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第四章

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「結構時間かかったね?何かあった?」
「ん?いや、何も???ちょい~~と俺の体力が奪われちゃったから、ゆっくりここに戻ってきただけ」
「そう?それにしてはレインに寄り添いすぎじゃない?」
「そっか???」
確かに今の俺の現状は支えられないと歩けない状態だが、寄り添うって言葉が正しいかと言われると「ん?」と考えてしまう格好かもしれない。
だが、断じて決して違うと言える。
「浮気じゃねーからなっ!」
と。


「で、殿下たちは少しは気分が落ち着いた??」
「夢に完全に出てくるけど、今の気分は菖蒲殿の茶で落ち着かせている」
「落ち着いてないじゃん!ま、いいか。で、地図は??」
「ここだ」
第四騎士団の執務室の中央にあるローテーブルに拡げられた地図には、チェスで使用するような駒がいくつも並べられていた。
キングと覚しき駒は大変大きな大陸の中央に鎮座されている。
「ここは?」
「ここが我が国、フィルハート帝国だ」
「っ!!!!」
俺たち異世界人間は皆驚愕の表情を張り付かせる。
人間兵器が晒して良い表情ではないのはわかっているのだが、だが!
まさか
「こんなにでかいとは思わなんだわ・・・・・・・・」
俺たちの世界で言うアメリカ大陸並のでかさだ。
「この世界で一番大きな国となったな、今では」
と、ジオルドが他の駒「ナイト」を二つ動かす。それが置かれた国は「バーミリア」と「焔」とのこと。
「そしてここが魔国だ」
とクイーンが置かれた。
その駒を置くってことは、
「ああ、認めるさ。あいつの、いやレギウス・アルセルク王をな。自分を犠牲にしてまで民を第一に考え思う王を認めないなど、私が矮小な人間だと思われてしまう」
「そう考えている時点で矮小だと気付よ、ジオルド」
「そうは言うがジルだってそう思っているだろう?」
「いや、俺は思わないかな?ジオルドと違って俺はレギウス殿と会う機会なんて無かったから、嫌悪はない。すんなりと「王」だと認められたな」
「ぐっ!!!!私が小さき人間なのがよ~~くわかりましたよ・・・・・」
兄弟の言い合いはテンポよく進められているが、それでも目線は地図上にある。
ジオルドの手は、ある駒を持ったまま動こうとはしない。
ジオルドを見つめると、彼は大きな息を吐いて
「ここがアーダルリアだ」
と、戦車の駒を置いたのだった。

「何で戦車???」
「というか、大きいのねアーダルリアって」
「こんなに大きな国にあの装置が一個か?まだありそうだが」
「でも、葵兄さんと気配を探ったけどここ以外はそんなのなかったよ?」
「ああ、竜胆の言うとおりだ。しかも、少し足を伸ばして遠くまで行ってはみたが、なかった。というか、まだ先があったのか」
どういうことかというと、葵と竜胆が訪れたアーダルリアは円形の城壁で囲まれていたそうだ。
だから、囲まれている「中」がアーダルリアだと思ったそうだ。
後にアーダルリアの騎士に詳しく聞くと、囲まれた「中」だけ瘴気がなく、外のアーダルリア人は瘴気に充てられ正気をなくしている者さえいるとのことだ。
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