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第三章
閑話3 暗7(※残虐且つ道徳に反します)
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「敵襲!!!!敵襲―――――――――――――――!!」
「おせーーよ、気付くのが!」
桃季が前衛で張り切って、先頭を切っている。
本来彼は後衛の支援型なのに、よほど恨みがあったのだろう。
嗤いながら、小刀を振っている。
俺と葵兄さんは、桃季が行動しやすいように周りの雑魚を片付けていく。
翠蓮と菖蒲姐さんは先に木を伝い、屋敷へと向かった。
「おいおいおいおい、こんなのがまじで『風磨一族』を名乗ってんのか?ああ??」
「ぐっ!!」
「がっ!!」
と、阿鼻叫喚な漆黒の森の中。
今日は忍びの行動としては最高の『新月』。
だけど、楽しそうな桃季の表情だけははっきりとわかるのだった。
「菖蒲」
「何、翠蓮?」
「俺が殺しそうになったら止めてくれるか?」
「いやいやいやいやいや、それ私が言おうと思ってたのよ?」
「は?」
幼い頃から私は彼を見てきた。
奥様や大奥様に愛されて、されど、厳しく育てられて。
だが、あのド畜生がこの一族をめちゃくちゃに壊した!!
あの幸せだった家族を。
普通の家族とは違っても幸せだった、この子の日々を!!
奪われ続け諦めた翠蓮を、私たちは放置した。
後悔した。
後悔しない日はなかった。
それでも翠蓮は私たちを見放すことはなかった。
ずっと傍にいて、『仲間』だと言ってくれた可愛い子。
だから、今度は絶対に翠蓮を助ける!!
そう、葵と誓ったのだ。
「私はね、あんたよりも頭に血が上っているわよ」
「え?」
「後悔しているのよ、私たち。あの時のあんたを助けず、庇うこともなく放置したことを。私たちが手を貸せば、こんなことにはならなかったのに!!」
「菖蒲っ!それはちが「違わないわ!」
声が少し大きくなりすぎた。
ふっと息を吐いて、
「あの時私たちがあんたに手を伸ばしていれば、あの馬鹿共に風磨を穢されることなかったのにと」
「・・・・・・ん~~~~。違うよ、菖蒲。これは母と話してたんだけど、『後始末は全てが揃ってから』と決めていたんだ」
「は?」
私は翠蓮の言っていることが理解出来ない。
「全ての反逆者が揃わないと、粛正しても意味ないだろう?」
「っ!!!!!!!!!!!!!!!」
私の思考は凍り付いた。
「あんた・・・・・・その期を待っていたの?」
「うん、そう。全員根絶やしにする日をず~~と待ってたんだよ。母さんもだったのに、残念だよ」
「もしかして、始めから・・・・・・奥様の結婚も含まれるの?」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・長い年月だったわね」
「うん。だけど、これで風磨を穢されない!」
「ええ、そうね!一人残らず『殺しましょう』」
つい、ふふふと笑い声が漏れてしまったわ。
翠蓮がドン引きしちゃってるけど、仕方ないじゃない。
どうしようにも
楽しくて
嬉しく
さあ、粛正の雨を降らせましょうか!!
「おせーーよ、気付くのが!」
桃季が前衛で張り切って、先頭を切っている。
本来彼は後衛の支援型なのに、よほど恨みがあったのだろう。
嗤いながら、小刀を振っている。
俺と葵兄さんは、桃季が行動しやすいように周りの雑魚を片付けていく。
翠蓮と菖蒲姐さんは先に木を伝い、屋敷へと向かった。
「おいおいおいおい、こんなのがまじで『風磨一族』を名乗ってんのか?ああ??」
「ぐっ!!」
「がっ!!」
と、阿鼻叫喚な漆黒の森の中。
今日は忍びの行動としては最高の『新月』。
だけど、楽しそうな桃季の表情だけははっきりとわかるのだった。
「菖蒲」
「何、翠蓮?」
「俺が殺しそうになったら止めてくれるか?」
「いやいやいやいやいや、それ私が言おうと思ってたのよ?」
「は?」
幼い頃から私は彼を見てきた。
奥様や大奥様に愛されて、されど、厳しく育てられて。
だが、あのド畜生がこの一族をめちゃくちゃに壊した!!
あの幸せだった家族を。
普通の家族とは違っても幸せだった、この子の日々を!!
奪われ続け諦めた翠蓮を、私たちは放置した。
後悔した。
後悔しない日はなかった。
それでも翠蓮は私たちを見放すことはなかった。
ずっと傍にいて、『仲間』だと言ってくれた可愛い子。
だから、今度は絶対に翠蓮を助ける!!
そう、葵と誓ったのだ。
「私はね、あんたよりも頭に血が上っているわよ」
「え?」
「後悔しているのよ、私たち。あの時のあんたを助けず、庇うこともなく放置したことを。私たちが手を貸せば、こんなことにはならなかったのに!!」
「菖蒲っ!それはちが「違わないわ!」
声が少し大きくなりすぎた。
ふっと息を吐いて、
「あの時私たちがあんたに手を伸ばしていれば、あの馬鹿共に風磨を穢されることなかったのにと」
「・・・・・・ん~~~~。違うよ、菖蒲。これは母と話してたんだけど、『後始末は全てが揃ってから』と決めていたんだ」
「は?」
私は翠蓮の言っていることが理解出来ない。
「全ての反逆者が揃わないと、粛正しても意味ないだろう?」
「っ!!!!!!!!!!!!!!!」
私の思考は凍り付いた。
「あんた・・・・・・その期を待っていたの?」
「うん、そう。全員根絶やしにする日をず~~と待ってたんだよ。母さんもだったのに、残念だよ」
「もしかして、始めから・・・・・・奥様の結婚も含まれるの?」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・長い年月だったわね」
「うん。だけど、これで風磨を穢されない!」
「ええ、そうね!一人残らず『殺しましょう』」
つい、ふふふと笑い声が漏れてしまったわ。
翠蓮がドン引きしちゃってるけど、仕方ないじゃない。
どうしようにも
楽しくて
嬉しく
さあ、粛正の雨を降らせましょうか!!
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