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第四章
36 感情
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「それはそうと、何でこんなに怒り狂っていたのかの理由は後でた~~ぷり聞くとして、ヨルちゃんは『毒』耐性があるはずだな?」
「主のおっしゃる通りでございます」
「そ。じゃ、『瘴気』もその一種だし、俺の精をた~~んまり食した今なら、アーダルリアに拡がった『瘴気』を全て喰らうことくらい簡単じゃない?」
「っ!いくら私でもこれだけの量の『瘴気』は・・・・・・・」
ヨルムンガンドは額に汗を滲ませながら、俺に小さな拒否をしてくる。
が、
「行け、ヨルムンガンド。全て喰らい自分の糧とせよ!」
「っ!!御意に!!」
彼は窓から飛び降りると人型から大蛇へと姿を変えて、彼の方向へと飛び立っていった。
俺はというと、
「この館、風呂あんのか?ま、どっかにあんだろう?ちょっくら入ってくるわ」
「翠蓮、あの者が『瘴気』を全て無くせると本気で思ってるのか?」
「ん?青龍は『無理だ』と思うわけ?」
「いや、そういうわけではないが・・・・・・」
「だ~~いじょうぶ。俺の力が混じった『精』を喰らったんだ。あいつにとっては朝飯前だし、もっと言えば俺と会う以前の力より増して戻ってくるぞ」
「は~~~お前は・・・・・・ぬかりが全くない奴だな。だが、お前が死ななくてよかった」
「ん」
「本当だぞ、翠蓮。青龍だけじゃなくて俺たちだって気が気じゃなかったんだからな」
「ありがとう白虎、朱雀、玄武。それに麒麟様!!」
「ふん。さっさと風呂に入ってこい。臭い匂いを纏ったお前と話すことはない!」
「ひどっ!だけど、正論!ちょっとすっきりしてくるわ~~~」
はっきり言って男の『匂い』が充満する部屋からさっさと出たかったのだ。
右も左も判らない俺は、使用人らしき者に風呂の場所を聞き出し、今はその湯にゆったり浸かっている。
だけど、皆の前では我慢し、気丈に振る舞っていた俺の心はこの温かい湯で溶解し、
「ふ・・・・・・ごめ・・・・・じお・・・じるぅ・・・・・おれ、から、だ・・・・・・」
止めどなく目から水がこぼれ落ちてくるのだ。
二人を裏切った俺。
二人だけに愛して貰いたい身体が、なんの感情もない奴に穢された。
もう、俺は二人に近づけない!
二人を汚してしまうっ!!
「うぁあああああああん」
年甲斐もなく、俺は子供のように大声で泣いたのだった。
神獣様たちが聞いていることにも気付かずに。
「ヨルムンガンドは一度、我らの世界に戻ったらきっつい仕置きをせねばなるまいな」
「だな~~。本当の『神格』を持つ我々を怒らせたからには、それ相応の罰を受けてもらわねばな」
「翠蓮の目を盗んで殺してしまいましょう!そうですよっ!それが一番ですよっ!」
「玄武、もう少し穏便に・・・・・・・できるかぁぁぁぁっ!俺の大切な翠蓮をガン泣きさせたこと後悔させてやる!」
「いやいやいやいや、朱雀それでは温いわ!後悔も出来ない程に狂わせてしまえ!」
「「「「ラジャー麒麟様!!!!」」」」
『って、駄目だからな!!!!』
「「「「「翠蓮、聞こえてたのーーーー!?」」」」」
『丸聞こえだから!でも、ありがとう!!!』
風呂から出た翠蓮はどこかすっきりした表情で、
「覚悟決めたから!このこと全部殿下に報告する!赦されなくてもいい。ただ隠したくない!」
「それでこそ、我らが愛する翠蓮だ」
愛しいこの子の頭を一撫でし、アーダルリアへと戻るのだった。
「主のおっしゃる通りでございます」
「そ。じゃ、『瘴気』もその一種だし、俺の精をた~~んまり食した今なら、アーダルリアに拡がった『瘴気』を全て喰らうことくらい簡単じゃない?」
「っ!いくら私でもこれだけの量の『瘴気』は・・・・・・・」
ヨルムンガンドは額に汗を滲ませながら、俺に小さな拒否をしてくる。
が、
「行け、ヨルムンガンド。全て喰らい自分の糧とせよ!」
「っ!!御意に!!」
彼は窓から飛び降りると人型から大蛇へと姿を変えて、彼の方向へと飛び立っていった。
俺はというと、
「この館、風呂あんのか?ま、どっかにあんだろう?ちょっくら入ってくるわ」
「翠蓮、あの者が『瘴気』を全て無くせると本気で思ってるのか?」
「ん?青龍は『無理だ』と思うわけ?」
「いや、そういうわけではないが・・・・・・」
「だ~~いじょうぶ。俺の力が混じった『精』を喰らったんだ。あいつにとっては朝飯前だし、もっと言えば俺と会う以前の力より増して戻ってくるぞ」
「は~~~お前は・・・・・・ぬかりが全くない奴だな。だが、お前が死ななくてよかった」
「ん」
「本当だぞ、翠蓮。青龍だけじゃなくて俺たちだって気が気じゃなかったんだからな」
「ありがとう白虎、朱雀、玄武。それに麒麟様!!」
「ふん。さっさと風呂に入ってこい。臭い匂いを纏ったお前と話すことはない!」
「ひどっ!だけど、正論!ちょっとすっきりしてくるわ~~~」
はっきり言って男の『匂い』が充満する部屋からさっさと出たかったのだ。
右も左も判らない俺は、使用人らしき者に風呂の場所を聞き出し、今はその湯にゆったり浸かっている。
だけど、皆の前では我慢し、気丈に振る舞っていた俺の心はこの温かい湯で溶解し、
「ふ・・・・・・ごめ・・・・・じお・・・じるぅ・・・・・おれ、から、だ・・・・・・」
止めどなく目から水がこぼれ落ちてくるのだ。
二人を裏切った俺。
二人だけに愛して貰いたい身体が、なんの感情もない奴に穢された。
もう、俺は二人に近づけない!
二人を汚してしまうっ!!
「うぁあああああああん」
年甲斐もなく、俺は子供のように大声で泣いたのだった。
神獣様たちが聞いていることにも気付かずに。
「ヨルムンガンドは一度、我らの世界に戻ったらきっつい仕置きをせねばなるまいな」
「だな~~。本当の『神格』を持つ我々を怒らせたからには、それ相応の罰を受けてもらわねばな」
「翠蓮の目を盗んで殺してしまいましょう!そうですよっ!それが一番ですよっ!」
「玄武、もう少し穏便に・・・・・・・できるかぁぁぁぁっ!俺の大切な翠蓮をガン泣きさせたこと後悔させてやる!」
「いやいやいやいや、朱雀それでは温いわ!後悔も出来ない程に狂わせてしまえ!」
「「「「ラジャー麒麟様!!!!」」」」
『って、駄目だからな!!!!』
「「「「「翠蓮、聞こえてたのーーーー!?」」」」」
『丸聞こえだから!でも、ありがとう!!!』
風呂から出た翠蓮はどこかすっきりした表情で、
「覚悟決めたから!このこと全部殿下に報告する!赦されなくてもいい。ただ隠したくない!」
「それでこそ、我らが愛する翠蓮だ」
愛しいこの子の頭を一撫でし、アーダルリアへと戻るのだった。
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