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妃殿下の目論見

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リッカルドは執務室に戻るとギャレットが申し訳無さそうに言う。

『リッカルド、驚いたよ!どうして話してくれなかったんだ?君が妃殿下を護衛していただなんて知らなかったから、妃殿下が行方不明ときいて君が妃殿下を‥と最悪の事態が頭を過ぎったよ。』

ギャレットの奇想天外な思考に驚いたのはむしろキャサリンであった。

『リッカルドがそんな事にする訳ないって、まぁ私も偉そうには言えないのだけど‥』


歯切れの悪いキャサリンにリッカルドは

『その通りですよ妃殿下。それで?何故あの者たちをお守りに?』

意味のわからないギャレットは目を見開きキャサリンを見る。


『別に守ったつもりはないわ?』

『では何故捕らえず帰したのですか?妃殿下が真相を話せば奴らは極刑です。』


キャサリンはリッカルドを真っ直ぐ見つめて

『リッカルド。極刑の意味は?』


驚いた様にキャサリンを見つめるリッカルド。


『今回あの者たちは私に指一本触れてはいないの。もちろん彼らの企みが明るみに出れば、王太子妃の拉致。国に対しての謀反。処刑よね。

でもねあの者たちを処刑にした所で何も変わらないわ。無駄死によ?それなら死ぬまでそれ相応の働きをしてもらう方がよっぽど有益だと思わない?』



‥。



『つまり、あの者たちは悪人にさえなれなかったって事。』


そう言うとキャサリンは事の詳細を2人に話した。


『暇な金勘定しか出来ない貴族のようだ。』

ギャレットがポツリと呟くとリッカルドは深く頷き

『間違いない。しかしよろしいのですか?このまま野放しにしておいて‥』


『あら、野放しだなんて。彼らは直に孤児院の件で問い詰められるわ。処刑が頭に霞んでいるのだから大人しく協力的に何でも話すはずよ?でなければ‥』

キャサリンはニヤリと口角を上げた。


ギャレットは思わず


『こわっ!』


キャサリンは振り返りギャレットを睨み付けた。


『ご存知だったのですね?私が護衛をしているのを。』


キャサリンは一瞬固まりすぐに微笑むと

『リッカルドは私の護衛騎士ですもの。』



その様子を扉の向こうでノブに手を掛けたままのカールトンは柔らかい笑みを浮かべ黙って踵を返して執務室へ戻って行った。






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