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親友の時間
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アレクセイはどれだけ時間が遅くなろうとも、王宮主催の脇侍の後は必ず側近と反省会と称する会を開く。
今宵も2人向かい合う。
『レイ、散々な夜会となってしまったね。』
大きく首を回すアレクセイに
『全くです。あの令嬢は女狐とそっくりだ』
溜息を漏らすレイモンドに
『ヴィクトリアは伯爵令嬢だぞ?あそこまで酷くなかろう?』
もはや二人の中では、ヴィクトリアは女狐で通っている。
『私はシルビア嬢の事を誤解していたよ。今日のシルビア嬢は何となくステファニーに似ていたよね?』
レイモンドは
『ステファニー様はもっと柔らかい印象ですが?』
『それは顔立ちなどを加味しているでしょ?』
レイモンドはステファニーを思い起こすも‥
‥全く似てないが?
『で?あまりに早いエスコートであったね?』
アレクセイの問いにレイモンドは
『別に、控え室までのエスコートだからね。』
素っ気なく応えるレイモンドに
『そっか、でもさシルビア嬢の今日の振る舞いは流石であったな。あれを見せられてシルビア嬢を欲しがらない上級貴族はいないだろうね。ただ今日はお前がエスコートして出ていったから誰も手が出せずに居たけど、ルシャード辺りは狙ってるだろうね。』
レイモンドは返す言葉もなく黙ったままワインを傾ける。
『ねえ、レイ。私がおかしくなった時のお前の気持ちが分かるよ。私は外見だけを見て突っ走っていたろ?あぁゆう風にならないようにね?』
『私は誰にも夢中になっちゃいないよ』
『そうではない、私はたまたま好意のほうにおかしくなっていたが、今のお前は嫌悪のほうにおかしくなってるよ。』
『‥』
『だって、これほど嫌悪する理由が見当たらない』
しばらくの沈黙のあと、アレクセイは続ける。
『私はどれだけ公爵につつかれようと、お前の婚儀に対して王命は出さないと約束する。これは紛れもなく公私混同だよ?だからこそ、逆も理解してくれ。お前がどれだけおかしくなっても、この話しを王命で破談にも出来ない。わかるな?』
レイモンドはゆっくり視線をアレクセイに移し、静かに頷いた。
今宵も2人向かい合う。
『レイ、散々な夜会となってしまったね。』
大きく首を回すアレクセイに
『全くです。あの令嬢は女狐とそっくりだ』
溜息を漏らすレイモンドに
『ヴィクトリアは伯爵令嬢だぞ?あそこまで酷くなかろう?』
もはや二人の中では、ヴィクトリアは女狐で通っている。
『私はシルビア嬢の事を誤解していたよ。今日のシルビア嬢は何となくステファニーに似ていたよね?』
レイモンドは
『ステファニー様はもっと柔らかい印象ですが?』
『それは顔立ちなどを加味しているでしょ?』
レイモンドはステファニーを思い起こすも‥
‥全く似てないが?
『で?あまりに早いエスコートであったね?』
アレクセイの問いにレイモンドは
『別に、控え室までのエスコートだからね。』
素っ気なく応えるレイモンドに
『そっか、でもさシルビア嬢の今日の振る舞いは流石であったな。あれを見せられてシルビア嬢を欲しがらない上級貴族はいないだろうね。ただ今日はお前がエスコートして出ていったから誰も手が出せずに居たけど、ルシャード辺りは狙ってるだろうね。』
レイモンドは返す言葉もなく黙ったままワインを傾ける。
『ねえ、レイ。私がおかしくなった時のお前の気持ちが分かるよ。私は外見だけを見て突っ走っていたろ?あぁゆう風にならないようにね?』
『私は誰にも夢中になっちゃいないよ』
『そうではない、私はたまたま好意のほうにおかしくなっていたが、今のお前は嫌悪のほうにおかしくなってるよ。』
『‥』
『だって、これほど嫌悪する理由が見当たらない』
しばらくの沈黙のあと、アレクセイは続ける。
『私はどれだけ公爵につつかれようと、お前の婚儀に対して王命は出さないと約束する。これは紛れもなく公私混同だよ?だからこそ、逆も理解してくれ。お前がどれだけおかしくなっても、この話しを王命で破談にも出来ない。わかるな?』
レイモンドはゆっくり視線をアレクセイに移し、静かに頷いた。
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