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第六章 皮肉な運命

「水本だよ、水本亜紀」 親父の表情が変わった。

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親父は次に亜紀の事を聞いて来た。

「亜紀さんとやらが、お前が結婚したい女か」

「そうだ」

「苗字は何と言うんだ」

「水本だよ、水本亜紀」

親父の表情が変わった。

驚きと信じられないと言った様子の表情だった。

「亜紀さんのお父さんは健在か」

「亜紀の親父か、聞いたことないな」

「そうか、今度亜紀さんに会わせてくれないか」

「ああ、構わないけど、金は用立てて貰えるのか」

「そうだな、取引先も紹介する、あとはお前の腕次第だぞ」

「助かるよ、必ず返すから」

「亜紀さんを早々に連れて来てくれ」

「わかった」

親父はなぜ、亜紀にそんなに会いたがっているかわからなかった。

俺の結婚相手だからだけではないような気がした。

親父の元を離れて、取引先の社長の元へ急いだ、婚約を破棄する為だ。

取引先の社長は驚いた表情を見せた。

「理樹くん、本当にいいんだな」

「はい、自分はお嬢さんではなく、他に結婚したい女性がいます」
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