上 下
39 / 111
第七章 二人を引き裂く策略

廉也さんと別れて頂きたいの

しおりを挟む
次の日会社に出社すると、大騒ぎになっていた。

「みゆ先輩、大変です、社長が結婚するそうです」

慌てて私に駆け寄ってきたのは同じ総務部の友紀ちゃんだった。

「社長が結婚?」

「社長自らの書面が張り出してあって……」

総務部の二階堂くんもその場にいた。

二階堂くんも私を見つけると駆け寄って来た。

「みゆ先輩、ちょっといいですか?」

二階堂くんに腕を掴まれグイグイ引っ張られた。

「二階堂くん、何処へ行くの?」

小会議室に連れて行かれて、私と向かい合った。

「どう言う事ですか?宇佐美不動産のご令嬢とは関係ないと言っていましたよね?みゆ先輩の事俺のものだなんて言っていたけど、みゆ先輩都合のいい女なんじゃないんですか?」

私は固まっていた。

「何も聞いてないんですか?このままだとみゆ先輩、社長と不倫関係になっちゃいますよ」

こんなに早く別れが訪れるなんて、私は心ここにあらずの状況だった。

「社長に連絡取れないんですか?」

「そんな事出来ないよ、プロポーズされたわけじゃないのに、なんて言うの?結婚相手として付き合っているつもりじゃ無いなんて言われたら立ち直れない、怖くて聞けないよ」

私は小刻みに震えていた。

(やっぱりこうなっちゃうんだ、なんで私、廉也さんの事信じたんだろう、バカみたい)

「総務部に戻ろう?仕事しなくちゃ」

私は二階堂くんと総務部に戻った。

そこへ社長秘書の高城さんが私を迎えに来た。

「立木さん、お客様が見えてる、応接室へいいかな」

「えっ、私にですか?」

会社に訪ねてくる客など、全く検討がつかなかった。

私は応接室に向かった。

「失礼します」

そこにいたのは宇佐美不動産ご令嬢の宇佐美麗子さんだった。

「はじめまして、宇佐美麗子です、立木みゆさんですよね?」

どうして宇佐美不動産のご令嬢が私を訪ねて来たのか全くわからなかった。

「どうぞ、お座りになって」

「はい、失礼します」

私は麗子さんの向かいのソファに腰を下ろした。

「短刀直入にお話致します、廉也様と私は結婚いたします、ですから廉也様と別れていただきたいの」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】その男『D』につき~初恋男は独占欲を拗らせる~

蓮美ちま
恋愛
最低最悪な初対面だった。 職場の同僚だろうと人妻ナースだろうと、誘われればおいしく頂いてきた来る者拒まずでお馴染みのチャラ男。 私はこんな人と絶対に関わりたくない! 独占欲が人一倍強く、それで何度も過去に恋を失ってきた私が今必死に探し求めているもの。 それは……『Dの男』 あの男と真逆の、未経験の人。 少しでも私を好きなら、もう私に構わないで。 私が探しているのはあなたじゃない。 私は誰かの『唯一』になりたいの……。

振られた私

詩織
恋愛
告白をして振られた。 そして再会。 毎日が気まづい。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。

泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。 でも今、確かに思ってる。 ―――この愛は、重い。 ------------------------------------------ 羽柴健人(30) 羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問 座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』 好き:柊みゆ 嫌い:褒められること × 柊 みゆ(28) 弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部 座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』 好き:走ること 苦手:羽柴健人 ------------------------------------------

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

隠れ御曹司の愛に絡めとられて

海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた―― 彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。 古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。 仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!? チャラい男はお断り! けれども彼の作る料理はどれも絶品で…… 超大手商社 秘書課勤務 野村 亜矢(のむら あや) 29歳 特技:迷子   × 飲食店勤務(ホスト?) 名も知らぬ男 24歳 特技:家事? 「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて もう逃げられない――

夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。 ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。 翻弄される結城あゆみ。 そんな凌には誰にも言えない秘密があった。 あゆみの運命は……

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

処理中です...