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ジュリラン大王国

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ジュリラン大王国は大陸の2大勢力の大王国である。オリヴィアはこの国の第2王女としてこの世に生を受けた。

生まれながらの王族といえば聞こえは良いが普通の家とは違いかなり特殊な環境である。

ジュリラン大王国では正妃に子どもはおらず3人の子どもたちは側妃が生んだ王子と王女で成り立っていた。


何故かは知らぬが正妃は離宮に閉じこもりオリヴィアとてあまり顔を見たこともない。

側室の力の差で子どもたちの環境もずいぶんと異なりオリヴィアの母は権力に全く興味がなくオリヴィアを産んだ後はこれまた離宮で悠々自適に暮らしていたのである。


オリヴィアの兄のラインハルトは既に立太子を終え執務を熟している。オリヴィアとはあまり接点がなく遠い存在である。よく言う王子様とは違いあまり笑顔を見たことがない。

そして姉のステファニーは男に生まれていたならばこちらが立太子していたであろうという程優秀で権力にも固執している。オリヴィアとはもちろん接点はなくこれまた遠い存在であった。


そんなある日、国王陛下より3人が召喚されたのである。久々に顔を合わせる兄弟たちは王族の威厳溢れる方であった。オリヴィアは2人の表情を見るもすぐに俯き自己嫌悪に陥るのである。



『ラインハルト、帝国の嫁取りの件存じておるな?』

高い所から声を掛ける国王陛下はオリヴィアにとっても父親であるがそんな温かい視線を送られた事も無ければ話す事も無い。それは冷遇されているのではなく他の兄弟たちとて同じであった。要は仕事人間で愛などとは無縁の人のようだ。その性質を見事に受け継いだのが上の2人でオリヴィアにはその性質は受け継がれていないようである。



『はい、来週にも皇帝自らこちらにお立ち寄り頂く手配となっております。』

国王陛下は納得したかのように


『抜かり無く頼むぞ。』

3人は一斉に頭を垂れた。その後ラインハルトの執務室に呼ばれ何年ぶりだか3人が顔を合わせて目の前にはお茶が置かれる。


…長いって事だわ。


オリヴィアは背筋を伸ばした。


『お兄様、わたくしが帝国へ嫁ぎます。必ずや我が国の力となるよう尽力いたしますわ。』


まだ誰も何の話もしていないのにステファニーが口火を切った。もちろん帝国に嫁ぐは王女となればステファニーかオリヴィアしか居ない。オリヴィアは御免被りたいのは当たり前。ほっと息をついた。


『そうか、ただ帝国だけではなくアナリス大王国にも王女を出さなくてはいけないから、どのみちどちらにも嫁いでもらわないといけないからね。』

ラインハルトは他人事のようにお茶を飲みながら話している。ステファニーは

『ならばオリヴィアはアナリスへ参りなさい。』


2人の視線を受けてオリヴィアは小さく


『はい。』

と答えるだけで精一杯であった。


…この圧、やめてほしいわ。







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