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南帝国へ
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カイザルは大帝国第2皇子として、不自由のない生活を送っていた。第1皇子のエマニュエルは文に優れカイザルは武に優れ2人は各々の役割を理解していた。
エマニュエルは皇太子となるべく社交界にも精通にこやかな笑顔で令嬢らを魅了していた。一方のカイザルは主に征伐の為、宮を離れている事が多く、社交界には疎くにこやかなスマイルも存在しない。
そんなカイザルではあるが、兄であるエマニュエルの腹黒さを誰よりも知っていた。エマニュエルは完璧な皇太子としての仮面を被り社交界ではその柔軟なスマイルで皇太子としての確固たる地位を築いていたが、その分誰よりも負けず嫌いで時に白を黒とする事も厭わない。
手に入れるべきものはどんな手を使ってでも手に入れる強者である。統率者としては完璧ではあるがカイザルはその裏の顔を知る1人であった。
…何かある。このタイミング。
カイザルは馬車に揺られながらエマニュエルの出方を案じていた。目の前の謎の王女は当てにならない。この王女もまたどこまで信用に値するのかは甚だ疑問だ。
『うわぁ、スノードームだわ!』
『スターダストだわ!』
カイザルの思いも知らず目を輝いているこの少女の声すらにも苛立ちを覚えながらフランシスを睨みつけた。
フランシスはペロっと舌を出すとカイザルに視線を移しカイザルを上目遣いで盗み見た。
…ご機嫌ななめのようね。ってかそんなに眉間にシワを刻んでいたら跡になるわよ?
フランシスはカイザルを盗み見るのを秒で飽き、
長い道のりを楽しむように馬車からの景色を楽しんだ。
…旅行じゃないからな?
カイザルがフランシスにさらなる睨みを効かせるも当の本人には届いていなかった。
長い長い沈黙の中、馬車は静かに止まると本日の宿所への到着であった。宿所と言っても野営である。カイザルは騎士団長として経験から野営キャンプは慣れているが、フランシスはもちろん初めての経験である。
フランシスは先に降りたカイザルのエスコートを待つ事なくピョンと飛び降りると辺りを見渡しすぐさま侍女のエリサに
『ねえ、エリサ。これが噂の野営?』
…噂って
エスコートを待たずして、それも馬車から飛び降りる姫、いや令嬢さえもカイザルは知らない。不思議そうにフランシスを見るもフランシスはエリサからの説明に聞き入っている。
『ねえ、師匠は来てるのよね?』
…師匠?
カイザルの心の声に答えるかのように料理長が飛んで来る。
…?
『ねえ、厨房ではなくお外で料理するのよね?私も手伝うわ!』
いつものように話すフランシスであるが料理長は冷や汗をかいてカイザルを気にしている様にカイザルは面倒くさそうに背を向けるとファビウスに声を掛けた。
『ファビウス。』
飛んできたファビウスに
『特に用は無い。』
不機嫌そうに前を行く主にファビウスは頭を捻りながらついて行った。
…何なんだ?
エマニュエルは皇太子となるべく社交界にも精通にこやかな笑顔で令嬢らを魅了していた。一方のカイザルは主に征伐の為、宮を離れている事が多く、社交界には疎くにこやかなスマイルも存在しない。
そんなカイザルではあるが、兄であるエマニュエルの腹黒さを誰よりも知っていた。エマニュエルは完璧な皇太子としての仮面を被り社交界ではその柔軟なスマイルで皇太子としての確固たる地位を築いていたが、その分誰よりも負けず嫌いで時に白を黒とする事も厭わない。
手に入れるべきものはどんな手を使ってでも手に入れる強者である。統率者としては完璧ではあるがカイザルはその裏の顔を知る1人であった。
…何かある。このタイミング。
カイザルは馬車に揺られながらエマニュエルの出方を案じていた。目の前の謎の王女は当てにならない。この王女もまたどこまで信用に値するのかは甚だ疑問だ。
『うわぁ、スノードームだわ!』
『スターダストだわ!』
カイザルの思いも知らず目を輝いているこの少女の声すらにも苛立ちを覚えながらフランシスを睨みつけた。
フランシスはペロっと舌を出すとカイザルに視線を移しカイザルを上目遣いで盗み見た。
…ご機嫌ななめのようね。ってかそんなに眉間にシワを刻んでいたら跡になるわよ?
フランシスはカイザルを盗み見るのを秒で飽き、
長い道のりを楽しむように馬車からの景色を楽しんだ。
…旅行じゃないからな?
カイザルがフランシスにさらなる睨みを効かせるも当の本人には届いていなかった。
長い長い沈黙の中、馬車は静かに止まると本日の宿所への到着であった。宿所と言っても野営である。カイザルは騎士団長として経験から野営キャンプは慣れているが、フランシスはもちろん初めての経験である。
フランシスは先に降りたカイザルのエスコートを待つ事なくピョンと飛び降りると辺りを見渡しすぐさま侍女のエリサに
『ねえ、エリサ。これが噂の野営?』
…噂って
エスコートを待たずして、それも馬車から飛び降りる姫、いや令嬢さえもカイザルは知らない。不思議そうにフランシスを見るもフランシスはエリサからの説明に聞き入っている。
『ねえ、師匠は来てるのよね?』
…師匠?
カイザルの心の声に答えるかのように料理長が飛んで来る。
…?
『ねえ、厨房ではなくお外で料理するのよね?私も手伝うわ!』
いつものように話すフランシスであるが料理長は冷や汗をかいてカイザルを気にしている様にカイザルは面倒くさそうに背を向けるとファビウスに声を掛けた。
『ファビウス。』
飛んできたファビウスに
『特に用は無い。』
不機嫌そうに前を行く主にファビウスは頭を捻りながらついて行った。
…何なんだ?
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