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かすみの秘密②
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「それから会ってないのか」
「はい、真実は闇の中です、信じてやれなかった俺の負けです」
ケンジの話を聞いて、かすみに信じてもらえるまで、頑張ることを決意した。
マンションについて、かすみを探した。
しかし、部屋は真っ暗でかすみの姿はなかった。
拓真は闇雲に探してもダメだと判断し、マンションの前で待っていた。
まず、梨花とのキスの誤解を解かないといけないな。
拓真はそう考えた。
どのくらい時間が経っただろうか。
マンションの前で待っていた拓真の元に近づいてくる人影があった。
「拓真さん」
自分の名前を呼ぶ声に拓真は顔を上げた。
「かすみ」
拓真はかすみの元に駆け寄り抱きしめた。
「拓真さん、どうされたのですか」
「ごめん、かすみ、梨花は勝手に会社にきて、いきなりキスしてきたんだ」
かすみは思った。
拓真さんは誤解を解こうとずっと待っていてくれたの?
涙がとめどもなく溢れて、どうしていいかわからなかった。
「かすみ、俺が好きなのはかすみだ、ほかの誰でもない」
かすみは頷きながら拓真をじっと見つめた。
「よかった、もう出て行ってくれって言われたらどうしようって思って、
マンションへ帰る足が重くて、こんなに遅くなってしまいました」
拓真はかすみをさらにギュッと抱きしめた。
「そんなわけないだろう、何があってもどんなことが起きても、かすみは
俺の側にずっといろ、いいな」
「嬉しいです」
この時、かすみは自分の命の終わりを感じていた。
神様、あと少しだけだから、拓真さんの側にいることを許してください。
かすみは体調不良が続くため、店も会社も休み続けることになった。
それからまもなく、大館が調査結果を伝えにきた。
「社長、分かりました」
「報告しろ」
大館はゆっくり話し始めた。
「かすみさんは三年前に子宮癌を患い、子宮全摘出手術を受けました、
ですから、子供を授かることは出来ません、そしてその時に、付き合っていたのが、
本郷誠司です、本郷誠司はIT会社の代表で、かすみさんの手術に立ち会っています、
だから、かすみさんの子宮全摘出のことを知った上で、別れています、
でも二人をよく知る人物の話だと、男の方は二人で生きていこうと考えていたそうなんですが、かすみさんが別れたいと申し出たそうです」
「かすみらしいな」
「あと、かすみさんの病状ですが、現在癌の転移は認められませんが、
体調不良はその兆しではないかと」
「かすみはまた手術をすれば助かるんだろう」
「主治医に確認したわけではないので、それはなんとも言えないとのことです」
拓真は愕然とした。
この世に神も仏もいねえのか。
拓真は自分の時間を全てかすみとの時間に費やすと心に誓った。
そんな矢先、梨花は拓真にかすみの秘密を暴露しただけでは物足らず、
かすみに拓真の前から姿を消すように促そうとマンションに向かった。
梨花の性格上、促すと言うよりは命令が正しいかもしれない。
「剣城、健斗のマンションへ向かってちょうだい」
「今の時間は春日部社長として、会社だと思いますが……」
「誰が健斗に会いに行くって言ったの、花園かすみが健斗の側にいることが、
不愉快なのよ、谷底に突き落としてやらないと気が済まないの」
梨花は憎しみの表情を見せた。
「はい、真実は闇の中です、信じてやれなかった俺の負けです」
ケンジの話を聞いて、かすみに信じてもらえるまで、頑張ることを決意した。
マンションについて、かすみを探した。
しかし、部屋は真っ暗でかすみの姿はなかった。
拓真は闇雲に探してもダメだと判断し、マンションの前で待っていた。
まず、梨花とのキスの誤解を解かないといけないな。
拓真はそう考えた。
どのくらい時間が経っただろうか。
マンションの前で待っていた拓真の元に近づいてくる人影があった。
「拓真さん」
自分の名前を呼ぶ声に拓真は顔を上げた。
「かすみ」
拓真はかすみの元に駆け寄り抱きしめた。
「拓真さん、どうされたのですか」
「ごめん、かすみ、梨花は勝手に会社にきて、いきなりキスしてきたんだ」
かすみは思った。
拓真さんは誤解を解こうとずっと待っていてくれたの?
涙がとめどもなく溢れて、どうしていいかわからなかった。
「かすみ、俺が好きなのはかすみだ、ほかの誰でもない」
かすみは頷きながら拓真をじっと見つめた。
「よかった、もう出て行ってくれって言われたらどうしようって思って、
マンションへ帰る足が重くて、こんなに遅くなってしまいました」
拓真はかすみをさらにギュッと抱きしめた。
「そんなわけないだろう、何があってもどんなことが起きても、かすみは
俺の側にずっといろ、いいな」
「嬉しいです」
この時、かすみは自分の命の終わりを感じていた。
神様、あと少しだけだから、拓真さんの側にいることを許してください。
かすみは体調不良が続くため、店も会社も休み続けることになった。
それからまもなく、大館が調査結果を伝えにきた。
「社長、分かりました」
「報告しろ」
大館はゆっくり話し始めた。
「かすみさんは三年前に子宮癌を患い、子宮全摘出手術を受けました、
ですから、子供を授かることは出来ません、そしてその時に、付き合っていたのが、
本郷誠司です、本郷誠司はIT会社の代表で、かすみさんの手術に立ち会っています、
だから、かすみさんの子宮全摘出のことを知った上で、別れています、
でも二人をよく知る人物の話だと、男の方は二人で生きていこうと考えていたそうなんですが、かすみさんが別れたいと申し出たそうです」
「かすみらしいな」
「あと、かすみさんの病状ですが、現在癌の転移は認められませんが、
体調不良はその兆しではないかと」
「かすみはまた手術をすれば助かるんだろう」
「主治医に確認したわけではないので、それはなんとも言えないとのことです」
拓真は愕然とした。
この世に神も仏もいねえのか。
拓真は自分の時間を全てかすみとの時間に費やすと心に誓った。
そんな矢先、梨花は拓真にかすみの秘密を暴露しただけでは物足らず、
かすみに拓真の前から姿を消すように促そうとマンションに向かった。
梨花の性格上、促すと言うよりは命令が正しいかもしれない。
「剣城、健斗のマンションへ向かってちょうだい」
「今の時間は春日部社長として、会社だと思いますが……」
「誰が健斗に会いに行くって言ったの、花園かすみが健斗の側にいることが、
不愉快なのよ、谷底に突き落としてやらないと気が済まないの」
梨花は憎しみの表情を見せた。
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