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再びのダンス
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アン王女は差し出された手に再び手を重ねると音楽に合わせて踊りだした。
『2曲も私と踊るなんて明日のゴシップ誌は大忙しね?』
『ヴィクトリアが何?』
アン王女はクスクスと笑いながら嬉しそうに
『本当わかり易いんだからってまぁいいわ。殿下は兄がヴィクトリア様をお気に入りって事はご存知よね?』
…お気に入りってどころじゃないけどね?
『でもね、兄にはヴィクトリア様を落とせないわ。ううん、うちのお兄様でも無理だわ。』
サンライズ王国王太子と第二王子でも無理だと言う事だ。
『殿下もご存知の通り私達兄妹の和解はまだ最近の事。それまでは王太子派と第二王子派は大きく分裂していたでしょう?そんな時兄が妻帯するとなればサンライズ王国王太子夫妻は盤石なものになるわ。それも相手は隣国の元王太子妃。そりゃ私達も焦ったわ。』
『まだ今現在もヴィクトリアは私の妻だ。』
『そんな事どうでもよいの。でね?我々も色々と動いてた中の1つが殿下に娶れ作戦よ?誰も好き好んで貴方に求婚しないわよ。私のタイプではないしね?』
…君のタイプは聞いてないよ。
『そうでもしないと王宮に入れ込めないじゃない?だからあの散財もフェイク。』
驚いたアレクセイにアン王女は尚も続ける。
『王宮で見たヴィクトリア様は噂とは随分と異なり正直驚いたの。略奪婚をして尚も兄まで魅了する毒女かと思えば殿方には何の興味も示さない。実際様々なイケメンを使ったのよ?いわゆるハニトラよ。』
…オイオイ。
『だけどひとつも成功しなかった。それだけじゃないわ、彼女は王太子妃としての椅子にも興味を示さない、そのくせ執務に追われている。どんだけ仕事人間なのよ。ほとほと呆れたと同時にそんな彼女に興味も抱いたの。』
…。
『もしかして異性に興味がないのか?でも違ってた。こちらに話し相手として入らせて頂くようになってアナスタージア様も含めて恋バナもしたし真実の愛に憧れる気持ちもお持ちだわ。』
『恋バナ?ヴィクトリアが?なんて?』
アン王女はニコリと微笑みながら
『乙女の会話は口外出来ないわ。だけどね…』
アン王女は真剣に聞くアレクセイに笑いを堪えながら1つ咳をすると
『殿下にはお世話になっているし1つだけ教えて差し上げるわ。』
目を見開いたアレクセイに
『お茶会。』
『茶会?』
『私同様、お兄様も今こちらでヴィクトリア様の護衛を兼ねて側におりますわよね?そのお兄様から聞いたのですが、ヴィクトリア様がお茶会を眺めながら涙をこらえていらっしゃったと。』
『ヴィクトリアが?なぜ?』
『お兄様も不思議に思って妃殿下の視線を辿ると、そこには殿下が令嬢たちにあの胸糞悪い笑顔を撒き散らしていたとか。』
アレクセイは頭を巡らせると
『あの時か!』
『いいですか?殿下のその王太子スマイルはどうでも良い令嬢を幸せにはしますが、一方で涙を流す女が居ることをお忘れなく!』
アレクセイは尚も頭を巡らせると
『何故、泣く…?』
アン王女は三度ため息を盛大にもらすと
『ねえ、本当に本当?それとも他人の口から聞きたいの?』
…。
『他の令嬢と楽しそうにしている姿を見て悲しむって感情がお分かりにならない?私なら殿下が笑ってようが泣いてようが知ったこっちゃないですがね?』
はっと気づいた様子のアレクセイにアン王女は
『殿下…貴方も存分鈍くていらっしゃる…。』
嬉しそうに微笑むアレクセイにアン王女は怪訝そうに見つめ
『頭に花を咲かせている場合じゃなくてよ?崖っぷちってのは変わらないですからね?』
アン王女の心配を他所にアレクセイはにっこり微笑み
『何だかありがとう…。もし良かったら今度からはヴィクトリアの話し相手の後、私の話し相手もお願い出来ないかな?』
アン王女はステップを踏み間違いそうになりながら
『勘弁被りたいですわ!そんな事より殿下は私に感謝してくださいね。このダンスを披露した後我こそはと殿下のダンスのお相手に手を挙げる身の程知らずはおりません事よ?』
アン王女は音楽の余韻に合わせて定位置に戻ると再び美しいカーテシーを披露した。
…やれやれ世話が掛かるわね。
『2曲も私と踊るなんて明日のゴシップ誌は大忙しね?』
『ヴィクトリアが何?』
アン王女はクスクスと笑いながら嬉しそうに
『本当わかり易いんだからってまぁいいわ。殿下は兄がヴィクトリア様をお気に入りって事はご存知よね?』
…お気に入りってどころじゃないけどね?
