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第三章
2 恐ろしかったのだ
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俺の第四騎士団の執務室には団長のスイも副団長のレインもいない。
ただただ静かで居心地の悪い空間に私が存在しているだけだった。
現在の情報は続き部屋となっているジオルドの執務室から、冷え切った目でレイフォードが伝えてくるのみ。
兄の執務室にいればいいではないか?と思うだろうが、いつ二人が戻ってきてもよいように俺はここにいる。
戻ってくるはずないのにな・・・・・・・・・。
昨晩、酷い有様のスイをジオルドやアルバート、アシュレイ兄弟で見てしまった。
だが、ジオルドと俺以外は知っていたようで、玄武殿が治療するスイの傍に3人は駆け寄った。
「うっぐぅ・・・・・」と小さく漏らす苦痛の声。
人間があんな風な形になるなんて知らなかった。否、一度見ていたはずだ、スイのこの姿を。
そのときスイの強さの元を知れた、知ったのだ。
俺たちには決して真似ができない諸行の強さを!
でも、だが、だけど!
こんな姿二度と見たくなかった!
だから、言ってはいけないこと、してはいけないことの判断をこの時出来ず、今現在こうして反省と後悔で渦巻かれているのだった。
あの時、あんなことを言わなければ。
しなければ、国にとって、この世界にとって、そして、俺たちにとって大切な者を失わなかったのにっ!!!
「スイ・・・・・・っ」
俺たちはスイが玄武殿に癒されていく様を見つめるしか出来ない。
それ程までに彼は彼ではなかったのだ。
あの時に、闘技場で見たスイの姿以上の光景で!!!
駆け寄ることも出来なかった。
駆け寄ろうともしなかった!
彼の真っ赤に染まる姿を見て、俺は恐ろしくなったのだ。
彼の『死』を・・・・・・・・・・。
ただただ静かで居心地の悪い空間に私が存在しているだけだった。
現在の情報は続き部屋となっているジオルドの執務室から、冷え切った目でレイフォードが伝えてくるのみ。
兄の執務室にいればいいではないか?と思うだろうが、いつ二人が戻ってきてもよいように俺はここにいる。
戻ってくるはずないのにな・・・・・・・・・。
昨晩、酷い有様のスイをジオルドやアルバート、アシュレイ兄弟で見てしまった。
だが、ジオルドと俺以外は知っていたようで、玄武殿が治療するスイの傍に3人は駆け寄った。
「うっぐぅ・・・・・」と小さく漏らす苦痛の声。
人間があんな風な形になるなんて知らなかった。否、一度見ていたはずだ、スイのこの姿を。
そのときスイの強さの元を知れた、知ったのだ。
俺たちには決して真似ができない諸行の強さを!
でも、だが、だけど!
こんな姿二度と見たくなかった!
だから、言ってはいけないこと、してはいけないことの判断をこの時出来ず、今現在こうして反省と後悔で渦巻かれているのだった。
あの時、あんなことを言わなければ。
しなければ、国にとって、この世界にとって、そして、俺たちにとって大切な者を失わなかったのにっ!!!
「スイ・・・・・・っ」
俺たちはスイが玄武殿に癒されていく様を見つめるしか出来ない。
それ程までに彼は彼ではなかったのだ。
あの時に、闘技場で見たスイの姿以上の光景で!!!
駆け寄ることも出来なかった。
駆け寄ろうともしなかった!
彼の真っ赤に染まる姿を見て、俺は恐ろしくなったのだ。
彼の『死』を・・・・・・・・・・。
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