不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

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第四章

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愛おしい可愛い可愛い伴侶をジルの部屋のベッドにソッと寝かせた。
何故ジルの部屋かというと、緑が多く、それを好む精霊が飛び回っているのだとか。スイ談だが、それでも体調が思わしくない頃、ジルは何度か綺麗な何かが傍に居ることを感じていたそうだ。
精霊に愛されるスイは、やはりジルの部屋の方が良いだろう。
その方がスイも深い深い眠りから気持ちよく目覚めることができるだろう。
ちなみに身体を繋げるときは私の部屋を所望する。多くの精霊に淫らな姿を見られたくないのだとか。
ま、私も私たち以外に見せる気なんて更々ないのだが。
「それにしてもよく寝ているな」
「ああ、それだけの『力』を使ったんだろうな」
「でも、成長したんじゃないか?」
「何が???」
「倒れるまで力を使うのを判っているなら、以前のスイなら俺たちに隠れて使っていたはずだ」
「っ!!!そうだな。そうだ。俺たちに『心配かけていい』と漸く思ってくれたんだな」
「ああ、俺たちにとってとても嬉しいことじゃないか」
確かにジルの言うことは正しい。
以前のスイなら弱った姿を我々には見せなかっただろう。
あの仲違い、離婚の危機を経験したからこその信頼が生まれたのかもしれない。
「俺、先に風呂入ってくるわ。何か自分が臭う・・・・・・」
「私もそれ思ってた。何か血の臭いがな~~」
「じゃ、一緒に入るか?どうせスイはまだ目覚めん。さっさと入って、眠りから覚めるときには傍にいてやろう」
子供の頃ならいざ知らず、
「狭くないか?」
「甘いな、双子の兄というのに!」
なんだとぉぉ!
ジルは浴室へと続くドアを開いて、
「はっはっは!父上と母上に頼み込んで、改修して貰ったのだ!」
キラキラと光る立派な脱衣所とそれに続く、広々とした浴場に、湯に浮く大輪のピンクの花。
「何時の間に!?」
「それは秘密だ。と言いたいが、体調が優れないときにせがんでいたんだよ。少しでも自分が綺麗であれる場所がゆったりとした空間であって欲しいとさ」
「すまない、気付いてやれなくて・・・・・・・」
「いや、それに気付いたスイがさ、『ジオルドの部屋でヤルんだったら、その間に改修すればよくね?』と」
「スイ~~~~~~~~~」
「で、その好意に甘えて、こうなりましたーーーーーー!!!スイの目が覚めてからも三人で入ろう」
「だな。先に私たちだけでも綺麗にしておこう。三人で入るときはスイだけを身体の隅々まで、身体の中まで綺麗にして差し上げようじゃないか」
「ははは、エロイ顔になってますよ、あ・に・う・え」
「はっはっは!!欲情するのはスイにだけ!さ~~入ってさっぱりしようじゃないか、我が弟よ!!」
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