18 / 59
マドリン王国結婚式
しおりを挟む
マドリン王国王太子妃を迎える式には各国からも参列し盛大に執り行なわれた。
エミリアはヨハネスの事は婚約者としては好きでは無かったが幼なじみという側面からは幸せになって欲しいと思っている。
目の前の2人は間違いなく幸せそうだ。エミリアは自然と笑みが溢れる。
『おめでたいね。相変わらず。』
エミリアは声を聞いて振り返ると久方ぶりの再会であるリア王国王太子のジルベルトが苦笑いをしていた。
『ご無沙汰しております』
エミリアが美しいカーテシーを披露するとジルベルトはあからさまに
『他人行儀だな…』
1人呟くもエミリアは幸せそうな2人に拍手を贈っている。
その様子を眺めながらジルベルトは大きく息を吐いた。
夜会が始まると、祝の場ではあるが各々社交も始まる。エミリアは1人庭に出ると足繁く通い詰めた王宮をぐるりと見渡しお気に入りのベンチに腰を下ろした。
常に距離を保つ為に装着してきた仮面。それは政略結婚への小さな反抗である。ヨハネスとの婚約に夢を見ていた頃もあった。共に過ごしているうちにヨハネスの2面性に肩を落とした。上部だけの言葉に踊らされる程、世間知らずでもなかった。日に日に積もる嫌悪感。それでも王太子妃になるのは己の定め。その重りから解放されたエミリアはただ目の前の薔薇園を眺めながら冷たい風に当たっていた。
『エミリア嬢』
エミリアの隣に腰を下ろしたのはジルベルトであった。エミリアは辺りを見渡し急いで立ち上がると
『貴方!王太子としての自覚あるの?こんな所で私と2人でいる所見られたら大変よ!』
エミリアは駆け出す勢いであるがその手首をしっかり掴むジルベルト。驚いたエミリアは不思議そうにジルベルトに問う。
『どうしたの?何かあったの?』
ジルベルトはようやく安堵の笑みをこぼすと
『良かった。嫌われてるのかと思ってたよ。』
…。
エミリアは首を捻り
『どうして貴方を嫌うの?』
『他人行儀で距離を取るのは君の必殺技だろ?』
…。
『必殺技ってね。語彙力足りないわよ?』
2人は顔を見合わせ笑いあうとジルベルトは真顔になり
『エミリア嬢、明日時間をくれないか?話があるんだ。国家機密だからここでは話せない。』
…!
国家機密とならば穏やかでない。ジルベルトが明日公爵邸を訪ねる事を約束すると2人は別々に会場へ戻って行った。
エミリアはヨハネスの事は婚約者としては好きでは無かったが幼なじみという側面からは幸せになって欲しいと思っている。
目の前の2人は間違いなく幸せそうだ。エミリアは自然と笑みが溢れる。
『おめでたいね。相変わらず。』
エミリアは声を聞いて振り返ると久方ぶりの再会であるリア王国王太子のジルベルトが苦笑いをしていた。
『ご無沙汰しております』
エミリアが美しいカーテシーを披露するとジルベルトはあからさまに
『他人行儀だな…』
1人呟くもエミリアは幸せそうな2人に拍手を贈っている。
その様子を眺めながらジルベルトは大きく息を吐いた。
夜会が始まると、祝の場ではあるが各々社交も始まる。エミリアは1人庭に出ると足繁く通い詰めた王宮をぐるりと見渡しお気に入りのベンチに腰を下ろした。
常に距離を保つ為に装着してきた仮面。それは政略結婚への小さな反抗である。ヨハネスとの婚約に夢を見ていた頃もあった。共に過ごしているうちにヨハネスの2面性に肩を落とした。上部だけの言葉に踊らされる程、世間知らずでもなかった。日に日に積もる嫌悪感。それでも王太子妃になるのは己の定め。その重りから解放されたエミリアはただ目の前の薔薇園を眺めながら冷たい風に当たっていた。
『エミリア嬢』
エミリアの隣に腰を下ろしたのはジルベルトであった。エミリアは辺りを見渡し急いで立ち上がると
『貴方!王太子としての自覚あるの?こんな所で私と2人でいる所見られたら大変よ!』
エミリアは駆け出す勢いであるがその手首をしっかり掴むジルベルト。驚いたエミリアは不思議そうにジルベルトに問う。
『どうしたの?何かあったの?』
ジルベルトはようやく安堵の笑みをこぼすと
『良かった。嫌われてるのかと思ってたよ。』
…。
エミリアは首を捻り
『どうして貴方を嫌うの?』
『他人行儀で距離を取るのは君の必殺技だろ?』
…。
『必殺技ってね。語彙力足りないわよ?』
2人は顔を見合わせ笑いあうとジルベルトは真顔になり
『エミリア嬢、明日時間をくれないか?話があるんだ。国家機密だからここでは話せない。』
…!
国家機密とならば穏やかでない。ジルベルトが明日公爵邸を訪ねる事を約束すると2人は別々に会場へ戻って行った。
10
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる