冷酷皇帝とお花畑妃殿下

makojou

文字の大きさ
上 下
10 / 32

南帝国へ

しおりを挟む
カイザルは大帝国第2皇子として、不自由のない生活を送っていた。第1皇子のエマニュエルは文に優れカイザルは武に優れ2人は各々の役割を理解していた。


エマニュエルは皇太子となるべく社交界にも精通にこやかな笑顔で令嬢らを魅了していた。一方のカイザルは主に征伐の為、宮を離れている事が多く、社交界には疎くにこやかなスマイルも存在しない。


そんなカイザルではあるが、兄であるエマニュエルの腹黒さを誰よりも知っていた。エマニュエルは完璧な皇太子としての仮面を被り社交界ではその柔軟なスマイルで皇太子としての確固たる地位を築いていたが、その分誰よりも負けず嫌いで時に白を黒とする事も厭わない。

手に入れるべきものはどんな手を使ってでも手に入れる強者である。統率者としては完璧ではあるがカイザルはその裏の顔を知る1人であった。






…何かある。このタイミング。


カイザルは馬車に揺られながらエマニュエルの出方を案じていた。目の前の謎の王女は当てにならない。この王女もまたどこまで信用に値するのかは甚だ疑問だ。


『うわぁ、スノードームだわ!』

『スターダストだわ!』



カイザルの思いも知らず目を輝いているこの少女の声すらにも苛立ちを覚えながらフランシスを睨みつけた。


フランシスはペロっと舌を出すとカイザルに視線を移しカイザルを上目遣いで盗み見た。


…ご機嫌ななめのようね。ってかそんなに眉間にシワを刻んでいたら跡になるわよ?


フランシスはカイザルを盗み見るのを秒で飽き、
長い道のりを楽しむように馬車からの景色を楽しんだ。


…旅行じゃないからな?


カイザルがフランシスにさらなる睨みを効かせるも当の本人には届いていなかった。




長い長い沈黙の中、馬車は静かに止まると本日の宿所への到着であった。宿所と言っても野営である。カイザルは騎士団長として経験から野営キャンプは慣れているが、フランシスはもちろん初めての経験である。


フランシスは先に降りたカイザルのエスコートを待つ事なくピョンと飛び降りると辺りを見渡しすぐさま侍女のエリサに


『ねえ、エリサ。これが噂の野営?』


…噂って


エスコートを待たずして、それも馬車から飛び降りる姫、いや令嬢さえもカイザルは知らない。不思議そうにフランシスを見るもフランシスはエリサからの説明に聞き入っている。


『ねえ、師匠は来てるのよね?』


…師匠?


カイザルの心の声に答えるかのように料理長が飛んで来る。


…?


『ねえ、厨房ではなくお外で料理するのよね?私も手伝うわ!』


いつものように話すフランシスであるが料理長は冷や汗をかいてカイザルを気にしている様にカイザルは面倒くさそうに背を向けるとファビウスに声を掛けた。


『ファビウス。』


飛んできたファビウスに


『特に用は無い。』


不機嫌そうに前を行く主にファビウスは頭を捻りながらついて行った。


…何なんだ?





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...