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第十五章 すれ違う気持ち

みゆが消えた

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「はい」

「そうか、そうか、良かった、良かった」

「あのう、会社の件ですが何か良い方法はありますでしょうか」

東城氏は「そうだったな」と言いながら提案を俺に伝えた。

「わしの会社、東城ホールディングスと契約しないか」

「えっ?」

「東城ホールディングスのホテル部門のグループ会社として仕事を続ければいい」

俺はあまりの規模の大きさに手が震えた。

「桂木ホテルリゾートの名前も残し、桂木くんの役職もそのまま社長を続けてくれ」

「とてもありがたいお話ですが、何か条件があるのではないでしょうか、御社に取ってメリットはありますでしょうか」

「それは桂木くんの頑張り次第だ」

俺はすごい責任に押し潰されそうな気持ちに戸惑った。

「何、今まで通り仕事をしてくれれば良い、ただ一つだけ条件がある」

「何でしょうか?」

「みゆちゃんを生涯愛して共に生きて行くと誓ってくれ、あの子は男を信じられないと悩んでいたからな」

「はい、誓います」

東城氏は満面の笑みで安堵の表情を見せた。

「では、秘書を連れてまた改めて伺います」

「ああ、あのう、桂木くんにお願いがあるんじゃが……」

「何でしょうか」

「今度、みゆちゃんを連れてきてくれないかな」

東城氏は恥ずかしそうに俯いた。

「はい、今度一緒に伺います」

「そうか、楽しみにしているよ」

俺は東城氏に挨拶をして、その場を後にした。

まず、東京へ戻り、会社へ向かった。

事の事情を高城に説明した。

「社長、それは本当ですか」

「ああ、早速契約の準備をしてアメリカへ行くぞ、お前も一緒に頼む」

「もちろんです」

俺は北山に連絡を取った。

この事を早くみゆに伝えたかった。

みゆのおかげで会社は倒産の危機を乗り越えたんだから……

その夜、健志のスマホに電話した。

「健志、俺だけど、みゆは大丈夫か?」
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