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第四章
30 喧嘩上等
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「アーダルリアに行くのに、ここまで時間がかかると思わなんだわ・・・・・・」
葵と竜胆はササッと行って破壊して、そして戻ってきたから、こんなに遠くとは考えもしなかった。
しかも、地図をはっきりと見ていたのに見落としていたのが「海」だ!
まさか、航海する羽目になるとは全く想像していなかった。
つか、あの二人、海はどうやって渡ったんだ????
「スイレン団長、大丈夫ですか??顔色優れませんが?」
レインは俺の前に冷えたビールをトンと置くとそれを呷るように俺は飲み干した。
別に船酔いした訳でも眠い訳でもない。
自分の視野の狭さに嘆いただけだ。
「ま、海だし、船だし、魚料理たんまりだし!文句はねーけどな」
確かに船の上なのに、凝った料理が提供される。
美味いのだ、これが!!
だが、「フィルハード」の王族、ましてやあの双子の兄の王子は、民が食す「料理」に手を付けられないとは思いもしなかった。
いつもナイフとフォークがあり、それを使って上品に食べる。しかも毒味が終わり冷め切った物をらしい。
それを当たり前に思っていて、当り前の「味」だったのだ。
毒味も何もされない料理に、手を付けられないのは当然かもしれないが、ある意味で憐れだ。
こんなに温かくて美味い料理に手を付けられないなんて!
ん?ジオルドやジルフォードは普通に騎士食堂で食べている。毒味もないし、フォークやナイフも使わず手で食べることもある。
もしかして、キュリアス殿下はどこかでそのような行為を『はしたない』と考えているのかもしれない。
「殿下のあの態度どうにかならんかね~。あれじゃ~差別意識丸出しじゃないか」
「ええ、エリアスも改善するように言っているのですが、頑なでして」
「なぜ、この遠征に立候補したのかね~。まじで、邪魔だわ」
「団長、声をお控えください。聞こえてしまいます」
「はあ?わざとだよ、わざと!聞こえてなんぼだろう???これじゃ、弟たちにその地位を奪われても仕方ないわ」
「団長っ!!!お控えください!不敬罪に当たります!」
レインは顔を真っ青にして俺の口を塞いでくる。が、俺だって簡単に黙れない。
だって、キュリアス殿下の行為って
「俺の伴侶をバカにしているだろう?」
「っ!!!そ、それは・・・・・・」
「自分は王族だから~~、煌びやかだから~~~、手で掴んだり、木の食器などでは食べられませ~~ん。毒味がいないと嫌ですぅぅって。バッカじゃないの!毒味?俺がいるのに毒味必要?俺を信用してないのと同義!手で掴んだり、木の食器で食べるのなんてジオルドもジルフォードも当たり前にしていることだ!見下したあの態度、まじで国に帰って陛下に泣きつけば良い。まじで超うぜ~~~」
「団長・・・・・・・聞こえてしまっていると思うので、私ではどうにもできませんよ?」
「ん?べっつに~~構わね~~よ。俺に喧嘩売ってくればいい。俺を処刑なり何なりすればいい。さすれば、国は分断されて大事だ!あっはっは!」
「笑い事ですか!!!もっと状況をっ!」
「状況をわかってないのは第二王子だ。俺じゃない。理解しないのならば遠征には不要だ。騎士のヤル気にも関わってくる。それがわかっていないのならばこの遠征は止めるべきだ」
「・・・・・・・そうなのですが」
