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第二章
43.ホルシオの行方
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「スイっ!!」
ここに来て三週間目に漸くジオルドたちが迎えに来てくれた。
「遅いっ!!!」
「「すまん!!」」
とりあえず、城の応接室に二人を通すと、アシュレイ兄弟たちと同じ反応を返す。
「床に座るなんて・・・・・・」
「斬新だっ!!!」
だって!!
何かすんごい感動されちゃって、結構嬉しい!!!
じゃなくてっ!
「ホルシオはどうなった?」
「それが・・・・・・・・・」
棺に入れられた前領主のミイラが、海の底から浮き上がってきたそうだ。
表情は『苦悶』。
どういう経緯でその表情なのかは判明しないそうだが、あまり気持ちの良い亡骸ではなかったそうだ。
現領主および教会の司祭は逮捕され、帝都の貴族牢ではなく、一般牢入れられたとのこと。
領主の屋敷を調べると、通された客間は質素で格の落ちる品ばかりを置いているのに対し、他の部屋は豪華絢爛だったそうだ。
執事やメイドへの仕打ちは酷いもので、安月給はまだいいところ。未払いもあったそうだ。
人の良さそうな好青年を演じた彼は、役者に向いていたのかもしれない。
一方、民はホルシオを治める領主の交代を喜んだ。
理由は、『税率が下がった』からだ。
今まではどの都市も驚く税率だったそうで、場に居合わせた官僚などは「よくこれだけの税を払えていたものだ」とある意味で感心していたのだとか。
この男の処分は『重労働』。
犯罪者専用の炭鉱で、一生涯勤めることが決定し、すでに移送したとのこと。
もちろん被害に遭った近隣の村々への保証も行った。
若手を失い、今後の生活に行き止まりを感じる人たちが多く、その中でも性格面や金銭的に大丈夫だろうと思える人たちには孤児を紹介したそうだ。
喜んで養子縁組する人たちが多く、役人として子供の将来を考えると本当に安心したのだとか。
しかも、縁組の際に要する書類や費用は全て国が請け負った。
次に、司祭だが、これもまた蓄えに蓄えていたそうだ。
その金で男の子を買い、犯し、嬲り、それで愉悦を感じていたらしい。
男の部屋にはありとあらゆる『性』に使われる拷問器具と言って良い快楽への道具があったそうだ。
あまりに悍ましい部屋で、それを見たジオルドたちは顔を青ざめさせたとか。
被害に遭った子供たちの行方は判らずじまい。
だから、この世にいないと思われると判断された。
数日後、教会裏手の墓地から、子供の骨と判る物が、数多く見つかったそうだ。
比較的新しい遺体には、痛々しいほどの性の拷問痕が残されていたとのこと。
司祭は即刻処刑が決まり、俺たちが戻り次第執り行う予定となった。
「ま~~よくもこれだけのことをやらかしてくれたもんだな、ホルシオは・・・・・・」
「ああ、官僚たちが嘆いていたよ。自分たちの非力さをね」
「で、焔はどうなるんだ?」
「ああ、それはバーミリアと違い、こちらには上に立つ者がいないため、帝都と焔を繋げるルートを確立することになったんだ」
「大きめの宝石に王族の力を取り込んで、転移用魔法石を作ることになったんだ」
そんなことができるのか。
バーミリアには第二王女がいるから、それが必要ないらしい。
「ま、それなら俺もこちらに来やすくなるのか」
「ああ、ある意味でスイの故郷だろう?」
「いつでも来たらいいさ」
「うん」
「さてと、そろそろ帝都に帰ろう、スイ」
「だな。ここは第一に任せて、俺たちは司祭の処刑に立ち会わないと」
「騎士団長が全て揃わないと、執行できないからな」
「そうなん?知らんかったわ~~~じゃ、レオンも戻るんだな」
「ああ、一旦ね。ということで、転移用魔法石、どこに設置しようか?」
持ってきてたんかい!!!
