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第六章 皮肉な運命

親父に頭を下げる手段を俺は選んだ。

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婚約者の事、会社の事を考えて、自分が身を引く手段を選んだんだと思ったが、何かが引っかかる。

それだけではない気がしていた。

「亜紀、もう少し待ってくれ、会社の事手立てを考えて、解決したら、迎えに来る、いいな」
亜紀は俺を見つめていたが、頷くでもなく、視線を逸らした。

やはり、気持ちが読めなかった。

俺はその足で親父の元に向かった。

俺の親父は東條財閥当主東條理三郎だ。

億と言う資産を動かし、会社を切り盛りしてきたが、今は会長の立場でいくつかの会社を任せている。

ゆくゆくは、俺にその全てを継がせたいと思っているようだが、俺は親父の力は借りずに生きていくと決めていた。

東條ホールディングスも健と二人で資金繰りをして立ち上げた。

だから、健の東條ホールディングスへの思い入れは計り知れない。

倒産させることはありえない、でも亜紀は諦められない。

なら、親父に頭を下げる手段を俺は選んだ。

「久しぶりだな、元気でやっておったか」

「ああ、今日は頼みがあって来た」
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