61 / 88
ミハエルの帰還
しおりを挟む
朝からミハエルを見送る為にクラリスとフリードリヒは王宮へと急いだ。それを待ってたかのようにミハエルは部屋から出てくると
『何?わざわざ見送り?』
嬉しそうである。
ミハエルは後ろに控えるフィリップスとテオドールに軽く手を挙げる。
『義兄上、お帰りになる前にご覧に入れたいものがあるのですが。』
フリードリヒの言葉にミハエルは
『何?』
ミハエルはフリードリヒらと共に王宮裏にあるハウスまで来ると
『何?』
興味深そうに観察しているミハエルにクラリスは
『私が先代から賜わりましたハウスですよ?ご存知ありませんでした?』
…は?
ミハエルは頭を巡らせると
『クラリス、待て待て。あの幼い頃に話していたドールハウス?』
『はい。』
…いやいやどこがドールなんだよ。
ミハエルは咳払いを一つするとクラリスに
『クラリス、これはドールハウスとは言わないだろ?』
額を抑えるミハエルにクラリスは
『さぁ、でもリザはここをドールハウスって呼んでたから…いわゆる名称よ。本当のお人形のおうちなわけないわ。国王が他国の王女への贈り物なのですから。』
淡々と話すクラリスにミハエルは
『クラリス、お前は肝心な事をよく割愛する傾向があるね?』
これにはテオドールは深く頷いた。
『さぁ中へ。』
フリードリヒは小さな鍵を取り出し扉を開きミハエルを案内するとミハエルは慎重に足を踏み入れた。ぐるりと見渡し恐る恐る足を踏み出していく。
『コレは驚いた。よく出来ている…』
ミハエルはフリードリヒに視線を流すとフリードリヒは静かに頷いた。ミハエルは壁面に触れトントンと音を鳴らす。
『こ、これは…』
そして再び驚いたようにフリードリヒを見るもまたもフリードリヒは頷いた。
このハウス。複雑なカラクリが施されているだけでなく、壁一面は純金でできている。それをカモフラージュするかのように貼られているファンタジックな壁紙。
ミハエルはランズ王国からはビタ一文貰っていないと言っていたがビタ一文どころかガルフ王国とは桁違いの贈り物を賜っていた事になる。
ミハエルは複雑そうな表情でフリードリヒを見るもフリードリヒは久々となる王太子スマイルを炸裂させ破顔した。
…恐ろしいんだけど?ランズ王国。
ミハエルは妹が嫁いだ国ではあるがランズ王国の先を見る眼を今更ながら痛感したのである。
前を歩くクラリスとフリードリヒの背中を追いながら渋い顔をするミハエルにテオドールは
『殿下、そのようなお顔は似合いませんよ?』
ニヤリと笑うテオドールにミハエルは
『そういえばさ、テオドールだっけ?お前、クラリスに恋してるだろ?』
…は?何なんだ?藪から棒に
『私は妃殿下の側近ですが?』
ミハエルはいたずらっ子のように笑うと
『だって檻の中のライオンが子猫を食っちまわないなんてさ、その子猫を愛おしく思ってるから以外考えられないんだもん。』
…子どもか?
『殿下、恐れながら…妃殿下は学園に居た頃本の虫と呼ばれる程に本しかお友達が居ない人でしたが?』
…そんなんに恋するか!
『勤勉なのは王女としてお手本のようだ。』
『殿下、恐れながら…妃殿下は鉄パンツを履いていると揶揄されておりましたが?』
…そんなんに恋するか!
『素晴らしい。王女たるもの貞操は固くなければな。』
テオドールは怪訝そうにミハエルを見るもミハエルは嬉しそうだ。
『殿下、恐れながら。スラム街で護衛を自ら巻く妃殿下ですが?』
ミハエルは少し困ったように
『ま、まぁ昔から少しお転婆でもあったからね?』
…少しじゃねぇけどな?
