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夜会。
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帝国皇帝らもまたその威厳を醸し出すように豪華な装いでランズ王国国王と談笑している。
会場には雅楽団の生演奏にてダンスが舞い、あちこちで社交も繰広げられている。
宴もたけなわ、クラリスの待ち人はむこうからやってきた。美しく着飾るエリザベスは変わらずゾロゾロとお付の者をつれて、いつもの側近であろう女が嬉しそうに微笑みながらクラリスの前まで来ると
『クラリス様、また今夜は一段と素敵でいらっしゃいますね。』
クラリスは少し口角をあげただけでその女を見た。女は気にする事無く
『公式発表を前にクラリス様にはお伝えしておきますが我が国のエリザベス王女はもうすぐ帝国皇子妃となられますのよ?』
『そうですか、それはおめでとうございます。』
表情豊かなクラリスが珍しく無表情で祝福を送ると
『まぁ、動揺なさらないのですか?それとも内心焦っておられる?』
クラリスは微笑みを作り
『何故、私が焦るのですか?』
女は嬉しそうにエリザベスをチラリと見てから
『先日の無礼、お忘れですか?』
『無礼?』
『はい、無礼ですよ。未来の皇子妃と親しくなりたくないだなんてエリザベスの面前でおっしゃった事をお忘れですか?』
『いいえ、忘れてなんておりませんわ。』
…。
エリザベス御一行さまは怪訝そうにクラリスを見ていると
『帝国皇子妃を敵に回すとおっしゃるのですか?』
『まぁ敵だなんて、そもそも今回の来訪頂いたのは帝国から属国へのお誘いがあるのかも思っておりましたが違ったようですのね?テオドール?』
クラリスは帝国の思惑を盾に大袈裟に驚いてみて後ろを振り返るとテオドールに話を振った。
テオドールもまた驚いたように
『殿下にご報告してまいります!』
『お、お待ちになって!』
テオドールを引き止めるはエリザベス。流石に王女だけあってこの女よりは利口なようだ。
『事を荒立てる事はありませんわ』
他人事のように言うエリザベスにクラリスは
『だそうよ。』
それだけ言うとテオドールはまたクラリスの後ろで控えた。
『…頭の悪い女ね。だからそういう話しではありませんのよ?』
女はイライラをクラリスにぶつける様に言うと
『ならば何を?エリザベス様が皇子妃になられると言うことは聞きましたよ。それで?今回は最終目的が帝国第3皇子妃ですの?』
驚いたパナン王国御一行さまに尚も
『ほら、我が国にいらした時は第1王子妃となりながらその行く末に王太子妃がありましたでしょう?ですから今回はまさか帝国皇后陛下とまではいかない?かしら。』
クラリスは後ろのテオドールに話しを振るとテオドールもまた含み笑いをしながら首を傾げた。
『な、何を言うか!無礼千万!エリザベス様を馬鹿にするおつもりか?』
クラリスはキョトンとした表情で
『馬鹿にするだなんて本当の事ですが?』
ワナワナと震えるエリザベスを横目に
『せっかくのエリザベス様のご厚意ん無下にするなど』
『ご厚意?』
『分からない人ですね?そもそもこうして帝国がここまで足を運んで下さるのは誰のおかげだと思ってるのですか!』
クラリスとテオドールは顔を見合わせてから
『誰のおかげなのですか?』
クラリスの言葉にテオドールは心の中で
…頼んでねえしな?
女は言葉に詰まりながら
『そもそもアルフレッド殿下との結婚は政略結婚ですからね?政略結婚とはそのようなものですわ。妃殿下ともあろうお方がそんな事も知らないでよく王太子妃と名乗ってられますことよ。』
クラリスはエリザベスに視線を流してからその女に
『あら、政略結婚の意味を履き違えておりますわよ?政略結婚とは国と国の利益の為。そのご本人同士の結婚です。でしたらパナン王国は初めから、アルフレッド殿下とではなくフリードリヒ殿下と政略結婚をすべきでしたわ。最も、利益は双国になければ成り立ちませんがね?』
目を見開く女の後ろに向けてクラリスは尚も
『政略結婚は国と国。個人を踏み台にして良いわけないわ。そして何より貴女はあの件から今の今までアルフレッド殿下に詫びも入れていない。それなのにどこの妃かしらないけれどよくもまぁ我が国の地に足を踏み入れる事ができた事です。それはあなたに反省が無いに等しいということ。それが私が貴女と親しくなれない理由でしてよ?』
固まるエリザベスとは裏腹に女は声を荒げ
『誰に向かって言ってるの!?』
クラリスは小さく息を吐くと女を真っ直ぐに見据え
『では貴女は誰に向かって言ってますの?』
!女は驚き口をパクパクさせている。
女の知るクラリスはいつも幼子のようにケラケラと笑い能天気な王女。何を言っても許される存在であったのは今も昔も変わらない…はずだった。
静まり返る空気の中、クラリス今度は大きく息を吐くと1度瞼を閉じてゆっくりと大きな瞳を開いた。
『不敬罪よ。』
大きな瞳で女を射抜くと振り返りテオドールに告げる。
『捕らえよ』
その一言でテオドールは瞬時に女を拘束すると
『無礼な!離しなさい!』
テオドールに暴言を吐く女にクラリスは
『貴女の身分は知らないけれど、この者はこう見えてランズ王国筆頭公爵家の嫡男。無礼は貴女の方よ。』
暴れる女の後ろでエリザベスは驚き目を見開き固まっていた。その様子を見たクラリスは確信を得た表情でテオドールを見た。テオドールもまた頷き返したのである。
