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お義母様からのお誘い

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あれから程なくしてお義母様からのお誘いにより晩餐に招待された。

目の前にはウィルとキャサリン様。
私の右隣にはハインリ。
そして私の左隣にはテオドールとアルフレッド。

楽しい晩餐も終盤。お茶が運ばれて来た頃キャサリン様が私に

『アンネ、ありがとう。貴女も読んだのね?あの記録書を。今日はねきちんと皆の前でお話ししたかったの。』

一斉にキャサリン様の声に耳を傾ける。

『私は、もうとっくの昔にハインリが私とウィルの子どもで間違いないということを知ってましたのよ。もちろんウィルも知っている事もね。

でもね、私がアレクとの血を分けた子どもであることを願っていると思っているハインリにはどうしてもはっきりと明言出来なかったの。

私の期待に応えるべく必死に頑張ってきたハインリには言えなかった。そしてそれはオリビア帝国復活の兆しでもあるから。』





『私も若かったのね‥愛など恋など知らない私にとって幼き頃からの婚約者と一緒になることが当たり前となっていた。それなのにいきなり東国への嫁入り。それも一人で。私はそれはそれは怖かったわ。だからこそ、同志でもあるアレクに依存してしまっていたの。今思えば、それが愛なのかどうかはわからないけれどね。』




『アンネも分かるでしょう?いきなり一人で東国へ、それもお飾りの王太子妃として。西国ではお飾りの王太子妃は一生お飾りの正妃、離宮に閉じ込められると聞くでしょう?だからねアンネの不安もよくわかるの。貴女も恐ろしく怖かったでしょう?』

今度は一斉にリデュアンネに視線が集まる。


(ま、まぢで?)

テオドールが代わりに口を開く。

『キャサリン様、お嬢様はそのような玉ではございませんよ。ここに入る馬車の中では、様々な事を頭に巡らせ悪い顔をしておりましたが?』

(‥テオドール私を売る気ね?)

テオドールの話にウィルが飛びついた。

『アンネ、何を企んでいたのさ?』

何やらワクワクしたお顔で聞いてくる。

『それは‥まぁ、色々と?』

アルフレッドは懐かしそうに笑みを浮かべながら

『ごめんね、リデュ。あの時は辛かったろうね。私が不甲斐ないばっかりに。キャサリン様と同じ思いをさせたのだね。私たち親子は揃いも揃って。』

『いや、全然?』

『『『は?』』』

声がきれいにハモる。

『あの時はね、貴族なんぞ所詮、王国の駒。駒ならば駒で私らしく東国で楽しもうとワクワクしてたわ。もっと言うとね、ハインリに対して、今まで西国の王太子の婚約者ということで、我慢もしてきたけれど、今度からは婚約者でしょう?何してやろうかって頭を巡らせてたわよ。』


ノリノリで話し終わる。

(‥やってしまった)

テオドールがご丁寧に説明する。

『私も悪い顔をしているお嬢様の考えている事くらい分かりますので。お嬢様はアルフレッドとの別れよりも駒のように動かされる立場にとても落ち込んでおられましたよ。こういう人なのです(笑)』

笑うテオドールに、何だか知らないが落ち込むアルフレッド。

『リデュは私との別れが悲しくなかったの?』



‥『悲しいも何も政略結婚じゃない(笑)その相手が王子様からサルに代わっただけだと思ってた!』


気がつくとキャサリン様が目を見開いていた。

(え?マズッた?)


『アンネ、貴女という人は‥私、西国から東国へ嫁いでくる貴女は、私のようにアレクの息子との子種をお腹に入れて来たと思っていたわ!』

『!ぇえ~?』

淑女らしからぬ声を上げる。

(そんな事を考えるのは貴女くらいですよ‥)

ハインリがアルフレッドを睨む。
大きく首をふるアルフレッド。

『そんな事考えもしませんでしたわ!ってか必要ないし、ね?ハインリ?』

ハインリは頭を巡らせて納得したかの様に頷いた。

『間違いない。』

安堵の空気が流れる。

『アンネは強いのね。流石はトゥモルデン公爵の娘ね。』

そう、私は元リデュアンネ・フォン・トゥモルデン


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