「な~~~キュリアス殿下~~~。聞こえてんだろう????お前の態度は、俺たちにとって不愉快だ」
「っ!!!」
ちょっと離れた位置から息をヒュッと小さく吸い込む音が聞こえてきた。
だが、俺は遠慮しない。
「この船の酒も魚も最高に美味い!温かいスープもある!お前が生きてきた中で味わったことがない美味さだ!後悔するぞ、食べないとな」
「ぐっ!!!!」
殿下はテーブルに並べられた食事を目の前にして、怯んではいるがグッと気合いを入れて、温かいスープを一口飲み込んだのだ。
「あ、美味い・・・・・・温かい・・・・・」
「だろう!!!美味いだろう!めっちゃ魚介類の出汁が出てて、これ絶品だよな!桃季に作って貰おう!!!」
俺は「ほれ」と言って薄いパンで野菜と海鮮を丸めた物を殿下の口に持って行くと、恐る恐るだが小さくパクリと食らいついた。
「っ!!!これも美味い!!!」
「後は自分で食えよ~~~。ぜ~~んぶ美味いし殿下が心配している『毒』は一切ない。あるのは超美味い食事だけだ!!!」
どこか安心した表情で、スプーンからフォークに持ち替えて、アクアパッツァに狙いを定めている。
「ははは、それでいいんだよ!ほら、お前ら騎士も食え!アーダルリアの騎士もだ!今のうちに体力をつけておけ!悪いが料理長、た~~~んと沢山持ってきてくれ。食料が足りないならどっかに寄港してくれて構わない。金は追加料金を後で請求してくれ!とりあえず、この航海中船員の皆の食料と俺たちの食料切らさないようにな!あっ!ちなみに船員にも同じ物を食わせてやってくれ。たまには贅沢もいいだろう???」
「「「はっはい!!!!」」」
コックの数名は顔を赤らめて、本当に嬉しそうに厨房に駆けていった。
まだまだ多くの料理が提供されるだろう。
ちなみに食料が途中で足りなくなるのは判っていたので、収納袋を王族から30個ほど借りて、その中に食料をた~~んまりと詰め込んでいる。酒もな!!
収納袋はどんな仕組みかわからんが、食料はその袋に入れた時の状況で固定されるので、腐りはしない。
だが、これはとても稀少で高価な物らしく、数はそんなにないそうだ。
ちなみに食料はオッケーだが「料理」は入れられない。
本当にどういう仕組みなんだ?????
食事の時間が終わると各々就寝時間になる。
ゆっくり今は休息して、そして一気に
たたく!!
葵と竜胆はササッと行って破壊して、そして戻ってきたから、こんなに遠くとは考えもしなかった。
しかも、地図をはっきりと見ていたのに見落としていたのが「海」だ!
まさか、航海する羽目になるとは全く想像していなかった。
つか、あの二人、海はどうやって渡ったんだ????
「スイレン団長、大丈夫ですか??顔色優れませんが?」
レインは俺の前に冷えたビールをトンと置くとそれを呷るように俺は飲み干した。
別に船酔いした訳でも眠い訳でもない。
自分の視野の狭さに嘆いただけだ。
「ま、海だし、船だし、魚料理たんまりだし!文句はねーけどな」
確かに船の上なのに、凝った料理が提供される。
美味いのだ、これが!!
だが、「フィルハード」の王族、ましてやあの双子の兄の王子は、民が食す「料理」に手を付けられないとは思いもしなかった。
いつもナイフとフォークがあり、それを使って上品に食べる。しかも毒味が終わり冷め切った物をらしい。
それを当たり前に思っていて、当り前の「味」だったのだ。
毒味も何もされない料理に、手を付けられないのは当然かもしれないが、ある意味で憐れだ。
こんなに温かくて美味い料理に手を付けられないなんて!