『殿下、』
ミハエルは降参でも宣言するような表情で
『まだあるの?』
『恐れながら、妃殿下は自らスラムへ入り浸りますよ?』
ここまで来ると、もはや苦情。
『分かった分かった!こんなじゃじゃ馬だけどこれからも宜しく頼む。』
テオドールは尚も
『殿下、恐れながら』
辟易としながらテオドールを見るミハエルに
『人として何より大切なものをお持ちでございます。』
…は?
ミハエルは想定の外の言葉に固まると
『貴女の妹君がこの国に嫁いできて下さり
間違いなくランズ王国は活気溢れる国となりました。王族も今や一つになりつつある。』
…。なに?落としてからの持ち上げ?
『私は妃殿下には偉大な力があると思ってます。』
…いやいや今更フォロー?
『私は一生妃殿下の側近でありたいと願っていますよ。』
テオドールは眩しい笑顔をミハエルに送るとミハエルは戸惑いながらも
『そ。そうかありがとう。』
首を傾げながら前を行く2人を追った。
『何?わざわざ見送り?』
嬉しそうである。
ミハエルは後ろに控えるフィリップスとテオドールに軽く手を挙げる。
『義兄上、お帰りになる前にご覧に入れたいものがあるのですが。』
フリードリヒの言葉にミハエルは
『何?』
ミハエルはフリードリヒらと共に王宮裏にあるハウスまで来ると
『何?』
興味深そうに観察しているミハエルにクラリスは
『私が先代から賜わりましたハウスですよ?ご存知ありませんでした?』
…は?
ミハエルは頭を巡らせると
『クラリス、待て待て。あの幼い頃に話していたドールハウス?』
『はい。』
…いやいやどこがドールなんだよ。
ミハエルは咳払いを一つするとクラリスに
『クラリス、これはドールハウスとは言わないだろ?』
額を抑えるミハエルにクラリスは
『さぁ、でもリザはここをドールハウスって呼んでたから…いわゆる名称よ。本当のお人形のおうちなわけないわ。国王が他国の王女への贈り物なのですから。』
淡々と話すクラリスにミハエルは
『クラリス、お前は肝心な事をよく割愛する傾向があるね?』
これにはテオドールは深く頷いた。
『さぁ中へ。』
フリードリヒは小さな鍵を取り出し扉を開きミハエルを案内するとミハエルは慎重に足を踏み入れた。ぐるりと見渡し恐る恐る足を踏み出していく。
『コレは驚いた。よく出来ている…』
ミハエルはフリードリヒに視線を流すとフリードリヒは静かに頷いた。ミハエルは壁面に触れトントンと音を鳴らす。
『こ、これは…』
そして再び驚いたようにフリードリヒを見るもまたもフリードリヒは頷いた。
このハウス。複雑なカラクリが施されているだけでなく、壁一面は純金でできている。それをカモフラージュするかのように貼られているファンタジックな壁紙。
ミハエルはランズ王国からはビタ一文貰っていないと言っていたがビタ一文どころかガルフ王国とは桁違いの贈り物を賜っていた事になる。
ミハエルは複雑そうな表情でフリードリヒを見るもフリードリヒは久々となる王太子スマイルを炸裂させ破顔した。
…恐ろしいんだけど?ランズ王国。
ミハエルは妹が嫁いだ国ではあるがランズ王国の先を見る眼を今更ながら痛感したのである。
前を歩くクラリスとフリードリヒの背中を追いながら渋い顔をするミハエルにテオドールは
『殿下、そのようなお顔は似合いませんよ?』
ニヤリと笑うテオドールにミハエルは
『そういえばさ、テオドールだっけ?お前、クラリスに恋してるだろ?』
…は?何なんだ?藪から棒に
『私は妃殿下の側近ですが?』
ミハエルはいたずらっ子のように笑うと
『だって檻の中のライオンが子猫を食っちまわないなんてさ、その子猫を愛おしく思ってるから以外考えられないんだもん。』
…子どもか?
