冷酷皇帝とお花畑妃殿下

makojou

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マリラン王女フランシス

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カイザルは目の前の少女の仮面を付けたマリラン王女を怪訝そうに眺めているとマリラン王女フランシスはにっこりと笑い



『とは言っても私はまず南帝国に視察に参りましたけどね?』

ペロリと舌を出すフランシスはまだあどけない。


『兄上は大歓迎したのでは?』


『皇宮には行ってませんけど?』


…では、何しに行ったんだよ。


言葉を発せずフランシスを見ると


『首都を訪れ、カフェや仕立て屋、町並みなどを楽しみましたの。』


…旅行かよ。


『それで?』


『素敵でしたわ』


…で?なんでここに居る?


『ですがそれだけです。素敵。たまに旅するには楽しい街でしたわ』


…。


『そして北帝国の首都にも参りました』


『特段何も無いようだがな。』


『いいえ、魅力溢れる街でしたわ。』


…どっかと間違えてないか?


『一言で言えば実直。それがあちこちにありましたわ。』


『生きるだけで精一杯なのだ。』


『それが源ですわ。そんな所は統率者の手腕1つでどうにでもなります。

南帝国のように綺羅びやかな生活が日常となれば次第にそれが当たり前に。そしてもっともっとと欲望は青空天井ですわ。私利私欲に塗れ、人としての理性をもどこかへ忘れてしまうもの。

そしてその陰に苦しむはいつも平民です。国家とはその平民の為にあるべきもの。

もちろん北帝国には課題も多くありますわ。でもそんな土地で一緒に試行錯誤しながら国作りが出来るのであればそれはきっと大きな財産となりましょう。


って申し訳ありません。つい、熱が入ってしまいました。いつも叱られるのですよ(笑)お兄様に…』


恥ずかしそうに俯くとフランシスにカイザルは


『いや、構わない。ただ正直驚いてはいる。』


…で、ですよね。

フランシスはやっでしまった…とばかりに俯いたまま顔を紅潮させていた。





それから間もなくして南帝国より親睦会と称し、カイザルとフランシスへ招待状が届いたのである。



『ご、合格という事ですか?』


…試験じゃないがな?


嬉しそうに問うフランシスにカイザルは黙って頷いた。


『姫、とりあえず婚約という事でよいか?』


『はい!一歩前進ですね?』


フランシスは嬉しそうにファビウスに笑顔を向けると後ろに控える女官らにも嬉しそうに手を振った。



…姫、マリラン王女だよな?


フランシスが北帝国に入り3ヶ月程で、北帝国皇宮は驚く程に明るく活気に溢れている現状にカイザルも不本意ながら納得せざるを得なかった。




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