「何個あんの?」
「全部で5個だ」
「じゃあさ、五箇所の門に埋め込んだらいんじゃね?」
「名案だな!そうしよう!!!」
ということで、全ての門に埋め終わり、俺たちは一旦帝都に戻ることにしたのだ。
ここに来て三週間目に漸くジオルドたちが迎えに来てくれた。
「遅いっ!!!」
「「すまん!!」」
とりあえず、城の応接室に二人を通すと、アシュレイ兄弟たちと同じ反応を返す。
「床に座るなんて・・・・・・」
「斬新だっ!!!」
だって!!
何かすんごい感動されちゃって、結構嬉しい!!!
じゃなくてっ!
「ホルシオはどうなった?」
「それが・・・・・・・・・」
棺に入れられた前領主のミイラが、海の底から浮き上がってきたそうだ。
表情は『苦悶』。
どういう経緯でその表情なのかは判明しないそうだが、あまり気持ちの良い亡骸ではなかったそうだ。
現領主および教会の司祭は逮捕され、帝都の貴族牢ではなく、一般牢入れられたとのこと。
領主の屋敷を調べると、通された客間は質素で格の落ちる品ばかりを置いているのに対し、他の部屋は豪華絢爛だったそうだ。
執事やメイドへの仕打ちは酷いもので、安月給はまだいいところ。未払いもあったそうだ。
人の良さそうな好青年を演じた彼は、役者に向いていたのかもしれない。
一方、民はホルシオを治める領主の交代を喜んだ。
理由は、『税率が下がった』からだ。
今まではどの都市も驚く税率だったそうで、場に居合わせた官僚などは「よくこれだけの税を払えていたものだ」とある意味で感心していたのだとか。
この男の処分は『重労働』。
犯罪者専用の炭鉱で、一生涯勤めることが決定し、すでに移送したとのこと。
もちろん被害に遭った近隣の村々への保証も行った。
若手を失い、今後の生活に行き止まりを感じる人たちが多く、その中でも性格面や金銭的に大丈夫だろうと思える人たちには孤児を紹介したそうだ。
喜んで養子縁組する人たちが多く、役人として子供の将来を考えると本当に安心したのだとか。
しかも、縁組の際に要する書類や費用は全て国が請け負った。
次に、司祭だが、これもまた蓄えに蓄えていたそうだ。
その金で男の子を買い、犯し、嬲り、それで愉悦を感じていたらしい。
男の部屋にはありとあらゆる『性』に使われる拷問器具と言って良い快楽への道具があったそうだ。
あまりに悍ましい部屋で、それを見たジオルドたちは顔を青ざめさせたとか。
被害に遭った子供たちの行方は判らずじまい。
だから、この世にいないと思われると判断された。
数日後、教会裏手の墓地から、子供の骨と判る物が、数多く見つかったそうだ。
比較的新しい遺体には、痛々しいほどの性の拷問痕が残されていたとのこと。
司祭は即刻処刑が決まり、俺たちが戻り次第執り行う予定となった。
「ま~~よくもこれだけのことをやらかしてくれたもんだな、ホルシオは・・・・・・」
「ああ、官僚たちが嘆いていたよ。自分たちの非力さをね」
「で、焔はどうなるんだ?」
「ああ、それはバーミリアと違い、こちらには上に立つ者がいないため、帝都と焔を繋げるルートを確立することになったんだ」
「大きめの宝石に王族の力を取り込んで、転移用魔法石を作ることになったんだ」
そんなことができるのか。
バーミリアには第二王女がいるから、それが必要ないらしい。
「ま、それなら俺もこちらに来やすくなるのか」
「ああ、ある意味でスイの故郷だろう?」
「いつでも来たらいいさ」
「うん」
「さてと、そろそろ帝都に帰ろう、スイ」
「だな。ここは第一に任せて、俺たちは司祭の処刑に立ち会わないと」
「騎士団長が全て揃わないと、執行できないからな」
「そうなん?知らんかったわ~~~じゃ、レオンも戻るんだな」
「ああ、一旦ね。ということで、転移用魔法石、どこに設置しようか?」
持ってきてたんかい!!!
「何個あんの?」
「全部で5個だ」
「じゃあさ、五箇所の門に埋め込んだらいんじゃね?」
「名案だな!そうしよう!!!」
ということで、全ての門に埋め終わり、俺たちは一旦帝都に戻ることにしたのだ。
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