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第十二章 お前を取り戻す

廉也のアタック開始

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その頃、ゆかりさんは北山先生に連絡を入れていた。

「健志、そっちに廉也は行ってる?」

「ああ、桂木社長は入院中だよ」

「やっぱり、私のところに来て、眠れないから安定剤くれって、そのあと姿くらましたのよ」

「そうなんだ、点滴してぐっすり眠れるようになったみたいだから安心して」

「迷惑かけてごめんね、多分立木さんに会いに行ったんだと思うけど……」

「そうだな、めっちゃ話しかけてるよ、廉也の体調良くなったのは安定剤でも点滴でもなく、みゆちゃんのおかげだな」

「そう、立木さんの体調はどお?血液検査の結果はわかった?」

「まだだよ、でも今のところ落ち着いているよ」

「ねえ?あの二人一緒にいた方がお互いの体調いいのかな?」

「関係ないよ」

北山先生は珍しく声を荒げた。

「私に怒らないでよ」

「別に怒ってないよ」

「立木さんにのめり込まないでね」

北山先生は黙ったまま答えなかった。

「廉也のことよろしくね、先生!」

「ああ」

北山先生は不服そうに答えた。


廉也は食事を出来るようになった。

「美味い、これ立木さんが作ったの?」

「そうです、良かったですね、食欲出てきて」

「ああ」

「そうだ、前に作ってくれた和食作ってくれよ」

「いいですよ、あの時も美味しいって食べてくれましたよね」

「だってみゆが……いや、立木さんが作る和食は絶品だからな」

私は久しぶりにみゆって呼ばれてドキドキが止まらない。

「後で食器片付けにきます」

私は病室を後にした。

それから私と廉也さんは、たわいもない会話を毎日続けた。

廉也さんは私を東京へ連れて帰ろうとして、手を差し伸べた時ふられたショックから立ち直れずにいた。

しかし、廉也にとってみゆがいない人生は考えられなかった。

諦めることは出来ない。

(みゆを無理に連れて帰ることは出来ない、それなら初めからやり直そう)

と思った。
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