…思った通りだ。
エリザベスはどうやらこの女が居なければ成り立たない王女なのである。
会場には雅楽団の生演奏にてダンスが舞い、あちこちで社交も繰広げられている。
宴もたけなわ、クラリスの待ち人はむこうからやってきた。美しく着飾るエリザベスは変わらずゾロゾロとお付の者をつれて、いつもの側近であろう女が嬉しそうに微笑みながらクラリスの前まで来ると
『クラリス様、また今夜は一段と素敵でいらっしゃいますね。』
クラリスは少し口角をあげただけでその女を見た。女は気にする事無く
『公式発表を前にクラリス様にはお伝えしておきますが我が国のエリザベス王女はもうすぐ帝国皇子妃となられますのよ?』
『そうですか、それはおめでとうございます。』
表情豊かなクラリスが珍しく無表情で祝福を送ると
『まぁ、動揺なさらないのですか?それとも内心焦っておられる?』
クラリスは微笑みを作り
『何故、私が焦るのですか?』
女は嬉しそうにエリザベスをチラリと見てから
『先日の無礼、お忘れですか?』
『無礼?』
『はい、無礼ですよ。未来の皇子妃と親しくなりたくないだなんてエリザベスの面前でおっしゃった事をお忘れですか?』
『いいえ、忘れてなんておりませんわ。』
…。
エリザベス御一行さまは怪訝そうにクラリスを見ていると
『帝国皇子妃を敵に回すとおっしゃるのですか?』
『まぁ敵だなんて、そもそも今回の来訪頂いたのは帝国から属国へのお誘いがあるのかも思っておりましたが違ったようですのね?テオドール?』
クラリスは帝国の思惑を盾に大袈裟に驚いてみて後ろを振り返るとテオドールに話を振った。
テオドールもまた驚いたように
『殿下にご報告してまいります!』
『お、お待ちになって!』
テオドールを引き止めるはエリザベス。流石に王女だけあってこの女よりは利口なようだ。
『事を荒立てる事はありませんわ』
他人事のように言うエリザベスにクラリスは
『だそうよ。』
それだけ言うとテオドールはまたクラリスの後ろで控えた。
『…頭の悪い女ね。だからそういう話しではありませんのよ?』
女はイライラをクラリスにぶつける様に言うと
『ならば何を?エリザベス様が皇子妃になられると言うことは聞きましたよ。それで?今回は最終目的が帝国第3皇子妃ですの?』
驚いたパナン王国御一行さまに尚も
『ほら、我が国にいらした時は第1王子妃となりながらその行く末に王太子妃がありましたでしょう?ですから今回はまさか帝国皇后陛下とまではいかない?かしら。』
クラリスは後ろのテオドールに話しを振るとテオドールもまた含み笑いをしながら首を傾げた。
『な、何を言うか!無礼千万!エリザベス様を馬鹿にするおつもりか?』
クラリスはキョトンとした表情で
『馬鹿にするだなんて本当の事ですが?』
ワナワナと震えるエリザベスを横目に
『せっかくのエリザベス様のご厚意ん無下にするなど』
『ご厚意?』
『分からない人ですね?そもそもこうして帝国がここまで足を運んで下さるのは誰のおかげだと思ってるのですか!』
クラリスとテオドールは顔を見合わせてから
『誰のおかげなのですか?』
クラリスの言葉にテオドールは心の中で
…頼んでねえしな?
女は言葉に詰まりながら
『そもそもアルフレッド殿下との結婚は政略結婚ですからね?政略結婚とはそのようなものですわ。妃殿下ともあろうお方がそんな事も知らないでよく王太子妃と名乗ってられますことよ。』
クラリスはエリザベスに視線を流してからその女に
『あら、政略結婚の意味を履き違えておりますわよ?政略結婚とは国と国の利益の為。そのご本人同士の結婚です。でしたらパナン王国は初めから、アルフレッド殿下とではなくフリードリヒ殿下と政略結婚をすべきでしたわ。最も、利益は双国になければ成り立ちませんがね?』
目を見開く女の後ろに向けてクラリスは尚も
『政略結婚は国と国。個人を踏み台にして良いわけないわ。そして何より貴女はあの件から今の今までアルフレッド殿下に詫びも入れていない。それなのにどこの妃かしらないけれどよくもまぁ我が国の地に足を踏み入れる事ができた事です。それはあなたに反省が無いに等しいということ。それが私が貴女と親しくなれない理由でしてよ?』
固まるエリザベスとは裏腹に女は声を荒げ
『誰に向かって言ってるの!?』
クラリスは小さく息を吐くと女を真っ直ぐに見据え
『では貴女は誰に向かって言ってますの?』
!女は驚き口をパクパクさせている。
女の知るクラリスはいつも幼子のようにケラケラと笑い能天気な王女。何を言っても許される存在であったのは今も昔も変わらない…はずだった。
静まり返る空気の中、クラリス今度は大きく息を吐くと1度瞼を閉じてゆっくりと大きな瞳を開いた。
『不敬罪よ。』
大きな瞳で女を射抜くと振り返りテオドールに告げる。
『捕らえよ』
その一言でテオドールは瞬時に女を拘束すると
『無礼な!離しなさい!』
テオドールに暴言を吐く女にクラリスは
『貴女の身分は知らないけれど、この者はこう見えてランズ王国筆頭公爵家の嫡男。無礼は貴女の方よ。』
暴れる女の後ろでエリザベスは驚き目を見開き固まっていた。その様子を見たクラリスは確信を得た表情でテオドールを見た。テオドールもまた頷き返したのである。
…思った通りだ。
エリザベスはどうやらこの女が居なければ成り立たない王女なのである。
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