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考え込むクラリス
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クラリスは大事を取って3日間の休みをフリードリヒから言い渡されていた。
…。
何だか腑に落ちない。
確かにスラム街で拉致をされそうになったのは間違いない。
確かに殿下の言うようにそうゆう輩が多いスラム街かも知れないが…。
あの時、襲われた時の黒尽くめの者たちからはスラム街独特の香りがしなかった。というより石鹸のような香り、まさに貴族らの夜会で通り行く者たちの香りがした。
そしてあの薬品。スラム街でよくあるシンナーの類ではなく甘い香りがしたのである。
…まさか殿下の指示?
いやいやいくらなんでもそれは無い…
事もないか?
だからテオドール?
だがそこまでする理由が見当たらない…。
クラリスは縺れる脳みそを撹拌するかのようブンブンと横に振ると、大きく息を吐き部屋を出た。
クラリスは久々にガセボでお茶を飲み頭を休ませていると前方にある長い廊下を側近らを何人も従え歩く、ランズ王国第1王子のアルフレッドの姿を捉えた。
…アルフレッド様だわ。流石よね。
クラリスが遠く離れたアルフレッドを眺めているとあまりに強い視線に反応するかのようにアルフレッドはガセボに視線を流した。驚いたクラリスは咄嗟に視線を外すと
…びっくりしたぁ
目の前のカップに手を伸ばした。
…思えば複雑よね。あれだけ品行方正で人脈もあるお方、それも王国第1王子でありながら産みの親が側妃というだけで、あんなのの下に従わされるなんて。正妃の子と言うだけで王太子になったようなものよね、あの男は。
クラリスは自分の夫であるフリードリヒの顔を浮かべながら大きくため息を付いた。
『お加減はいかがかな?』
いきなり後方からの問いかけにクラリスは自分でも驚くような間抜けな声を吐き出した。
『ほへ?』
振り向くとそこには先程まで前方にある長い廊下を歩いていたアルフレッドが側近らを連れてクラリスの後ろに立っていたのである。
驚いたクラリスは飛び上がると急ぎ立ち上がり膝を折ると
『いや、楽にしてください。それより災難でしたね。』
何ともタイムリーな話題にクラリスは苦笑いを浮かべ小さく微笑むと
『おかげさまで…』
顔を上げるとまるでロボットのように表情の無い側近らが目に入った。
流石は第1王子の側近。表情を読み取らせる事の無い隙の無い面々。
背筋を伸ばしたクラリスは真っ直ぐとアルフレッドを見上げた。アルフレッドはクラリスを見下ろすと1つ頷き
『お困りの事があれば何でもおっしゃって下さい』
それだけ言うと踵を返して去って行った。
その後ろ姿を見送りながら
…主が違うと側近までもこうも違うのね。
関心するクラリスであった。
…。
何だか腑に落ちない。
確かにスラム街で拉致をされそうになったのは間違いない。
確かに殿下の言うようにそうゆう輩が多いスラム街かも知れないが…。
あの時、襲われた時の黒尽くめの者たちからはスラム街独特の香りがしなかった。というより石鹸のような香り、まさに貴族らの夜会で通り行く者たちの香りがした。
そしてあの薬品。スラム街でよくあるシンナーの類ではなく甘い香りがしたのである。
…まさか殿下の指示?
いやいやいくらなんでもそれは無い…
事もないか?
だからテオドール?
だがそこまでする理由が見当たらない…。
クラリスは縺れる脳みそを撹拌するかのようブンブンと横に振ると、大きく息を吐き部屋を出た。
クラリスは久々にガセボでお茶を飲み頭を休ませていると前方にある長い廊下を側近らを何人も従え歩く、ランズ王国第1王子のアルフレッドの姿を捉えた。
…アルフレッド様だわ。流石よね。
クラリスが遠く離れたアルフレッドを眺めているとあまりに強い視線に反応するかのようにアルフレッドはガセボに視線を流した。驚いたクラリスは咄嗟に視線を外すと
…びっくりしたぁ
目の前のカップに手を伸ばした。
…思えば複雑よね。あれだけ品行方正で人脈もあるお方、それも王国第1王子でありながら産みの親が側妃というだけで、あんなのの下に従わされるなんて。正妃の子と言うだけで王太子になったようなものよね、あの男は。
クラリスは自分の夫であるフリードリヒの顔を浮かべながら大きくため息を付いた。
『お加減はいかがかな?』
いきなり後方からの問いかけにクラリスは自分でも驚くような間抜けな声を吐き出した。
『ほへ?』
振り向くとそこには先程まで前方にある長い廊下を歩いていたアルフレッドが側近らを連れてクラリスの後ろに立っていたのである。
驚いたクラリスは飛び上がると急ぎ立ち上がり膝を折ると
『いや、楽にしてください。それより災難でしたね。』
何ともタイムリーな話題にクラリスは苦笑いを浮かべ小さく微笑むと
『おかげさまで…』
顔を上げるとまるでロボットのように表情の無い側近らが目に入った。
流石は第1王子の側近。表情を読み取らせる事の無い隙の無い面々。
背筋を伸ばしたクラリスは真っ直ぐとアルフレッドを見上げた。アルフレッドはクラリスを見下ろすと1つ頷き
『お困りの事があれば何でもおっしゃって下さい』
それだけ言うと踵を返して去って行った。
その後ろ姿を見送りながら
…主が違うと側近までもこうも違うのね。
関心するクラリスであった。
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