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第三章

55 知られるわけにはいかないから

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「そういえばお前、麒麟様にハンバーガー作らなくて良いのか?」
「ん?ああ、今満足してるからいいらしい」
「それはそうでしょう、あれだけあんたの『血』を貰ったんだから」
と、迂闊な発言を姉さんがしたもんだから、フィルハートの連中が、ギロリとこちらに目を向けて

「どういうことだ、スイ!!!」
「『血』って!団長何したんですかっ!?」
もはや怒声じゃなくて悲鳴がリビングに飛び交う。
まじでうぜ~~~~し、説明は絶対に

しない!!!

「お前らが知る必要のない術だ。知る権利も当然『ない』。強制的に聞き出そうと、吐かそうと言うのなら俺はお前ら、いや、この国から離れて、元の世界に戻る。例え愛する人がこちらに居ようとも教えることはできない」
「・・・・・・・スイ・・・・・・・・それ程までに私たちに知られたくないのか」
「ああ、知られたくないし知る必要もない。知ってもお前らじゃ『対処』できないからな」
「そうか・・・・・・なら、知らなくていいな。ただ、一つ確認させてくれ」
「ん?」
「自分を犠牲、否、スイレンのその頑なに断る姿勢から『身体に損傷を与える行為』だとは認識した」
「おっ!あったり~~~。で、何が聞きたい?」

「死なないんだな?」
「ああ、菖蒲姉さんがいるからな。それに『死ねない』しな。お前らを、ジオルドやジルを置いて死ねないじゃん?」
「「っ!!!」」
「それが聞けて安心したよ」
「俺たちはどれだけスイが頑固かもうわかりきっているからな~~~。今の健康で元気な姿に治せるならもう何も言わないよ」
ジオルドもジルも呆れて、そして諦めて、ヤレヤレと溜息をついて、そして認めてくれた。
殿下たちのその反応に周りに居た者たちも諦めがついたようで、
「小腹が空きましたし、何か作ってきますね」
「あ、兄様。私も手伝います」
「レイ、助かるよ」
アシュレイ兄弟が俺の部屋から出ようとしたが、何故か扉が開かず。
「おい、桃季開けてやれよ」
式神を使って外からドアを塞いでいるようだ。
「ああ、それはいいが、料理なら俺が作る。消耗が激しいからな。俺の術が入った料理を食って、精気を戻せ」
なので、俺たちは桃季の料理が出来る間、風呂に入ったり、惰眠を貪ったり、第一騎士団の農園に赴き手伝ったりとして、多少なりとも疲れを癒して、そして、腹一杯桃季飯を食って、一日を終了させたのだ。
なんとも濃密な一日だったことか。
生きてきた中で上位を争うほどの忙しさと疲れようだった。

とは、言ったがこの俺は殿下たちに執拗に愛された時間が存在するため、そこまで疲れはなかったので、皆には内緒で騎士としての仕事をするため王宮に上がったのだが、
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