不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

文字の大きさ
上 下
183 / 227
第三章

55 知られるわけにはいかないから

しおりを挟む
「そういえばお前、麒麟様にハンバーガー作らなくて良いのか?」
「ん?ああ、今満足してるからいいらしい」
「それはそうでしょう、あれだけあんたの『血』を貰ったんだから」
と、迂闊な発言を姉さんがしたもんだから、フィルハートの連中が、ギロリとこちらに目を向けて

「どういうことだ、スイ!!!」
「『血』って!団長何したんですかっ!?」
もはや怒声じゃなくて悲鳴がリビングに飛び交う。
まじでうぜ~~~~し、説明は絶対に

しない!!!

「お前らが知る必要のない術だ。知る権利も当然『ない』。強制的に聞き出そうと、吐かそうと言うのなら俺はお前ら、いや、この国から離れて、元の世界に戻る。例え愛する人がこちらに居ようとも教えることはできない」
「・・・・・・・スイ・・・・・・・・それ程までに私たちに知られたくないのか」
「ああ、知られたくないし知る必要もない。知ってもお前らじゃ『対処』できないからな」
「そうか・・・・・・なら、知らなくていいな。ただ、一つ確認させてくれ」
「ん?」
「自分を犠牲、否、スイレンのその頑なに断る姿勢から『身体に損傷を与える行為』だとは認識した」
「おっ!あったり~~~。で、何が聞きたい?」

「死なないんだな?」
「ああ、菖蒲姉さんがいるからな。それに『死ねない』しな。お前らを、ジオルドやジルを置いて死ねないじゃん?」
「「っ!!!」」
「それが聞けて安心したよ」
「俺たちはどれだけスイが頑固かもうわかりきっているからな~~~。今の健康で元気な姿に治せるならもう何も言わないよ」
ジオルドもジルも呆れて、そして諦めて、ヤレヤレと溜息をついて、そして認めてくれた。
殿下たちのその反応に周りに居た者たちも諦めがついたようで、
「小腹が空きましたし、何か作ってきますね」
「あ、兄様。私も手伝います」
「レイ、助かるよ」
アシュレイ兄弟が俺の部屋から出ようとしたが、何故か扉が開かず。
「おい、桃季開けてやれよ」
式神を使って外からドアを塞いでいるようだ。
「ああ、それはいいが、料理なら俺が作る。消耗が激しいからな。俺の術が入った料理を食って、精気を戻せ」
なので、俺たちは桃季の料理が出来る間、風呂に入ったり、惰眠を貪ったり、第一騎士団の農園に赴き手伝ったりとして、多少なりとも疲れを癒して、そして、腹一杯桃季飯を食って、一日を終了させたのだ。
なんとも濃密な一日だったことか。
生きてきた中で上位を争うほどの忙しさと疲れようだった。

とは、言ったがこの俺は殿下たちに執拗に愛された時間が存在するため、そこまで疲れはなかったので、皆には内緒で騎士としての仕事をするため王宮に上がったのだが、
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】 「聖女様が降臨されたぞ!!」  から始まる異世界生活。  夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。  ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。  彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。    そして、必死に生き残って3年。  人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。  今更ながら、人肌が恋しくなってきた。  よし!眷属を作ろう!!    この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。    神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。  ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。    のんびりとした物語です。    現在二章更新中。 現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。 毎週水曜に更新予定です。 宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです) どこにでも居る冴えない男 左江内 巨輝(さえない おおき)は 地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。 しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった… 推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

【連載】異世界でのんびり食堂経営

茜カナコ
BL
異世界に飛ばされた健(たける)と大翔(ひろと)の、食堂経営スローライフ。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ 以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ 唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活 かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし

処理中です...