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第三章
閑話3 暗3
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「どうだった竜胆?満足?」
「翠蓮と同じ事を聞くんだな・・・・・・ちくしょ・・・・・・後悔しかねーよ」
「・・・・・・でしょうね。だから、私は止めなかったのよ?ちゃんと翠蓮に敗北したことを味わって欲しかったからね」
「どういう意味?」
菖蒲姐さんの言うことを全く理解出来ない俺。
いつも翠蓮には負けてばかりの光景見ているのに。
俺たち誰も勝てやしない、孤高の翠蓮様。
一度で良いからあの気高く美しい瞳を穢して、快楽に染まる瞳に変えてみたくて。
いざ抱ける機会があっても、無様に敗北した俺。
抱いた側が大敗を期したのだ。
あの存在を穢す者は誰一人として、この世界にはいない。
あちらの世界では沢山穢され、快楽に浸かっていたようだが。
「翠蓮はね、翠蓮の身体はね・・・・・・・快楽を享受できないのよ。相性が合わない限り」
「は?」
「あなたは知らなかったのね。あの子の身体は私たちとは違う特別製なのよ。だからこそ『神々』に愛される」
「それは知ってる」
「いえ、本当の意味で知っていないわ」
翠蓮の何を俺が知らないというのか!
俺はずっと翠蓮と共にいた!
それも菖蒲姐さんよりも多く!
葵兄さんよりも傍にいた!
そんな俺が知らない事柄があるはずがない!!
「翠蓮の身体はね、『力の相性が』合わない限り交わる行為は『痛み』しか伴わないんだよ。ただ、生殖器としての機能は果たすけどね」
「っ!!??え、そんなことっっ!」
いや、そういえば抱いている最中、あいつは声を出したか?
いや、ずっと唇を噛んで耐えて・・・・・・・
「苦悶の声を出さないためか・・・・・・・」
「そうね。さっき翠蓮の顔見たけど、唇から血が出てたわね。随分と噛みしめたようね。相当の痛みだったんでしょう・・・・・・」
「っ!!ならっ!何で菖蒲は俺を止めなかった!!??」
「あの子が言わないことを私が態々止めてまで教える必要ないでしょう?もう子供じゃないんだから」
「そうだけど!!」
「それにあの子も『覚悟』決めたみたいだったしね。あんたに抱かれる事に」
「・・・・・・・・・・・・・うん、最後は赦してくれた」
「でしょ?苦痛を伴うしかない行為を強制されたとしても、翠蓮にとってあんたはとても大切な『親友』なのよ」
「『親友』か・・・・・・・」
「ええ、『仲間』でもあるけど、それ以上でもそれ以下でもないわ、私たちは。そうでしょう?」
「そうだ・・・・・・な・・・・・ははは・・・・・はははは・・・・・謝りたい」
「駄目よ、それは。翠蓮の覚悟を蔑ろにする行為よ。私はそれを赦さない」
「うん・・・・・・うん・・・・・・・はは・・・・・・・」
「大丈夫よ、あの子は。赦してくれているわ。だって、私たちは生きている中で一番の『親友』なのだから」
「そうだな・・・・・・」
それを台無しにしたのは俺自身だ。
俺は翠蓮が欲しくて欲しくて欲しくて!!!
でも、手を出せなくて!!
あいつが俺をそういう目で見てないこともはっきりとわかっていた。
だから、諦めた。
諦めたけど欲望は萎えず、俺はいつの間にか葵兄さんに『抱かれる側』になっていた。
抱かれるようになって、俺は葵兄さんを段々と好きになって、一緒に住むようになって、満足だったのに。
突然!!!
突然翠蓮が消えた!
この世から!!!
俺はパニックで気がおかしくなり、再び翠蓮の身体を求めるようになってしまった。
俺は翠蓮だけでなく、葵兄さんも裏切った!
裏切り者だ!!!
こんな奴、この人たちの傍にいては駄目だ!
すぐに俺はどこかに消えないと!
いっそこの世から・・・・・・・
「馬鹿なこと考えてんじゃないわよ?そんなことしたら私はもちろんのこと、翠蓮も葵も本当の意味であんたを赦さないわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・姐さんは凄いね、敵わないや」
「何年あんたらの面倒見てきたと思ってんの?こ~~~んな小さな頃からよ?」
「そんなに歳離れてないくせに、おばちゃんみたいなこと言うなよ」
「なっ!言ったわね!もう怒ったわ!あんたには翠蓮に着替えを持って行くミッションを与えてやる!」
「は!?それ罰じゃなくね?」
「いえ、罰よ。今、お風呂で翠蓮はあんたから受けた精を吐き出す苦痛を耐えているわ。それにも痛みを伴うとの事よ。苦悶の声を聞いて反省なさい!!」
「はっはい!!!!!」
とさりと俺の腕に落とされた翠蓮の服。
手触りがよく、滑らかで。
菖蒲姐さんがどれだけ翠蓮の事を思っているのか、これだけでわかってしまった。
俺は姐さんにも勝てやしない。
は~~~と大きな溜息を吐き、チクチクと痛む心に頑丈な蓋をして風呂場に足を向ける。
「翠蓮と同じ事を聞くんだな・・・・・・ちくしょ・・・・・・後悔しかねーよ」
「・・・・・・でしょうね。だから、私は止めなかったのよ?ちゃんと翠蓮に敗北したことを味わって欲しかったからね」
「どういう意味?」
菖蒲姐さんの言うことを全く理解出来ない俺。
いつも翠蓮には負けてばかりの光景見ているのに。
俺たち誰も勝てやしない、孤高の翠蓮様。
一度で良いからあの気高く美しい瞳を穢して、快楽に染まる瞳に変えてみたくて。
いざ抱ける機会があっても、無様に敗北した俺。
抱いた側が大敗を期したのだ。
あの存在を穢す者は誰一人として、この世界にはいない。
あちらの世界では沢山穢され、快楽に浸かっていたようだが。
「翠蓮はね、翠蓮の身体はね・・・・・・・快楽を享受できないのよ。相性が合わない限り」
「は?」
「あなたは知らなかったのね。あの子の身体は私たちとは違う特別製なのよ。だからこそ『神々』に愛される」
「それは知ってる」
「いえ、本当の意味で知っていないわ」
翠蓮の何を俺が知らないというのか!
俺はずっと翠蓮と共にいた!
それも菖蒲姐さんよりも多く!
葵兄さんよりも傍にいた!
そんな俺が知らない事柄があるはずがない!!
「翠蓮の身体はね、『力の相性が』合わない限り交わる行為は『痛み』しか伴わないんだよ。ただ、生殖器としての機能は果たすけどね」
「っ!!??え、そんなことっっ!」
いや、そういえば抱いている最中、あいつは声を出したか?
いや、ずっと唇を噛んで耐えて・・・・・・・
「苦悶の声を出さないためか・・・・・・・」
「そうね。さっき翠蓮の顔見たけど、唇から血が出てたわね。随分と噛みしめたようね。相当の痛みだったんでしょう・・・・・・」
「っ!!ならっ!何で菖蒲は俺を止めなかった!!??」
「あの子が言わないことを私が態々止めてまで教える必要ないでしょう?もう子供じゃないんだから」
「そうだけど!!」
「それにあの子も『覚悟』決めたみたいだったしね。あんたに抱かれる事に」
「・・・・・・・・・・・・・うん、最後は赦してくれた」
「でしょ?苦痛を伴うしかない行為を強制されたとしても、翠蓮にとってあんたはとても大切な『親友』なのよ」
「『親友』か・・・・・・・」
「ええ、『仲間』でもあるけど、それ以上でもそれ以下でもないわ、私たちは。そうでしょう?」
「そうだ・・・・・・な・・・・・ははは・・・・・はははは・・・・・謝りたい」
「駄目よ、それは。翠蓮の覚悟を蔑ろにする行為よ。私はそれを赦さない」
「うん・・・・・・うん・・・・・・・はは・・・・・・・」
「大丈夫よ、あの子は。赦してくれているわ。だって、私たちは生きている中で一番の『親友』なのだから」
「そうだな・・・・・・」
それを台無しにしたのは俺自身だ。
俺は翠蓮が欲しくて欲しくて欲しくて!!!
でも、手を出せなくて!!
あいつが俺をそういう目で見てないこともはっきりとわかっていた。
だから、諦めた。
諦めたけど欲望は萎えず、俺はいつの間にか葵兄さんに『抱かれる側』になっていた。
抱かれるようになって、俺は葵兄さんを段々と好きになって、一緒に住むようになって、満足だったのに。
突然!!!
突然翠蓮が消えた!
この世から!!!
俺はパニックで気がおかしくなり、再び翠蓮の身体を求めるようになってしまった。
俺は翠蓮だけでなく、葵兄さんも裏切った!
裏切り者だ!!!
こんな奴、この人たちの傍にいては駄目だ!
すぐに俺はどこかに消えないと!
いっそこの世から・・・・・・・
「馬鹿なこと考えてんじゃないわよ?そんなことしたら私はもちろんのこと、翠蓮も葵も本当の意味であんたを赦さないわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・姐さんは凄いね、敵わないや」
「何年あんたらの面倒見てきたと思ってんの?こ~~~んな小さな頃からよ?」
「そんなに歳離れてないくせに、おばちゃんみたいなこと言うなよ」
「なっ!言ったわね!もう怒ったわ!あんたには翠蓮に着替えを持って行くミッションを与えてやる!」
「は!?それ罰じゃなくね?」
「いえ、罰よ。今、お風呂で翠蓮はあんたから受けた精を吐き出す苦痛を耐えているわ。それにも痛みを伴うとの事よ。苦悶の声を聞いて反省なさい!!」
「はっはい!!!!!」
とさりと俺の腕に落とされた翠蓮の服。
手触りがよく、滑らかで。
菖蒲姐さんがどれだけ翠蓮の事を思っているのか、これだけでわかってしまった。
俺は姐さんにも勝てやしない。
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