思っている。

だから迎えに行く事に躊躇しているのが事実だ。

でもみゆを忘れることなど出来ない、

「みゆが今、与那国島で過ごしている事がみゆに取って幸せなのか?桂木くんの側にいる事はみゆに取って不幸なのか?」

「これから先、桂木ホテルリゾートを存続させながら、東城氏にお借りした金を返す事は容易いことではないと思っています、俺の側にいて幸せな日々を送れるとは到底思えません、そんな苦労をする事がわかっているのに、迎えに行く事は俺の身勝手ではないでしょうか」

「わしも当時みゆの幸せを考えて、みゆの前から姿を消した、桂木くんの気持ちは理解出来る、しかし、それは間違っていたんだ」

「どう言う事でしょうか」

東城氏はゆっくりと言葉を続けた。
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