不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

文字の大きさ
上 下
196 / 227
第四章

11

しおりを挟む
愛おしい可愛い可愛い伴侶をジルの部屋のベッドにソッと寝かせた。
何故ジルの部屋かというと、緑が多く、それを好む精霊が飛び回っているのだとか。スイ談だが、それでも体調が思わしくない頃、ジルは何度か綺麗な何かが傍に居ることを感じていたそうだ。
精霊に愛されるスイは、やはりジルの部屋の方が良いだろう。
その方がスイも深い深い眠りから気持ちよく目覚めることができるだろう。
ちなみに身体を繋げるときは私の部屋を所望する。多くの精霊に淫らな姿を見られたくないのだとか。
ま、私も私たち以外に見せる気なんて更々ないのだが。
「それにしてもよく寝ているな」
「ああ、それだけの『力』を使ったんだろうな」
「でも、成長したんじゃないか?」
「何が???」
「倒れるまで力を使うのを判っているなら、以前のスイなら俺たちに隠れて使っていたはずだ」
「っ!!!そうだな。そうだ。俺たちに『心配かけていい』と漸く思ってくれたんだな」
「ああ、俺たちにとってとても嬉しいことじゃないか」
確かにジルの言うことは正しい。
以前のスイなら弱った姿を我々には見せなかっただろう。
あの仲違い、離婚の危機を経験したからこその信頼が生まれたのかもしれない。
「俺、先に風呂入ってくるわ。何か自分が臭う・・・・・・」
「私もそれ思ってた。何か血の臭いがな~~」
「じゃ、一緒に入るか?どうせスイはまだ目覚めん。さっさと入って、眠りから覚めるときには傍にいてやろう」
子供の頃ならいざ知らず、
「狭くないか?」
「甘いな、双子の兄というのに!」
なんだとぉぉ!
ジルは浴室へと続くドアを開いて、
「はっはっは!父上と母上に頼み込んで、改修して貰ったのだ!」
キラキラと光る立派な脱衣所とそれに続く、広々とした浴場に、湯に浮く大輪のピンクの花。
「何時の間に!?」
「それは秘密だ。と言いたいが、体調が優れないときにせがんでいたんだよ。少しでも自分が綺麗であれる場所がゆったりとした空間であって欲しいとさ」
「すまない、気付いてやれなくて・・・・・・・」
「いや、それに気付いたスイがさ、『ジオルドの部屋でヤルんだったら、その間に改修すればよくね?』と」
「スイ~~~~~~~~~」
「で、その好意に甘えて、こうなりましたーーーーーー!!!スイの目が覚めてからも三人で入ろう」
「だな。先に私たちだけでも綺麗にしておこう。三人で入るときはスイだけを身体の隅々まで、身体の中まで綺麗にして差し上げようじゃないか」
「ははは、エロイ顔になってますよ、あ・に・う・え」
「はっはっは!!欲情するのはスイにだけ!さ~~入ってさっぱりしようじゃないか、我が弟よ!!」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

スキルも魔力もないけど異世界転移しました

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!! 入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。 死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。 そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。 「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」 「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」 チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。 「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。 6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【連載】異世界でのんびり食堂経営

茜カナコ
BL
異世界に飛ばされた健(たける)と大翔(ひろと)の、食堂経営スローライフ。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

処理中です...