ん?ジオルドやジルフォードは普通に騎士食堂で食べている。毒味もないし、フォークやナイフも使わず手で食べることもある。
もしかして、キュリアス殿下はどこかでそのような行為を『はしたない』と考えているのかもしれない。
「殿下のあの態度どうにかならんかね~。あれじゃ~差別意識丸出しじゃないか」
「ええ、エリアスも改善するように言っているのですが、頑なでして」
「なぜ、この遠征に立候補したのかね~。まじで、邪魔だわ」
「団長、声をお控えください。聞こえてしまいます」
「はあ?わざとだよ、わざと!聞こえてなんぼだろう???これじゃ、弟たちにその地位を奪われても仕方ないわ」
「団長っ!!!お控えください!不敬罪に当たります!」
レインは顔を真っ青にして俺の口を塞いでくる。が、俺だって簡単に黙れない。
だって、キュリアス殿下の行為って
「俺の伴侶をバカにしているだろう?」
「っ!!!そ、それは・・・・・・」
「自分は王族だから~~、煌びやかだから~~~、手で掴んだり、木の食器などでは食べられませ~~ん。毒味がいないと嫌ですぅぅって。バッカじゃないの!毒味?俺がいるのに毒味必要?俺を信用してないのと同義!手で掴んだり、木の食器で食べるのなんてジオルドもジルフォードも当たり前にしていることだ!見下したあの態度、まじで国に帰って陛下に泣きつけば良い。まじで超うぜ~~~」
「団長・・・・・・・聞こえてしまっていると思うので、私ではどうにもできませんよ?」
「ん?べっつに~~構わね~~よ。俺に喧嘩売ってくればいい。俺を処刑なり何なりすればいい。さすれば、国は分断されて大事だ!あっはっは!」
「笑い事ですか!!!もっと状況をっ!」
「状況をわかってないのは第二王子だ。俺じゃない。理解しないのならば遠征には不要だ。騎士のヤル気にも関わってくる。それがわかっていないのならばこの遠征は止めるべきだ」
「・・・・・・・そうなのですが」
「な~~~キュリアス殿下~~~。聞こえてんだろう????お前の態度は、俺たちにとって不愉快だ」
「っ!!!」
ちょっと離れた位置から息をヒュッと小さく吸い込む音が聞こえてきた。
だが、俺は遠慮しない。
「この船の酒も魚も最高に美味い!温かいスープもある!お前が生きてきた中で味わったことがない美味さだ!後悔するぞ、食べないとな」
「ぐっ!!!!」
殿下はテーブルに並べられた食事を目の前にして、怯んではいるがグッと気合いを入れて、温かいスープを一口飲み込んだのだ。
「あ、美味い・・・・・・温かい・・・・・」
「だろう!!!美味いだろう!めっちゃ魚介類の出汁が出てて、これ絶品だよな!桃季に作って貰おう!!!」
俺は「ほれ」と言って薄いパンで野菜と海鮮を丸めた物を殿下の口に持って行くと、恐る恐るだが小さくパクリと食らいついた。
「っ!!!これも美味い!!!」
「後は自分で食えよ~~~。ぜ~~んぶ美味いし殿下が心配している『毒』は一切ない。あるのは超美味い食事だけだ!!!」
どこか安心した表情で、スプーンからフォークに持ち替えて、アクアパッツァに狙いを定めている。
「ははは、それでいいんだよ!ほら、お前ら騎士も食え!アーダルリアの騎士もだ!今のうちに体力をつけておけ!悪いが料理長、た~~~んと沢山持ってきてくれ。食料が足りないならどっかに寄港してくれて構わない。金は追加料金を後で請求してくれ!とりあえず、この航海中船員の皆の食料と俺たちの食料切らさないようにな!あっ!ちなみに船員にも同じ物を食わせてやってくれ。たまには贅沢もいいだろう???」
「「「はっはい!!!!」」」
コックの数名は顔を赤らめて、本当に嬉しそうに厨房に駆けていった。
まだまだ多くの料理が提供されるだろう。
ちなみに食料が途中で足りなくなるのは判っていたので、収納袋を王族から30個ほど借りて、その中に食料をた~~んまりと詰め込んでいる。酒もな!!
収納袋はどんな仕組みかわからんが、食料はその袋に入れた時の状況で固定されるので、腐りはしない。
だが、これはとても稀少で高価な物らしく、数はそんなにないそうだ。
ちなみに食料はオッケーだが「料理」は入れられない。
本当にどういう仕組みなんだ?????
食事の時間が終わると各々就寝時間になる。
ゆっくり今は休息して、そして一気に
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