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第四章
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アーダルリアの汚物を地下牢に閉じ込めてから、菖蒲たちが帰還したのはすぐだった。
何故ならば、本来王族しか使用所持されない転移石を、宝石好き菖蒲が俺たちも使えるように『小細工』をしたからだ。ただし、俺たち5人だけ限定とした。
誰しもが使えたら、とんでもない面倒いことになることが絶対だからだ。
「そいつは???」
菖蒲が捕えた男は嘗ての教皇とのこと。
アーダルリアの騎士達が怒りを滲ませて、声を震わせて、「赦さない」と呟いた。
この騎士達の精神を休ませなければ、正常な判断や行動が出来ないであろうと思い、こいつを同じ牢に入れた後、今日は部屋で休むよう指示を出した。
俺や葵、菖蒲は何ともないが、あの光景を見た王族の方々も顔色が悪く、いつ倒れてもおかしくない状態のため、今日の仕事はここまでとしたのだった。
「さてと、風呂入って一眠りするか」
「って、どこに行こうとしているの、スイ???」
俺の襟首をひっ捕まえる、ジオルド。
「どこって・・・・・・自室だけど???」
当然だろう?
寝るって言ったら「自室」に決まってんだろう?
「私たちの部屋で『寝る』んじゃないのか?」
「冗談!!!」
と、笑ってやった。
「お前らと『寝る』って言ったら『ヤル』ってことだろう?疲れてんのにそんな行為できねーよ。つか勃たねーわ」
「翠蓮、下品!」
バシンと菖蒲から平手が頭上に飛んでくる。
それを難なく逃げら・・・・・れなかった。
もろに喰らいました!
「痛―――――――っ!菖蒲っ!」
「あんたが皆の前でとんでもない言葉を口にするからよ」
「あっ??あああああああああああっ!」
そうでした!
あまりの疲れように、ここがどこか弁えておりませんでした!
城に勤める誰でもが通ることの出来る『大廊下』でした!
何という言葉を俺は言ってしまったんでしょうか!?
女性たちなんて白い目で・・・・・・あ、いや、「キャー!!」とか「これから寝床でっ!」とか!
「侍女たちに情事の後始末の事詳しく聞き出さないと!」とかっ!!!!!!!
こっわっ!!!!
まじ、怖いわ、ここの女性たち!!
「とりあえず、俺は『自室』で寝る!力を使いすぎて、まじで疲れてんだよ」
「スイでも力の使いすぎで疲れることがあるのだな」
「おい、俺をなんだと思ってやがる・・・・・・俺だって一応『人間』なんだよ」
「一応ではない。君は『人間』だ」
「・・・・・・うん」
ジオルドとジルフォードは俺の頭に手を置いて、ゆっくりと撫でる。
子供の頃、母に、祖母に、あとは周りの『兄』の様に慕う忍びたちにしたもらった記憶が蘇る。
その中に『父』の記憶は一切無い。
祖父は俺が産まれる前にあの世の住人になっていたので、もちろんない。
あれば、それはそれで『恐怖』だけどな。
撫でる手が気持ちよくて、自然と頭をすり寄せた。
「「っ!!スイ・・・・・・・」」
「へ?」
「私たちに我慢を強いるなら、その行為はアウトだよ?」
「ん??」
と、言われましても理解出来かねますよ、殿下。
「ごほん!とりあえず、翠蓮は休め。今寝ておかないと回復しないだろう?」
葵がそっと殿下たちの手をどかしてくれる。
「そうだな・・・・・・。でも、飯も食い・・・・・」
「それは私が用意しておくわ。今のあんたには『野菜』が必要でしょう?第一騎士団の農園から頂戴して、美味しい精進料理作っておくわよ。桃季には及ばないけどね」
「ううん、菖蒲姉さんの料理も俺好き」
「ふふふふ、全く。嬉しいこと言ってくれるわね。じゃ、腕を振うからさっさと寝てしまいなさい。二つの空間を繋げて力を使ったんだから、あんたもう『限界』でしょ?」
「うん・・・・・・まじで、もう・・・・・・・」
俺の意識はそこでプツンとこぎみよく途切れたのだった。
何故ならば、本来王族しか使用所持されない転移石を、宝石好き菖蒲が俺たちも使えるように『小細工』をしたからだ。ただし、俺たち5人だけ限定とした。
誰しもが使えたら、とんでもない面倒いことになることが絶対だからだ。
「そいつは???」
菖蒲が捕えた男は嘗ての教皇とのこと。
アーダルリアの騎士達が怒りを滲ませて、声を震わせて、「赦さない」と呟いた。
この騎士達の精神を休ませなければ、正常な判断や行動が出来ないであろうと思い、こいつを同じ牢に入れた後、今日は部屋で休むよう指示を出した。
俺や葵、菖蒲は何ともないが、あの光景を見た王族の方々も顔色が悪く、いつ倒れてもおかしくない状態のため、今日の仕事はここまでとしたのだった。
「さてと、風呂入って一眠りするか」
「って、どこに行こうとしているの、スイ???」
俺の襟首をひっ捕まえる、ジオルド。
「どこって・・・・・・自室だけど???」
当然だろう?
