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安定のヴィクトリア
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翌日朝遅くに起きたヴィクトリアは王太子の執務室へ足を運んだ。
「レオン、お前は妃殿下を置いて助けを求めに帰ってくるなど何考えてるんだ?」
レイモンドがレオンに詰めている所にやって来たヴィクトリアはすかさず
「レイモンド、違うわ!私が命じたのよ!レオンも黙ってないでそう言えばいいじゃない!」
…言えるかよ、仮にも護衛として付いていたのに。
心の声を押し殺しているレオンにアレクセイは
「そうなのか?」
レオンは小さく頷いた。
「考えてみて下さい。あの数をいくらレオンでも一人では無駄死にするだけだわ。それならば早馬を走らせて助けを求めるのが得策。現に私は助けていただきましたわ!
っというかそもそもあの数に殿下とレイモンドが2人で来られた時はレオンを軽く恨んだわよ?」
「いやいやここを出る時は最大の騎士で救済に向かったのですが…いかんせんお二人が早すぎるのです。」
ヴィクトリアは何故か得意気な2人の顔を横目にアナスタージアに声を掛けた。
「いつもありがとうございます。実はロマニア王国からアナスタージア様と食べようとクッキーを買って参りましたの。いかがですか?」
アナスタージアは満面の笑みを浮かべ
「ガゼボテラスに出ましょうか?」
これまた不思議な光景を3人の男たちは呆然と見つめていた。
「アナスタージア様、まずはご心配をお掛けしております。」
アナスタージアは首を振りながら
「こうして無事でお帰りいただきましただけで嬉しいですわ。」
…いやいやそこではなくてな?一応貴女と私は恋敵みたいなもんでしょう?
「ありがとうございます。でもそこではなくて…その。私はアナスタージア様と殿下の仲を引き裂くつもりなど毛頭ないありませんからね?それだけはお伝えしておきたくて。」
そもそもステファニーからの略奪だけでも申し訳ないヴィクトリア。アナスタージアとの恋仲まで邪魔するような無粋な真似はしたくないのだ。
アナスタージアは3度瞬きをすると
「私と殿下?」
不思議そうにヴィクトリアを見るアナスタージアに尚も
「ですからその、アナスタージア様はゆくゆくは、正妃として殿下をお支えする訳で2人は真実の愛とやらで…」
支離滅裂なヴィクトリアにアナスタージアは
「それは妃殿下と殿下の事でしょう?私は妃殿下をお支えするためにここにおりますの。名目上側妃ではありますが、気になるようでしたら外していただきますか?」
ヴィクトリアは驚き目を見開くと
「いえいえ全然、全く気になるだなんて!私はただアナスタージア様と恋敵のように扱われるのを懸念しているだけで…」
「恋敵?どうしてですか?」
「え?どうしてって…」
うつむくヴィクトリアをアナスタージアはケラケラと笑いながら
「焼きもちとかいうものですか?まぁ羨ましいわ!」
!…違うから!
思考回路がバグっているヴィクトリアを嬉しそうに見つめながら
「では早速いただきますね?」
珍しいクッキーを頬張るアナスタージアを見つめるヴィクトリアはなぜだかどっぷりと疲れ果てていた。
そして同時にここに転生した時期がアレクセイとアナスタージアの恋が始まる前であった事をこの時初めてさとったヴィクトリアであった。
…どうするの。これ。
ヴィクトリアは固まり目の前で頬張るアナスタージアを眺めていた。
「レオン、お前は妃殿下を置いて助けを求めに帰ってくるなど何考えてるんだ?」
レイモンドがレオンに詰めている所にやって来たヴィクトリアはすかさず
「レイモンド、違うわ!私が命じたのよ!レオンも黙ってないでそう言えばいいじゃない!」
…言えるかよ、仮にも護衛として付いていたのに。
心の声を押し殺しているレオンにアレクセイは
「そうなのか?」
レオンは小さく頷いた。
「考えてみて下さい。あの数をいくらレオンでも一人では無駄死にするだけだわ。それならば早馬を走らせて助けを求めるのが得策。現に私は助けていただきましたわ!
っというかそもそもあの数に殿下とレイモンドが2人で来られた時はレオンを軽く恨んだわよ?」
「いやいやここを出る時は最大の騎士で救済に向かったのですが…いかんせんお二人が早すぎるのです。」
ヴィクトリアは何故か得意気な2人の顔を横目にアナスタージアに声を掛けた。
「いつもありがとうございます。実はロマニア王国からアナスタージア様と食べようとクッキーを買って参りましたの。いかがですか?」
アナスタージアは満面の笑みを浮かべ
「ガゼボテラスに出ましょうか?」
これまた不思議な光景を3人の男たちは呆然と見つめていた。
「アナスタージア様、まずはご心配をお掛けしております。」
アナスタージアは首を振りながら
「こうして無事でお帰りいただきましただけで嬉しいですわ。」
…いやいやそこではなくてな?一応貴女と私は恋敵みたいなもんでしょう?
「ありがとうございます。でもそこではなくて…その。私はアナスタージア様と殿下の仲を引き裂くつもりなど毛頭ないありませんからね?それだけはお伝えしておきたくて。」
そもそもステファニーからの略奪だけでも申し訳ないヴィクトリア。アナスタージアとの恋仲まで邪魔するような無粋な真似はしたくないのだ。
アナスタージアは3度瞬きをすると
「私と殿下?」
不思議そうにヴィクトリアを見るアナスタージアに尚も
「ですからその、アナスタージア様はゆくゆくは、正妃として殿下をお支えする訳で2人は真実の愛とやらで…」
支離滅裂なヴィクトリアにアナスタージアは
「それは妃殿下と殿下の事でしょう?私は妃殿下をお支えするためにここにおりますの。名目上側妃ではありますが、気になるようでしたら外していただきますか?」
ヴィクトリアは驚き目を見開くと
「いえいえ全然、全く気になるだなんて!私はただアナスタージア様と恋敵のように扱われるのを懸念しているだけで…」
「恋敵?どうしてですか?」
「え?どうしてって…」
うつむくヴィクトリアをアナスタージアはケラケラと笑いながら
「焼きもちとかいうものですか?まぁ羨ましいわ!」
!…違うから!
思考回路がバグっているヴィクトリアを嬉しそうに見つめながら
「では早速いただきますね?」
珍しいクッキーを頬張るアナスタージアを見つめるヴィクトリアはなぜだかどっぷりと疲れ果てていた。
そして同時にここに転生した時期がアレクセイとアナスタージアの恋が始まる前であった事をこの時初めてさとったヴィクトリアであった。
…どうするの。これ。
ヴィクトリアは固まり目の前で頬張るアナスタージアを眺めていた。
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