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拓真とかすみ

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拓真は隠居の身になり、体調を崩すことが多くなった。

「パパ、大丈夫?」

「ああ、そろそろかすみの元に行く運命だな」

「何言ってるの?」

「あいつは全く結婚の意思が無かった、初めはかすみに惚れているんだと、嫉妬もした、でも奴が病院へ行ったところに、たまたま出くわして、事情を話してくれた」





「そうだったの」

「お前はそれでも大丈夫なのか」

「ごめんね、孫を抱かせてあげられなくて……」

「いや、俺はお前を授かっただけでも、奇跡だと思ってる」

「パパ」

ユリエはその場を後にした。

拓真は仏壇の前でかすみに声をかけた。

「かすみ、もういいだろう、お前の側に行きたい」

「拓真さん、拓真さん」

「かすみ、迎えに来てくれたのか」

「お疲れ様、今までありがとう、拓真さんのおかげで、ユリエを授かることが出来たから
すごく嬉しいです」

「そうか」

かすみは拓真の頬に触れた。

「かすみ、かすみの手の温もりを感じるよ」

拓真はかすみを引き寄せ抱きしめた。




そっと唇を重ねた。

「かすみ、愛しているよ」

「私も愛しています」

拓真は夜遅くに息を引き取った。

「パパはママの元に行ったんだね」

「そうだな、御隠居はかすみさんが亡くなった日にこの世を去ろうとしていた、
かすみさんの手紙で思いとどまった、御隠居にしてみればユリエはかすみさんだったんだろう」

「パパ、ママと仲良くね」

                END



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