寝るって言ったら「自室」に決まってんだろう?
「私たちの部屋で『寝る』んじゃないのか?」
「冗談!!!」
と、笑ってやった。
「お前らと『寝る』って言ったら『ヤル』ってことだろう?疲れてんのにそんな行為できねーよ。つか勃たねーわ」
「翠蓮、下品!」
バシンと菖蒲から平手が頭上に飛んでくる。
それを難なく逃げら・・・・・れなかった。
もろに喰らいました!
「痛―――――――っ!菖蒲っ!」
「あんたが皆の前でとんでもない言葉を口にするからよ」
「あっ??あああああああああああっ!」
そうでした!
あまりの疲れように、ここがどこか弁えておりませんでした!
城に勤める誰でもが通ることの出来る『大廊下』でした!
何という言葉を俺は言ってしまったんでしょうか!?
女性たちなんて白い目で・・・・・・あ、いや、「キャー!!」とか「これから寝床でっ!」とか!
「侍女たちに情事の後始末の事詳しく聞き出さないと!」とかっ!!!!!!!
こっわっ!!!!
まじ、怖いわ、ここの女性たち!!
「とりあえず、俺は『自室』で寝る!力を使いすぎて、まじで疲れてんだよ」
「スイでも力の使いすぎで疲れることがあるのだな」
「おい、俺をなんだと思ってやがる・・・・・・俺だって一応『人間』なんだよ」
「一応ではない。君は『人間』だ」
「・・・・・・うん」
ジオルドとジルフォードは俺の頭に手を置いて、ゆっくりと撫でる。
子供の頃、母に、祖母に、あとは周りの『兄』の様に慕う忍びたちにしたもらった記憶が蘇る。
その中に『父』の記憶は一切無い。
祖父は俺が産まれる前にあの世の住人になっていたので、もちろんない。
あれば、それはそれで『恐怖』だけどな。
撫でる手が気持ちよくて、自然と頭をすり寄せた。
「「っ!!スイ・・・・・・・」」
「へ?」
「私たちに我慢を強いるなら、その行為はアウトだよ?」
「ん??」
と、言われましても理解出来かねますよ、殿下。
「ごほん!とりあえず、翠蓮は休め。今寝ておかないと回復しないだろう?」
葵がそっと殿下たちの手をどかしてくれる。
「そうだな・・・・・・。でも、飯も食い・・・・・」
「それは私が用意しておくわ。今のあんたには『野菜』が必要でしょう?第一騎士団の農園から頂戴して、美味しい精進料理作っておくわよ。桃季には及ばないけどね」
「ううん、菖蒲姉さんの料理も俺好き」
「ふふふふ、全く。嬉しいこと言ってくれるわね。じゃ、腕を振うからさっさと寝てしまいなさい。二つの空間を繋げて力を使ったんだから、あんたもう『限界』でしょ?」
「うん・・・・・・まじで、もう・・・・・・・」
俺の意識はそこでプツンとこぎみよく途切れたのだった。
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