あなたを失いたくない〜離婚してから気づく溢れる想い

第四章 あなたを愛していません

「ちづるさんは君と離婚して三神家の嫁になってくれる事を承諾してくれたよ」

「俺に対してよからぬ噂をネット上に拡散した」

「えっ、そんなひどい事を三神さんが……」

「あいつならやりかねないな」

「いいか、ちづるは一人で出歩くことは禁止だ、わかったな」

「はい」

この時ちづるが俺のために三神の元へ向かおうとしていた事など知る由もなかった。

会社では電話の問い合わせの対応に四苦八苦していた。

そんな時、俺のスマホが鳴った。

「三神だが、海堂氏のスマホで間違いないかな」

「三神」

「ちづるさんは君と離婚して三神家の嫁になってくれる事を承諾してくれたよ」

俺はピンときた、きっとちづるは一人で三神に会いに行ったに違いない。

俺と会社の為に、息子との結婚を承諾させられたんだろう。

「そこにちづるはいるのか？」

「ああ」

「一度ならず二度までも誘拐は犯罪だぞ」

「人聞きの悪いことは言わないで頂きたい、ちづるさんは自分の意思で私の元に来たんだからな」

全くあれほど一人で出歩くなと言ったのに。