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【一人目・一条 臨】
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私たちの前には、初心者級とは思えないかなりでかい角が生えたボスが現れた。
口からは紫色の煙みたいなのを吐いていることから、ブレスが「毒」だということがわかる。
私たちは口布を纏い、各々の定位置に着く。二人での戦闘は初めてなのに、どうしてか、「ヒョウゴならこの位置に着く」とわかってしまった。あいつの方もかなり驚いているようで、目が合うと、ヘニャリと笑う姿がなんだか可愛いと思ったお姉ちゃんです。
私はアサシンの固定スキルである『カメレオン』を使用して、洞窟内の色と同化させる。ヒョウゴはシーフの固定スキルである『イーグル』を使用して、モンスターの右目をライフルで狙う、が外した。
このゲームには職業によって固定スキルが存在する。アサシンには『カメレオン』という周りと同化するスキル、シーフには『イーグル』という獲物を確実に撃ち抜く能力、まるで『鷹』の様に。しかし、カメレオンと違って、こちらはかなりの集中力を要するので、周りの援護が必要となる。信頼するメンバーで無いと使えないという不利な点が存在するのだ。
今回はまだ私は本格的に信頼されていないのだろう。本来ならば右目を『撃ち抜いて当然』なのだ、シーフの固定スキルは。しかし、それができていないということは、私を100%信頼していないことと同意義。それは、まだ出会って日も時間も経っていないのだから仕方ない。
しかし、右目の横を掠っただけでもよしとしよう。
私はカメレオンを使用したままモンスターの後ろに回り、双剣でモンスターの首を斬り落とし、また再生しないよう頭にぶっ刺したのだ。
ここまでしなくても初級モンスターは絶命ものだろうが、念には念をね。
返り血で赤く染まった真っ黒なローブを翻すと、噎せ返るような臭いを発する。
「姉さんっ!ごめん!はずした!あんたを信頼してねーわけじゃねんだ!」
「ん?でも、射抜けなかったじゃない?」
「っ!やっぱりあんた、ただもんじゃねーよ。そういうってことは、姉さんは始めから俺の事信頼してくれてたんだよな?」
「???あのね~信用はしてるわよ?ここまでゲームのことを教えてくれたし、私があんたから金をぶん取っても笑って『俺が悪い』って認めたじゃない?自ら非を認めることができる人間に悪い人はいないと私は考えてるの。ただ、信頼はまだ先かしらね~。あなたの実力がわからないもの」
「ふふふっ!それなら、ここからがおいらの見せ場だな。外した言い訳じゃねーが、集中を欠いた理由が後にわかるぜ」
「???????」
自信たっぷりな坊やはルンルンとスキップでダンジョン入り口に戻っていくが、
「あんたっ!ちょっと待ちなさい!ドロップアイテム持って行かないと!」
「あっ!そうでしたそうでした!え~と、こっちは姉さん向きのスキル用の巻物だな。こっちは俺向きだな」
『巻物』はたまにドロップアイテムであるもので、それに自分の血を塗るとスキルを得たり、特別イベントが開催されたりするのだ。
スキルを得る側は、こちらでの通貨を使用してショップで購入できるが、特別イベントはそうはいかない。
巻物がドロップアイテムとして出てきた場合は100回中1回程度しか、イベント巻物がないのだ。
その特別イベントではまじで超レアなお宝が手に入るとか・・・・・・・。
でも、今回はスキル巻物で私は『ロック』で、ヒョウゴが『スティール』。既に持っているスキルでも重ね合わせると上限突破みたいな感じで、精度がグンと上がるのだ。特別イベントの巻物でなくても有り難い。
「よし、じゃ~外で待っている連中が何かイライラし始めたみたいだから、行きましょうか!」
「おう、姉さん!」
入り口に戻る道中に取り損ねていた小銭を広い、そして
口からは紫色の煙みたいなのを吐いていることから、ブレスが「毒」だということがわかる。
私たちは口布を纏い、各々の定位置に着く。二人での戦闘は初めてなのに、どうしてか、「ヒョウゴならこの位置に着く」とわかってしまった。あいつの方もかなり驚いているようで、目が合うと、ヘニャリと笑う姿がなんだか可愛いと思ったお姉ちゃんです。
私はアサシンの固定スキルである『カメレオン』を使用して、洞窟内の色と同化させる。ヒョウゴはシーフの固定スキルである『イーグル』を使用して、モンスターの右目をライフルで狙う、が外した。
このゲームには職業によって固定スキルが存在する。アサシンには『カメレオン』という周りと同化するスキル、シーフには『イーグル』という獲物を確実に撃ち抜く能力、まるで『鷹』の様に。しかし、カメレオンと違って、こちらはかなりの集中力を要するので、周りの援護が必要となる。信頼するメンバーで無いと使えないという不利な点が存在するのだ。
今回はまだ私は本格的に信頼されていないのだろう。本来ならば右目を『撃ち抜いて当然』なのだ、シーフの固定スキルは。しかし、それができていないということは、私を100%信頼していないことと同意義。それは、まだ出会って日も時間も経っていないのだから仕方ない。
しかし、右目の横を掠っただけでもよしとしよう。
私はカメレオンを使用したままモンスターの後ろに回り、双剣でモンスターの首を斬り落とし、また再生しないよう頭にぶっ刺したのだ。
ここまでしなくても初級モンスターは絶命ものだろうが、念には念をね。
返り血で赤く染まった真っ黒なローブを翻すと、噎せ返るような臭いを発する。
「姉さんっ!ごめん!はずした!あんたを信頼してねーわけじゃねんだ!」
「ん?でも、射抜けなかったじゃない?」
「っ!やっぱりあんた、ただもんじゃねーよ。そういうってことは、姉さんは始めから俺の事信頼してくれてたんだよな?」
「???あのね~信用はしてるわよ?ここまでゲームのことを教えてくれたし、私があんたから金をぶん取っても笑って『俺が悪い』って認めたじゃない?自ら非を認めることができる人間に悪い人はいないと私は考えてるの。ただ、信頼はまだ先かしらね~。あなたの実力がわからないもの」
「ふふふっ!それなら、ここからがおいらの見せ場だな。外した言い訳じゃねーが、集中を欠いた理由が後にわかるぜ」
「???????」
自信たっぷりな坊やはルンルンとスキップでダンジョン入り口に戻っていくが、
「あんたっ!ちょっと待ちなさい!ドロップアイテム持って行かないと!」
「あっ!そうでしたそうでした!え~と、こっちは姉さん向きのスキル用の巻物だな。こっちは俺向きだな」
『巻物』はたまにドロップアイテムであるもので、それに自分の血を塗るとスキルを得たり、特別イベントが開催されたりするのだ。
スキルを得る側は、こちらでの通貨を使用してショップで購入できるが、特別イベントはそうはいかない。
巻物がドロップアイテムとして出てきた場合は100回中1回程度しか、イベント巻物がないのだ。
その特別イベントではまじで超レアなお宝が手に入るとか・・・・・・・。
でも、今回はスキル巻物で私は『ロック』で、ヒョウゴが『スティール』。既に持っているスキルでも重ね合わせると上限突破みたいな感じで、精度がグンと上がるのだ。特別イベントの巻物でなくても有り難い。
「よし、じゃ~外で待っている連中が何かイライラし始めたみたいだから、行きましょうか!」
「おう、姉さん!」
入り口に戻る道中に取り損ねていた小銭を広い、そして
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