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第三章

41 人間

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俺は大声を張り上げ、騎士団に檄を飛ばす。
「これから魔国に向かう!魔族を批判や差別、偏見を持つ者は付いてくるな!俺の前でその様な姿を見せた者は容赦しない!今ならまだ許してやる!離脱する者は速やかに去れ!去らざる者は俺を信用または信頼してくれていると見做す!その者たちは俺からの信頼を得るだろう!さあっ!!行動に移せ!!」

魔族は人を性道具と扱い、犯し殺すと人たちに信じられていると聞いた。
だが、実際は違うと俺は確信している。
人という者は勝手に自分とは違う姿の者を畏怖し、嫌悪し、差別する。
本当に勝手で我が儘な生き物だ。
それは俺にとって赦されざる事柄だ。
だが、魔族は違うと断言できる。
レギウスを見れば一目瞭然。
彼は俺に対してはエロい目で見て、触ってくるが、他の人間を差別せず、一種の生き物として見ている。そして、どこまでも『寛容』だ。
受け入れているのだ、人間からの『差別』を。
魔族のトップがこうなのだ。
魔族には『人間』を忌み嫌う者だっているだろう。だが、この心根の優しいレギウスの下に住まい、集う魔族たちだ。
本来はおおらかで人懐っこい性格だ、と俺は思っている。
その反対の魔族と出会ったら俺は真っ先に誤解を解く事に力を入れるだろう。
レギウスも人間の心を『諦めない』だろう。
だから、俺はそんな根性の曲がった者たちを連れて行くわけにはいかない!
その者たちは後ほど俺が鉄拳を食らわせる!これは絶対だ!

だが、俺の思惑とは異なり、誰一人として離脱する者はいなかった。

『スイ団長が疑わないのに、俺たち一騎士がそんなこと思っちゃいけないでしょう?』
『誤解を解けるなら解きたい。ずっと国同士のにらみ合いなんてたまったもんじゃない!』
『人間の『エゴ』をなくすチャンスを棒に振りたくない』
『異世界のスイ団長たちが向かうのに、この世界の俺たちが逃げてちゃだめだ』
『スイ団長は絶対だ。団長の言葉に『嘘』はない』

など、前向きな言葉が多々聞こえてきた。
俺は・・・・・・・・・・


嬉しかった
俺が騎士たちに認められているということが再認識できた。
一度、この者たちを見放し、元の世界に帰った「俺」なのに。
こいつらは俺を信じてくれていた。

「スイ団長が元の世界に戻ったのは殿下たちが原因だとフィルハートの全ての者が知っておりますので、どうかご自分を責めないでくださいね」
「え、レイン?まじで?」
「はい!!」
殿下たちを見ると、そっと俺から目線を外し、態とらしく口笛を吹いている。
王子がすることじゃねーーーよっ!!!
ゲシリと二人の尻を蹴飛ばすまでが、フィルハートの出来事で。
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