『殿下、恐れながら…妃殿下は学園に居た頃本の虫と呼ばれる程に本しかお友達が居ない人でしたが?』
…そんなんに恋するか!
『勤勉なのは王女としてお手本のようだ。』
『殿下、恐れながら…妃殿下は鉄パンツを履いていると揶揄されておりましたが?』
…そんなんに恋するか!
『素晴らしい。王女たるもの貞操は固くなければな。』
テオドールは怪訝そうにミハエルを見るもミハエルは嬉しそうだ。
『殿下、恐れながら。スラム街で護衛を自ら巻く妃殿下ですが?』
ミハエルは少し困ったように
『ま、まぁ昔から少しお転婆でもあったからね?』
…少しじゃねぇけどな?
『殿下、』
ミハエルは降参でも宣言するような表情で
『まだあるの?』
『恐れながら、妃殿下は自らスラムへ入り浸りますよ?』
ここまで来ると、もはや苦情。
『分かった分かった!こんなじゃじゃ馬だけどこれからも宜しく頼む。』
テオドールは尚も
『殿下、恐れながら』
辟易としながらテオドールを見るミハエルに
『人として何より大切なものをお持ちでございます。』
…は?
ミハエルは想定の外の言葉に固まると
『貴女の妹君がこの国に嫁いできて下さり
間違いなくランズ王国は活気溢れる国となりました。王族も今や一つになりつつある。』
…。なに?落としてからの持ち上げ?
『私は妃殿下には偉大な力があると思ってます。』
…いやいや今更フォロー?
『私は一生妃殿下の側近でありたいと願っていますよ。』
テオドールは眩しい笑顔をミハエルに送るとミハエルは戸惑いながらも
『そ。そうかありがとう。』
首を傾げながら前を行く2人を追った。
31
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】
ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。
「……っ!!?」
気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
【完結】【R18】素敵な騎士団長に「いいか?」と聞かれたので、「ダメ」と言ってみました
にじくす まさしよ
恋愛
R18です。
ベッドでそう言われた時の、こんなシチュエーション。
初回いきなりR18弱?から入ります。性的描写は、普段よりも大人向けです。
一時間ごとに0時10分からと、昼間は更新とばして夕方から再開。ラストは21時10分です。
1話の文字数を2000文字以内で作ってみたくて毎日1話にしようかと悩みつつ、宣言通り1日で終わらせてみます。
12月24日、突然現れたサンタクロースに差し出されたガチャから出たカプセルから出て来た、シリーズ二作目のヒロインが開発したとあるアイテムを使用する番外編です。
キャラクターは、前作までのどこかに登場している人物です。タイトルでおわかりの方もおられると思います。
登場人物紹介はある程度話が進めば最初のページにあげます
イケメン、とっても素敵な逞しいスパダリあれこれ大きい寡黙な強引騎士団長さまのいちゃらぶです。
サンタ×ガチャをご存じの方は、シンディ&乙女ヨウルプッキ(ヨークトール殿下)やエミリア&ヘタレ泣き虫ダニエウ殿下たちを懐かしく思っていただけると嬉しいです。
前作読まなくてもあまり差し障りはありません。
ざまあなし。
折角の正月ですので明るくロマンチックに幸せに。
NTRなし。近親なし。
完全な獣化なし。だってハムチュターンだもの、すじにくまさよし。
単なる獣人男女のいちゃいちゃです。ちょっとだけ、そう、ほんのちょっぴり拗れているだけです。
コメディ要素は隠し味程度にあり
体格差
タグをご覧下さい。今回はサブタイトルに※など一切おきません。予告なくいちゃいちゃします。
明けましておめでとうございます。
正月なのに、まさかのクリスマスイブです。
文字数→今回は誤字脱字以外一切さわりませんので下書きより増やしません(今年の抱負と課題)
冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!
仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。
18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。
噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。
「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」
しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。
途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。
危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。
エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。
そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。
エルネストの弟、ジェレミーだ。
ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。
心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる