135 / 227
第三章
24 誓い
しおりを挟む
「桃季が気を利かせて洗濯してくれて助かった・・・・・」
考えてみれば、フィルハートの者たちは着の身着のままでこちらの世界にやってきていた。
レインだけはちゃっかりと『酒』という土産だけは持ってきていたが。
青龍が説明を省いたせいで、皆『すぐに帰国する』と思い込んでいたようで、着替え一つ持ってきていなかったのだ。
「明日、買い物に行こうな・・・・・・」
じゃないと、こいつら約一週間の間、同じ服を洗濯しては着てを繰り返さなければならず、洗濯中はもちろん素っ裸!
それは困る!!!
とりあえず、レインたちを桃季の所に残し、俺たちは明日の12時に集合ということで解散したわけだが。
俺は殿下たちを自分の家に再び招き入れ、よくよく二人の体格をチェックする。
「・・・・・・・・合う服あんのか?」
筋肉は落ちたといっても、それでも体格は俺たちより数倍よくて、鍛え上げている俺の身体の方が貧相にさえ見えてしまう。一体どこでこの体格の服を手に入れたら良いのか・・・・・。俺が知る限り近場にそのような店は、ない!
「は~~~~~~」
俺は酒を冷蔵庫から取り出して、殿下たちにソファに座るよう促す。
「とりあえず、殿下たちはあっちのゲストルームを使ってくれ。部屋の中にこれより小さな箱があって、そん中に水や酒を冷やしているから好きなときに飲んでくれていい。腹が減ったら言ってくれ。デリバリーでも頼むから」
「デリバリー?」
「あ~宅配のことな。それよりも話さなきゃいけないことあんだろう?」
二人の瞳を覗き込むと、そこには戸惑いと後悔そして、強い意志が存在していた。相反する思いが同居する瞳。
俺は危うくもその妖しい瞳の中に飲み込まれそうになった。
「スイレン、本当にごめん・・・・いや、ごめんなさい。謝ってスイレンの気持ちが収まるわけではないのだけど」
「それでも俺たちはスイレンに謝りたいんだ!わかったんだよ、君に甘え続けていた自分を。自分が誰のおかげで生きて、息をして、恋をして、愛して。こんな幸せを与えてくれた君をいつの間にか蔑ろにしていたんだ。自分でも気付かないうちに・・・・・・」
「ジルフォードの言うとおりだ。こんなに自分の心も体も満ち足りた生活を享受できているのはスイレンが私たち・・・・・俺たちを愛してくれたからなのにな」
「っ!ジオルド・・・」
「ん?スイの前では『俺』でもいいのだろう?」
「・・・・・・・ん、その方が良い。俺もさ、ジオルドに会って、ジルフォードに会って、愛されて・・・幸せだったんだよ?言わなかったのは悪いと思ったけど、絶対にお前ら反対するだろう?」
「ああ、絶対にしたな」
「うん、監視までつけるな」
「だろう?だけど、俺には『護る』という義務があるからさ。わかってくれないとわかっていたから、黙ってた。わかってくれないと思うことが本当は辛かった・・・。その気持ちわかるか?」
ジッと二人の瞳を再び見ると、そこには本心を晒すという『決意』が鎮座していた。
「ああ、わかるさ。君に裏切られたと感じたとき『何で俺の気持ちを理解しない!』と思ったからね」
「俺もだ。『言葉にしなくてもわかれよ!』と自分の都合の良いように考えて情けない!!」
「あんな状況下でよく頑張ってたと思う。信頼できる者以外の前では疲労一つ見せなかったのは褒められることだったよ。だけど、そんな時こそもっと自分の周り、特に身近な者に目を向ける必要がある」
自分の経験則からの意見だ。自分だけが疲れているんじゃない。支えてくれる人だって、ある意味で『自分』以上に疲れていることを、知って欲しい。
「ああ、レインたちを見て本当に反省したよ」
「特にレインにはね・・・・・・。あの献身ぶり。よく周りを見ていないとできない行為だ」
「うん、あいつはよく見ているよ。だから、すんごい助かってる。そっちの世界に行って、正直結構苦労したんだぜ?水の出し方、火の使い方・・・・・・。館ではレイフォードが丁寧に教えてくれていたけど、あいつにも生活があるから常に頼れない。だけど、レインは違った。先に気付くんだ、俺が困っていることに」
「ほ~~~すごいな。もうスイの傍から離せない重鎮だ!」
「そっ!離されたら俺、一国を吹き飛ばすね!」
「「・・・・・・・それはやめてくれ」」
「冗談だって!と、言いたいけど、本気な部分もあるからな!」
「「肝に銘じておく」」
二人は顔を青く染めて、がくりと大きく肩を落とす。
そして、ゆっくりと息を吸って、吐いて・・・・・・
「改めて言うよ、スイレン」
「ん」
「俺たちの気持ちを」
「ん」
「「もう一度、俺たちと生涯を歩んで欲しい」」
「疑わない、裏切らない、そして、一生愛してくれるなら」
「もちろんだ」
「約束する!!」
「今度この契りを反故にした場合、凄惨なことになる。その覚悟は?」
「あるさっ!」
「一生大事にする!」
「喧嘩はするかもしれない。スイレンを怒らせるようなことをするかもしれない!」
「だけど、君を。生涯君だけを愛しく、愛することは絶対に誓える!」
「「絶対に離さない!!」」
「・・・・・・・・ん。なら、許す!けど、次はないからな!!」
「次なんてない!あるわけないだろう!!」
「スイがいなくなって、どれだけ後悔し、懺悔したことか・・・・」
「あったり前だ!それは当然だろうが」
「はは」
「ははは」
乾いた笑いが、楽しい笑いに変わるのに、そう時間はかからなかった。
「さて、夜も遅い。私たちは寝るか、ジル」
「は?」
「そうだな。さすがに疲れた」
「えっ?」
「じゃ、スイ、また明日な」
「ちょっ!?」
バタンと無慈悲に閉まる俺の部屋の扉。
「え?ヤル気力がないほど俺扱いた???」
いやいやいやいやいや!
あれは立派、というか超絶立派に育ったモノをビンビンにおっ立てておきながら、我慢って・・・・。
いや、我慢?してるような表情ではなかったような???????
まさかっ!!!
あいつら気付いてないのかーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!???
考えてみれば、フィルハートの者たちは着の身着のままでこちらの世界にやってきていた。
レインだけはちゃっかりと『酒』という土産だけは持ってきていたが。
青龍が説明を省いたせいで、皆『すぐに帰国する』と思い込んでいたようで、着替え一つ持ってきていなかったのだ。
「明日、買い物に行こうな・・・・・・」
じゃないと、こいつら約一週間の間、同じ服を洗濯しては着てを繰り返さなければならず、洗濯中はもちろん素っ裸!
それは困る!!!
とりあえず、レインたちを桃季の所に残し、俺たちは明日の12時に集合ということで解散したわけだが。
俺は殿下たちを自分の家に再び招き入れ、よくよく二人の体格をチェックする。
「・・・・・・・・合う服あんのか?」
筋肉は落ちたといっても、それでも体格は俺たちより数倍よくて、鍛え上げている俺の身体の方が貧相にさえ見えてしまう。一体どこでこの体格の服を手に入れたら良いのか・・・・・。俺が知る限り近場にそのような店は、ない!
「は~~~~~~」
俺は酒を冷蔵庫から取り出して、殿下たちにソファに座るよう促す。
「とりあえず、殿下たちはあっちのゲストルームを使ってくれ。部屋の中にこれより小さな箱があって、そん中に水や酒を冷やしているから好きなときに飲んでくれていい。腹が減ったら言ってくれ。デリバリーでも頼むから」
「デリバリー?」
「あ~宅配のことな。それよりも話さなきゃいけないことあんだろう?」
二人の瞳を覗き込むと、そこには戸惑いと後悔そして、強い意志が存在していた。相反する思いが同居する瞳。
俺は危うくもその妖しい瞳の中に飲み込まれそうになった。
「スイレン、本当にごめん・・・・いや、ごめんなさい。謝ってスイレンの気持ちが収まるわけではないのだけど」
「それでも俺たちはスイレンに謝りたいんだ!わかったんだよ、君に甘え続けていた自分を。自分が誰のおかげで生きて、息をして、恋をして、愛して。こんな幸せを与えてくれた君をいつの間にか蔑ろにしていたんだ。自分でも気付かないうちに・・・・・・」
「ジルフォードの言うとおりだ。こんなに自分の心も体も満ち足りた生活を享受できているのはスイレンが私たち・・・・・俺たちを愛してくれたからなのにな」
「っ!ジオルド・・・」
「ん?スイの前では『俺』でもいいのだろう?」
「・・・・・・・ん、その方が良い。俺もさ、ジオルドに会って、ジルフォードに会って、愛されて・・・幸せだったんだよ?言わなかったのは悪いと思ったけど、絶対にお前ら反対するだろう?」
「ああ、絶対にしたな」
「うん、監視までつけるな」
「だろう?だけど、俺には『護る』という義務があるからさ。わかってくれないとわかっていたから、黙ってた。わかってくれないと思うことが本当は辛かった・・・。その気持ちわかるか?」
ジッと二人の瞳を再び見ると、そこには本心を晒すという『決意』が鎮座していた。
「ああ、わかるさ。君に裏切られたと感じたとき『何で俺の気持ちを理解しない!』と思ったからね」
「俺もだ。『言葉にしなくてもわかれよ!』と自分の都合の良いように考えて情けない!!」
「あんな状況下でよく頑張ってたと思う。信頼できる者以外の前では疲労一つ見せなかったのは褒められることだったよ。だけど、そんな時こそもっと自分の周り、特に身近な者に目を向ける必要がある」
自分の経験則からの意見だ。自分だけが疲れているんじゃない。支えてくれる人だって、ある意味で『自分』以上に疲れていることを、知って欲しい。
「ああ、レインたちを見て本当に反省したよ」
「特にレインにはね・・・・・・。あの献身ぶり。よく周りを見ていないとできない行為だ」
「うん、あいつはよく見ているよ。だから、すんごい助かってる。そっちの世界に行って、正直結構苦労したんだぜ?水の出し方、火の使い方・・・・・・。館ではレイフォードが丁寧に教えてくれていたけど、あいつにも生活があるから常に頼れない。だけど、レインは違った。先に気付くんだ、俺が困っていることに」
「ほ~~~すごいな。もうスイの傍から離せない重鎮だ!」
「そっ!離されたら俺、一国を吹き飛ばすね!」
「「・・・・・・・それはやめてくれ」」
「冗談だって!と、言いたいけど、本気な部分もあるからな!」
「「肝に銘じておく」」
二人は顔を青く染めて、がくりと大きく肩を落とす。
そして、ゆっくりと息を吸って、吐いて・・・・・・
「改めて言うよ、スイレン」
「ん」
「俺たちの気持ちを」
「ん」
「「もう一度、俺たちと生涯を歩んで欲しい」」
「疑わない、裏切らない、そして、一生愛してくれるなら」
「もちろんだ」
「約束する!!」
「今度この契りを反故にした場合、凄惨なことになる。その覚悟は?」
「あるさっ!」
「一生大事にする!」
「喧嘩はするかもしれない。スイレンを怒らせるようなことをするかもしれない!」
「だけど、君を。生涯君だけを愛しく、愛することは絶対に誓える!」
「「絶対に離さない!!」」
「・・・・・・・・ん。なら、許す!けど、次はないからな!!」
「次なんてない!あるわけないだろう!!」
「スイがいなくなって、どれだけ後悔し、懺悔したことか・・・・」
「あったり前だ!それは当然だろうが」
「はは」
「ははは」
乾いた笑いが、楽しい笑いに変わるのに、そう時間はかからなかった。
「さて、夜も遅い。私たちは寝るか、ジル」
「は?」
「そうだな。さすがに疲れた」
「えっ?」
「じゃ、スイ、また明日な」
「ちょっ!?」
バタンと無慈悲に閉まる俺の部屋の扉。
「え?ヤル気力がないほど俺扱いた???」
いやいやいやいやいや!
あれは立派、というか超絶立派に育ったモノをビンビンにおっ立てておきながら、我慢って・・・・。
いや、我慢?してるような表情ではなかったような???????
まさかっ!!!
あいつら気付いてないのかーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!???
12
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった
藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。
毎週水曜に更新予定です。
宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~
ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ
以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ
唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活
かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる