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第三章 連れ去られたちづる

「俺の妻であることの自覚を持て、俺から決して離れるな、俺の事だけ考えろ、他の男は頭の中から追い出せ、いいか」

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困ったことにちづる本人が三神に対して仏心を出している事だ。

全く人がいいにも程がある。

「ちづる、三神の事だが、気をつけないと駄目だぞ」

「どう言う事ですか、理由もわかった事ですし、もう危険な事はないですよね」

呆れて物も言えない。

これじゃ、連れ去られるのも時間の問題だな。

「ちづる、三神の息子はお前に惚れてる、その息子を三神は溺愛している、どんな手を使ってでも、ちづると息子を結婚させる気だ」

「でも、私はもう海堂ちづるです、そんなことは出来ないですよね」

「契約上はそうだが、気持ちの問題を言ってるんだ」

「気持ちの問題?」

「俺を愛しているか」

ちづるは顔を真っ赤にして、答えを探している様子が伺えた。

「よくわかりません、ずっと海堂さんとは契約上の関係だと自分に言い聞かせて来たから」

「それなら、俺を好きになれ」

「えっ?」

「俺の妻であることの自覚を持て、俺から決して離れるな、俺の事だけ考えろ、他の男は頭の中から追い出せ、いいか」
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