『でもね、兄にはヴィクトリア様を落とせないわ。ううん、うちのお兄様でも無理だわ。』
サンライズ王国王太子と第二王子でも無理だと言う事だ。
『殿下もご存知の通り私達兄妹の和解はまだ最近の事。それまでは王太子派と第二王子派は大きく分裂していたでしょう?そんな時兄が妻帯するとなればサンライズ王国王太子夫妻は盤石なものになるわ。それも相手は隣国の元王太子妃。そりゃ私達も焦ったわ。』
『まだ今現在もヴィクトリアは私の妻だ。』
『そんな事どうでもよいの。でね?我々も色々と動いてた中の1つが殿下に娶れ作戦よ?誰も好き好んで貴方に求婚しないわよ。私のタイプではないしね?』
…君のタイプは聞いてないよ。
『そうでもしないと王宮に入れ込めないじゃない?だからあの散財もフェイク。』
驚いたアレクセイにアン王女は尚も続ける。
『王宮で見たヴィクトリア様は噂とは随分と異なり正直驚いたの。略奪婚をして尚も兄まで魅了する毒女かと思えば殿方には何の興味も示さない。実際様々なイケメンを使ったのよ?いわゆるハニトラよ。』
…オイオイ。
『だけどひとつも成功しなかった。それだけじゃないわ、彼女は王太子妃としての椅子にも興味を示さない、そのくせ執務に追われている。どんだけ仕事人間なのよ。ほとほと呆れたと同時にそんな彼女に興味も抱いたの。』
…。
『もしかして異性に興味がないのか?でも違ってた。こちらに話し相手として入らせて頂くようになってアナスタージア様も含めて恋バナもしたし真実の愛に憧れる気持ちもお持ちだわ。』
『恋バナ?ヴィクトリアが?なんて?』
アン王女はニコリと微笑みながら
『乙女の会話は口外出来ないわ。だけどね…』
アン王女は真剣に聞くアレクセイに笑いを堪えながら1つ咳をすると
『殿下にはお世話になっているし1つだけ教えて差し上げるわ。』
目を見開いたアレクセイに
『お茶会。』
『茶会?』
『私同様、お兄様も今こちらでヴィクトリア様の護衛を兼ねて側におりますわよね?そのお兄様から聞いたのですが、ヴィクトリア様がお茶会を眺めながら涙をこらえていらっしゃったと。』
『ヴィクトリアが?なぜ?』
『お兄様も不思議に思って妃殿下の視線を辿ると、そこには殿下が令嬢たちにあの胸糞悪い笑顔を撒き散らしていたとか。』
アレクセイは頭を巡らせると
『あの時か!』
『いいですか?殿下のその王太子スマイルはどうでも良い令嬢を幸せにはしますが、一方で涙を流す女が居ることをお忘れなく!』
アレクセイは尚も頭を巡らせると
『何故、泣く…?』
アン王女は三度ため息を盛大にもらすと
『ねえ、本当に本当?それとも他人の口から聞きたいの?』
…。
『他の令嬢と楽しそうにしている姿を見て悲しむって感情がお分かりにならない?私なら殿下が笑ってようが泣いてようが知ったこっちゃないですがね?』
はっと気づいた様子のアレクセイにアン王女は
『殿下…貴方も存分鈍くていらっしゃる…。』
嬉しそうに微笑むアレクセイにアン王女は怪訝そうに見つめ
『頭に花を咲かせている場合じゃなくてよ?崖っぷちってのは変わらないですからね?』
アン王女の心配を他所にアレクセイはにっこり微笑み
『何だかありがとう…。もし良かったら今度からはヴィクトリアの話し相手の後、私の話し相手もお願い出来ないかな?』
アン王女はステップを踏み間違いそうになりながら
『勘弁被りたいですわ!そんな事より殿下は私に感謝してくださいね。このダンスを披露した後我こそはと殿下のダンスのお相手に手を挙げる身の程知らずはおりません事よ?』
アン王女は音楽の余韻に合わせて定位置に戻ると再び美しいカーテシーを披露した。
…やれやれ世話が掛かるわね。
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