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第一章 私を抱いてください

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「俺の言ったこと聞いてたか、堅気の女は抱かねえんだよ」

「そこをなんとか、特別にお願いします、私、このままだと好きな男性に抱かれる喜びを
知らずに人生終わっちゃいます」

「俺の知ったこっちゃねえ、忙しいんだ、切るぞ」

蓮也はスマホを切った。

夕方、三国組管轄のキャバクラのママから電話が入った。

「蓮也さん、お忙しいところごめんなさいね」

「いや、大丈夫だ、どうしたんだ」

「実は今、今晩だけ働かせてもらいたいと面接にきてる女性がいるんですが」

「今晩だけ?どう言うことだ」

「明日から借金の代わりに結婚するので、今晩だけ働かせてくださいって」

「安達加子か」

「やっぱり、ご存じだったんですね、実は蓮也さんの紹介だと言うんで、
怪しいなあって思っていたんですが、どう言うことですか」

「これから、そっちに行く」

「はい、お待ちしています」

スマホは切れた。

開店前の店の中に加子はいた。
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